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トリプルネガティヴ 2A 心疾患あり

[管理番号:404]
性別:女性
年齢:40歳
3月に左胸に痛みを感じ、乳腺外来にて、マンモトーム、CT 、MRI検査終わり、今月乳がんの診断つきました。
先天性心疾患{大動脈弁狭窄閉鎖不全}で、20代にRooS手術、妊娠出産後、二年前に人口弁へのベントール術をうけました。
そしての、今回トリプルネガティヴ乳がんです。
担当医は、抗ガン剤からの術前治療が出来れば、そちらからするとの説明でした。
日常生活や仕事は、疲労感じつつもこなしてきたので、私も効果のありそうな術前治療が出来ればと思っています。
放射線治療も、心疾患の為無理と言われ、治療法が限られていることへの不安と焦りを感じています。
明日、心臓のDr.と乳腺の先生との話しで、治療法が決定しますが、私が、確認しておくべき事は何でしょうか?
お忙しいところ申し訳ありませんが、先生からご助言頂ければ嬉しいです。
(2015年5月の質問)
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 確かに「放射線治療の適応は無い」と思います。
 トリプルネガティブであれば「浸潤径が5mm以下」でない限りは「化学療法の適応」となりますので、御心配な事と思います。
 それでは回答します。

回答

「担当医は、抗ガン剤からの術前治療が出来れば、そちらからするとの説明」
⇒「術前化学療法」を勧めているようですが、それは何故でしょうか?
 「術前化学療法の絶対的適応」は(現状では腫瘍が大きすぎて、乳房温存の適応とならない)場合に、(術前化学療法を行い)『小さくして温存術を行う』場合です。
 質問者に当てはまるのでしょうか?
★もし
①「トリプルネガティブでは、化学療法は術前か、術後にどうせ行わなくてはならない」から「術前に化学療法を行う」
②「術前に化学療法を行うと」化学療法に対する「感受性」が試せる
 これら①②の理由であれば、別に「術前化学療法」にこだわる必要は全くありません。
 『手術先行と術前化学療法では、生命予後は全く変わらない』事を知っておく必要があります。
 
「私が、確認しておくべき事は何でしょうか?」
・腫瘍の大きさや拡がり⇒このままで「温存術が行えるのか?どうか?」
・(画像上の)リンパ節転移の有無⇒「術中センチネルリンパ節生検の適応があるか?どうか?」
・担当医が「何故、術前化学療法を勧めているのか?」
   理由が★①や②であれば、「術前化学療法ではなく」手術先行でも何ら問題ありません。
 
 

 

質問者様から 【質問2 術前化学療法の理由について】

先生、ご返答いただきありがとうございます。
今回決まった治療法は、感受性を試せるという内容で術前化学療法に決まりました。
術前治療により、術後の化学療法の検討がつくと言った説明でした。
現在しこりは、3センチ、エコーではリンパ節転移なしです。自己症状としては、チクチクとした痛みがあり、大きくなっているのではと不安に思っています。
薬は、タキソールを週1の12回、その後心臓の状態見てよければ、アンスラサイクリン系をし、その後、術の予定となりました。
トリプルネガティヴの治療法として、先生はどうお考えになるかお聞きできれば、嬉しいです。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 術前化学療法の根拠として「感受性を試せる」というのは、『縮小して温存のような絶対的適応』ではありません。
 結局、術前「3センチの腫瘍が小さくなるか?」という事と、術後に「目で見えない小さな癌細胞をターゲットとした再発予防」とは全く目的が異なるからです。
 つまり、大きな腫瘍には「あまり効果が無い」場合でも「(術後のように)小さな癌細胞をターゲットとすると効果がある」場合もある筈だからです。

回答

「タキソールを週1の12回、その後心臓の状態見てよければ、アンスラサイクリン系」「トリプルネガティヴの治療法として、先生はどうお考えになるか」
⇒理想的です。
 「術前、術後療法としての化学療法」の最強はアンスラ+タキサンです。
 しかもタキサンにはタキソール(パクリタキセル)とタキソテール(ドセタキセル)がありますが、タキソール(毎週投与)>タキソテール(3週投与)である事は確実です。
 このレジメンで頑張ってください。

質問者様の別の質問

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