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転院の可能性とHER2タイプの術前化学療法について

[管理番号:2458]
性別:女性
年齢:57才
田澤先生、はじめまして。
3/2の17:20に先生のセカンド・オピニオンの予約を入れま
した○○市に住む○○と申します。
乳がんの診断を受けてから
何度も何度もこちらのサイトを訪れては勉強をさせていただいております。
先生に診て頂きたく、
取りあえず検査結果を持って、とセカンドオピニオンの予約を取らせて頂きました。
主治医はなるべく急いで検査を入れてくださっていますが
全ての検査結果が出るまでに時間がかかり非常に焦っております。
こちらで先に質問させて頂くことをお許しください。
現在のステージは恐らく2bか3(CTの結果による?)
主治医からはまだ言われておりません。
今かかっている病院では、半年の術前化学療法、それから手術になる、との事です。
手術待ちが多く、手術先行は無理だとの事。
抗がん剤の予約は初日が3/○に入っておりました。
①私は温存を望んでおりません。
例えばこれから江戸川病院へ転院を希望しても
手術は同じように数か月先になりますでしょうか?
②もし、江戸川病院で手術がかなった場合、
やはり術前化学療法ということになりますでしょうか?
③万が一別病院で手術先行がかなった場合、江戸川病院で術後化学療法を受ける、ということは可能でしょうか?
④私のようなHER2タイプに対しての術前化学療法に対して先生のご意見はいかがでしょうか。
抗がん剤が効かなければ、すぐ手術になる、との事ですが
それでは遅いのでは・・早く治療を始めなくてはと、心配でなりません。
HER2タイプで進行が早い(Ki67の高値)と聞いて
こうしている間にも腫瘍がどんどん大きくなっているのでは、進行するのでは、と
いても立ってもいられなく毎日不安で押しつぶされそうです。
お忙しいところ、まことに恐縮ですがどうぞ宜しくお願いいたします。
【現在の症状】
今年の2/○に大学病院にて初診、
その日にバネ式針生検、マンモ、担当医のエコーを受けました。
2/○○に担当医から組織検査の結果を知らされました。
初診時の主治医のエコーでは
「大体2.3cm、おそらくリンパへの転移はなさそうだ」との事でしたが
その後のMRIの結果、2か所転移の疑いが高い。
しこりは3cmとなりました。
その時にリンパの針生検をいたしました。
現時点で、MRI、CT検査が終わり、来週に骨シンチグラフィの予約が入っています。
≪病理診断≫
Right breast, needle biopsy-invasive ductal carcinoma
免疫組織化学的には
ER(Allred score)1(PS)+2(IS)=3 (TS)
PgR(Allred score) 0 (PS)+0 (IS)=0(TS)
HER2 score 3+(FISH検査待ち)
Ki67 80%
histological grade 2
tubule and gland formation 3
mitotic counts 2
右乳腺より採取された針生検組織4本いずれのスコアにおいても。
中等度に腫大した核を有するN/C比の高い異形細胞の胞巣状策状浸潤増殖像を認める。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「今かかっている病院では、半年の術前化学療法、それから手術になる、との事」
⇒術前化学療法にする根拠は何ですか?
 単に、「手術待ちが多く、手術先行は無理」という理由であれば、「可能な手術予定」を設定し、ただ待っているのも時間の無駄だから(それに合わせて)「数回の抗ガン剤を術前に行う」というやり方でもいい訳です。
 「HER2タイプ」だから(何も考えずに)「術前抗がん剤と決めつける」というのは正しくありません。
 質問者は大学病院で診療中のようですが、おそらく質問者の住所から○○大学病院だと思いますが…
 比較的近隣なので、最近その大学病院受診者の転院が目立っています。
 診療内容は(都内の私立大学病院よりはまだましかもしれませんが)やはり私には納得できない事が多いのが実情です。
 
「①私は温存を望んでおりません。」
⇒であれば、「術前化学療法は全く無用」です。
 
「例えばこれから江戸川病院へ転院を希望しても手術は同じように数か月先になりますでしょうか?」
「②もし、江戸川病院で手術がかなった場合、やはり術前化学療法ということになりますでしょうか?」
⇒勿論「半年後」ということはありませんが、ある程度先にはなります。
 
 「HER2陽性」である以上、「術後に必ず抗HER2療法が必要とはなる」ので、「手術までの期間に2回位、抗がん剤をやっておく(術後にやる分を減らすことにもなります)」ことになります。
 その後、手術、術後(残りの抗HER2療法」となります。
 
「③万が一別病院で手術先行がかなった場合、江戸川病院で術後化学療法を受ける、ということは可能でしょうか?」
⇒それも可能です。
 今までには無いパターンではあります。
 
「④私のようなHER2タイプに対しての術前化学療法に対して先生のご意見はいかがでしょうか。」
⇒術前化学療法に「サブタイプは無関係」です。
 「小さくして温存」以外の目的で術前化学療法を行ってはいけません。
 ただ、(トリプルネガティブのケースでもそうですが)手術待ちまでの間に(時間を無駄にしないために)「術後にやる分の数回を術前にやっておく」という考え方は合理的と思います。
 
「HER2タイプで進行が早い(Ki67の高値)と聞いてこうしている間にも腫瘍がどんどん大きくなっているのでは、進行するのでは、といても立ってもいられなく毎日不安で押しつぶされそうです。」
⇒気持ちは良く解りますが…
 「HER2タイプだから」とか「Ki67が高いから」というのは考え過ぎです。
 
「その時にリンパの針生検をいたしました。」
⇒これはさすがに「リンパ節の細胞診」の誤りですよね?
 余程の事が無い限りは「腋窩リンパ節に針生検はしない」筈だし、そもそも「腋窩リンパ節の細胞診など無意味」です。♯画像診断で確定できない場合には、「センチネルリンパ節生検で確認すべき」ものです。
 こう言っては失礼かもしれませんが、「大学病院の医師の技術では腋窩細胞診はまともに出ない(検体不適性)となりそうです」
 
「現時点で、MRI、CT検査が終わり、来週に骨シンチグラフィの予約が入っています。」
⇒骨シンチグラムは全く無駄な「医療被曝」です。
 こまったものです。