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母親の乳がんの今後の治療について

[管理番号:3647]
性別:女性
年齢:60歳
母親の乳がんの今後の治療について
私は現在大学生で母親は乳がんの闘病中です。
本人に今後の治療に関して強い不安があるようで、自分に何かアドバイス出来ることが無いだろうかと思い質問させていただきます。
不安な点として現在8回程の抗がん剤治療の後乳房温存手術により病巣を取り除いた後放射線治療を行っている段階なのですが、
前日主治医より手術の際取り除いた病巣の病理検査の結果がん細胞が抗がん剤により完全には死滅しておらず、
放射線治療の後に再度抗がん剤治療を行うとの説明を受けたようで、その後の再発の可能性や生存率についての不安、「またあの辛い抗癌剤治療を行わなければならない」というショックで非常に苦しんでいるようです。
そして、もし抗癌剤を出来るだけ又は全く使用しなくても良い様な治療が可能ならその方向性も視野に入れていきたいようです。
私も出来る限り力になりたいのですが、どの様なアドバイス、行動をすれば良いか全く解らず困っています。
ご意見をお聞かせ下さい。
・現在までの治療
昨年12月に乳がんIIb期、トリプルネガティブと診断される。
大学病院に転院
今年1月より今年7月上旬までの抗がん剤による化学療法によりPET検査では癌は見えなくなる程?小さくなる
今年7月下旬乳房温存手術手術により病巣を切除今年8月中旬から現在まで放射線治療により治療、予定では9月の下旬まで。
どうぞよろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「現在8回程の抗がん剤治療の後」
⇒これは所謂「アンスラタキサン」ですね?
 以下のどれかの筈です。
 ①FECx4⇒DTXx4
 ②ECx4⇒DTXx4
 ③ACx4⇒DTXx4
「手術の際取り除いた病巣の病理検査の結果がん細胞が抗がん剤により完全には死滅しておらず、放射線治療の後に再度抗がん剤治療を行う」
⇒不要です。
 標準治療では「術前もしくは術後」に行うものであり、「術前にきっちりと予定投与量行った」わけだから「抗ガン剤の追加は不要」です。
 pCR(病理学的完全寛解)が出なかったからと言って「術後に抗ガン剤を追加する」ことは標準治療ではありません。
 ○術前抗がん剤は「小さくして温存」する目的のものです。
  その意味では質問者(のお母さん)は「目的を達しています」
  そして「再発予防としての抗ガン剤も兼ねている」のです。
 pCRを出したかった(担当医の)気持ちは解りますが「pCRがでなかったら」術後余計に抗ガン剤を施行するという考え方は危険です。(標準治療ではありません)
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先日は回答を頂きありがとうございます.
以下に病理検査の内容を書かせて頂きましたが、やはり抗がん剤投与は不適切なのでしょうか。
素人考えでは、がん細胞が残っていた以上、手術で取り切れない細胞が残っている可能性が高く、残りの細胞を抗がん剤で死滅させたほうが良いように思ってしまいます。
また母の状況をどの様に理解したら良いでしょうか。
宜しくお願いします。
*臨床診断
左乳房上外側部乳癌 (C)
*臨床所見
左TNBC T1N1M0 Stage IIA にて FEC+DTC 施行臨床効果はcCRにて Bt+Ax施行しました.
1〉 腫蕩断端診断 と化学療法効果 腫蕩の管内成分を含む部分は石灰化有りと患われます.
2〉 リンパ節 転移診断 をお願いいたします.
__________________________________
*依頼目的 乳癌TNBC、 術前化学療法後評価
左乳腺外側上/ 手術 : scirrhous carcinoma.
左腋窩リンパ節/手術 : n(+).
*病理所見
検体は乳腺手術材料です. 標本は(1)~(12)乳腺, (13)左腋窩リ ンパ節です.
左乳腺に残存する腫瘍は. 大型核と好酸性胞体を有する異型細胞の胞巣状あるいは索状
の増殖からなります(浸潤最大径13x3mm). 浸潤部周囲にはコメ ド型の壊死や石灰化を伴う乳管内病巣がみられます. 腫瘍は乳腺外脂肪組織に浸潤し,多数の脈管浸襲を伴います.
側方断片および深部断端はいずれも陰性です.
リンパ節に転移が散見されます.
腫瘍周囲の壊死や肉芽腫形成 腫瘍細胞の変性を認め. 治療効果として矛盾しません.
組織学的治療効果判定はGrade 1b相当です.
[invasive ductal carcinoma, scirrhous carcinoma. g・f,  ly/v(+), nuclear grade 3(nuclear atypia 3, mitotic counts 2), pN(+) (6/11)]
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
前回の回答そのままですが、ご理解いただけなかった事を残念に思います。
 (前回の抜粋)
「手術の際取り除いた病巣の病理検査の結果がん細胞が抗がん剤により完全には死滅しておらず、放射線治療の後に再度抗がん剤治療を行う」
⇒不要です。
 標準治療では「術前もしくは術後」に行うものであり、「術前にきっちりと予定投与量行った」わけだから「抗ガン剤の追加は不要」です。
 pCR(病理学的完全寛解)が出なかったからと言って「術後に抗ガン剤を追加する」ことは標準治療ではありません。
 ○術前抗がん剤は「小さくして温存」する目的のものです。
  その意味では質問者(のお母さん)は「目的を達しています」
  そして「再発予防としての抗ガン剤も兼ねている」のです。
 pCRを出したかった(担当医の)気持ちは解りますが「pCRがでなかったら」術後余計に抗ガン剤を施行するという考え方は危険です。(標準治療ではありません)
◎術前化学療法で「pCRがでなかった(通常、pCRは術前化学療法のせいぜい10%程度です)こと」=「癌が残っている」ではありません。
 よく考えてください。 「手術で摘出した標本に癌が残存していた」ことは「現に体に癌が残存している」こととは『天と地ほども離れている』のです。
 もう一度よく、考えてく見てください。(できれば、その担当医にも良く考えてみてほしいものです)