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HER2の検査(免疫染色とFISH法)

[管理番号:730]
性別:女性
年齢:31歳

質問者様の以前の質問

質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。
質問者様の以前の質問は下記をクリックしてください。
管理番号:599「手術まで不安です。」

 
 
先生、何度もすいません。
ハーツーは、2だったので、FISH法で調べてるんですけど、これが、調べて-になる事はあるんですか?
それとも、3+になるんですか?
まだまだ、こわいです…
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 HER2の表記については結構な方が誤解されています。

回答

「ハーツーは、2だったので、FISH法で調べてるんですけど、これが、調べて-になる事はあるんですか?それとも、3+になるんですか?」
⇒質問者の場合には
・FISH法で陰性だった場合(確率は75%) HER2 score 2+(FISH陰性)という表記となります。
・FISH法で陽性だった場合(確率は25%) HER2 score 2+(FISH陽性)という表記となります。
 つまり、「FISH陰性でもHER2 score 0/1になる」ことは無いし、逆に「FISH陽性でもHER2 score 3+になる」事も無いのです。
 ♯免疫染色とFISH法は全く異なる検査なので、それぞれは独立した所見です。最終的に「FISHが正解」と考えてもらって結構です。
 免疫染色所見は2+のままでFISH陽性(遺伝子増幅あり)と陰性(遺伝子増幅なし)に分かれますが、『免疫染色所見はどちらも2+のまま』となります。
 
q730
★このように
陰性には
・HER2 score 0/1, HER2 score 2+(FISH陰性)と様々ありますが臨床的に区別はしません。
 ♯HER2 score 0の方がHER2 2+(FISH陰性)よりも大人しいとか、そのような区別はなく、全て同等です。
陽性には
・HER2 score 2+(FISH陽性), HER2 score 3+ とありますが、臨床的に区別はしません。
 ♯HER2 score 2+(FISH陽性)よりもHER2 score 3+の方が「ハーセプチンが効き易い」などは一切ありません。
○質問者がFISH法で陽性となる確率は25%にすぎません。殆どが陰性となるのです。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先生、FISH検査について詳しく説明ありがとうございます。
今度の検査の結果で、ルミナールAかBになるって事ですよね?
ルミナールBになった場合、ホルモン療法、抗がん剤、ハーセプチん
になるみたいなんですが、やっぱり、私の場合は、年齢的にも若いし
抗がん剤は、必ずしたほうがいいですか?
ルミナールAの場合もホルモン療法を必ずしたほうがいいですか?
副作用等がちょっと不安です。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
質問者は
腫瘍径15×11×15mm グレード 1 リンパ管1y 2 血管V 0
HER2 2 これが、まだ検査でてなく、来週です。
ER +90% PR + 90%
Ki67 10~15%

回答

「今度の検査の結果で、ルミナールAかBになるって事ですよね?」
⇒その通りです。
 ①HER2がFISH陰性だった場合:ルミナールA
 ②HER2がFISH陽性だった場合:ルミナールB(HER2陽性)
 ②の場合は「所謂トリプルポジティブ」と言われます。(但し可能性は25%です)
 
「私の場合は、年齢的にも若いし抗がん剤は、必ずしたほうがいいですか?」
⇒「年齢は考える必要はありません」
 「HER2陽性」であれば化学療法+分子標的薬を「年齢にかかわらず」必ず行うべきです。
 「ホルモン感受性陽性」であればホルモン療法は「副作用とのバランスから」必ず行うべきです。
  
「ルミナールAの場合もホルモン療法を必ずしたほうがいいですか?」
⇒質問者の場合は「9.5%」再発率を低下させます。
 副作用とのバランスからは「是非行うべき」です。
 
 

 

質問者様から 【質問3 結果がでました】

先生いつも忙しい中質問に答えてくれてありがとうございます。
土曜日に、2+の陰性か陽性かの結果がでて、なんと陽性だったのです。聞かされた時に、頭が真っ白なって抗がん剤、ハーセプチン、ホルモン治療の薬のフルコースになるのと、金銭的にも大丈夫か不安になり、放心状態になってしまいました。
チラッと用紙を見たら陽性、3・1?なんかそんな数字が書いてました。もう恐くて何も聞けなくなってしまって・・・
抗がん剤はしたくなかったので。でも、抗がん剤をしないと、ハーセプチンは、受けれないのですよね。
先生は、高いところがあったから。って言ってたのは、陽性の高いとこってとこなのかな?
先生、私の場合抗がん剤を拒否して、ホルモン治療だけだと、再発、遠隔転移の確率が高いのでしょうか?
HER2陽性の場合は、やっぱりホルモン治療だけじゃ危険ですか?
ハーセプチンだけと、ホルモン治療ができればいいんですが。
 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
 HER2が免疫染色で2+⇒FISH法で陽性(CEP比で3.1倍)だったのですね。
 ♯CEPは第17番染色体のコピー数を表すと考えられ、『これに対して2倍以上のコピー数を認める場合にHER2遺伝子が増幅』していると判断するのです。

回答

「私の場合抗がん剤を拒否して、ホルモン治療だけだと、再発、遠隔転移の確率が高いのでしょうか?」
⇒高くはありません。
 ホルモン療法単剤でも再発リスは「16%」です。
 
「HER2陽性の場合は、やっぱりホルモン治療だけじゃ危険ですか?」
⇒危険ではありません。
 前述したように早期乳癌なので「ホルモン療法だけでも再発率は低い」のです。
 ただ、「ハーセプチンはとてもいい治療」です。
 
「ハーセプチンだけと、ホルモン治療ができればいいんですが」
⇒TC療法(3週間に1回を4回)はした方がいいです。
 ハーセプチンは金銭的には高いですが、副作用とのバランスが非常にいい(副作用は殆ど無と考えて結構です)ので、「抗HER2療法」は絶対的に勧められます。