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外科的生検

[管理番号:3205]
性別:女性
年齢:50歳
外科的生検についてお尋ねします。
先日、左乳房左下周辺に10mmほどのしこりが見つかりエコーとマンモグラフィー検査をしました。
その時、医師が念のため針生検をしましょうと言われました。
悪性の疑いがあるのでしょうか?と質問したのですが、
それは分かりません。
悪性かどうか診断するために生検をするのです。
と言われ、それ以上は伺えませんでした。
生検は外科的生検で、しこりを取り除きました。
結果は2週間後です。
生検後、止血のため、患部を医者が押さえてくれてましたが
世間話に終始し、聞きづらい雰囲気で何も聞けませんでした。
自宅に帰り、こちらのWEBで乳がんの確定診断は、
マンモトーム生検で出来ると書かれてあったので、私の場合はなぜマンモトーム生検ではなく、
外科的生検をされたのか疑問に思いました。
乳房には傷跡が6cmほど残り、完全には消えないようです。
もし乳がんであるなら、傷跡とか言う場合ではないと思うのですが
検査の段階で傷跡が少ない、また確定診断が出来るマンモトーム生検をして頂きたかったです。
詳細不明のなかでご意見伺うのは恐縮ですが、先生の場合で、マンモトーム生検ではなく外科的生検を選択する場合はあるのでしょうか?
今回の私の医者の外科的生検にご意見、ご感想をお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
残念なことに…
全ての乳腺外科医が「マンモトームを使いこなす(そもそも機器が無い施設もあります)」わけではないのが実情です。
「私の場合はなぜマンモトーム生検ではなく外科的生検をされたのか疑問に思いました。」
⇒残念ながら「マンモトーム生検もしくはバネ式針生検に自信が無い」のだと思います。
 
 
「先生の場合で、マンモトーム生検ではなく外科的生検を選択する場合はあるのでしょうか?」
⇒以下に今週のコラム33回目「乳腺外科特有の「美点」である、「最初(診断)~最後(術後の経過観察)まで一貫して一人の主治医が担当」するという伝統が崩れ去ろうとしている」から抜粋します。
 1.バネ式針生検
 2.(超音波ガイド)マンモトーム生検
 3.(スレレオガイド)マンモトーム生検
 4.外科的生検
 ○石灰化の場合 3を選択⇒(もしも判定困難となった場合には)4を選択
 ○均質な病変  1を選択
 ○不均質な病変、広範囲の病変 2を選択(このケースでは4が必要となることはほぼ無いです)
 ○嚢胞内腫瘍  4を選択(1や2でも診断可能だが、それらでは病変が散らばる可能性があるため)
 お解りでしょうか?
 通常の腫瘍(石灰化でもなく、嚢胞内腫瘍でもなければ)マンモトーム生検で「100%確定診断」がつきます。
  ♯石灰化は「病変全体を把握することが不可能」だから(ステレオガイド下マンモトーム生検で確定診断がつかなければ)「外科的生検」が必要となり、
   嚢胞内腫瘍は「針をさすことで病変の流出(拡散)」を考慮して「最初から外科的生検を選択すべき」なのです。
 
「今回の私の医者の外科的生検にご意見、ご感想をお願いいたします。」
⇒何故、針生検(バネ式にしろ、マンモトームにしろ)を使わなかったのか?
 10mmの腫瘍であれば「バネ式でもマンモトームでも診断は容易」です。
 経験の問題でしょう。
 私のように毎日「多い日には10件近く」組織診をしていれば、全く躊躇ない筈ですが、「たまにしか針生検しない」ような医師には「10mmでは(狙いを)外すかもしれない。」と思うのかもしれません。