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母親が癌告知を受けました。

[管理番号:2671]
性別:女性
年齢:62歳
初めまして。
母の話なのですが、1年ほど前から右胸に小さなしこりの様な物を感じており先日、マンモ、エコー、針生検を受けた結果乳癌であることが発覚致しました。
しこりの大きさは15㎜×5㎜程度との事です。
しこりは1つしか確認されていません。
また、エコーで見る限りでは、リンパに腫れはないが、転移の可能性も否定出来ない為、後日CT、MRIを受ける予定になっております。
突然の癌告知に本人よりも私が動揺してしまっており、全ての検査結果が出るまで不安で仕方ありません。
もちろん、検査結果を見るまで確かなことはわからないと承知しているのですが、この程度の大きさのしこりでもリンパや他部位への転移の可能性は高いのでしょうか?
また、リンパへの転移だけでなく血管を通って骨などに転移することもあると知り、怖くなっています。
全ての検査結果が出るまでまだあと2週間以上あります。
その間にでも出来ることは何かあるでしょうか?
(生活習慣や食生活の改善など)
よろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。
cT1c, cN0, cStage1ですね。
十分な早期乳癌です。
まずは一安心です。
「また、エコーで見る限りでは、リンパに腫れはないが、転移の可能性も否定出来ない為、後日CT MRIを受ける予定になっております。」
⇒MRIは「乳腺内の拡がりをみるための検査」であり、「術式決定(温存か全摘か)に必要」ですが、CTは無用です。
 ○腋窩リンパ節の画像評価は「エコーで十分」だし、結局は「術中センチネルリンパ節生検を行う」わけです。
 遠隔転移などは決して無いのでご安心を
 
「この程度の大きさのしこりでもリンパや他部位への転移の可能性は高いのでしょうか?」
⇒まずは「リンパ節転移」と「遠隔臓器転移」にわけて考えてください。
 ○リンパ節転移は「腫瘍が小さくても、起こる可能性」はあります。
 ただし、「腫瘍径15mmでエコーでリンパ節腫大所見なし」であれば、「リンパ節転移の可能性は極めて低い」と思って結構です。
 ○遠隔臓器転移は、「絶対にありません」
 
「また、リンパへの転移だけでなく血管を通って骨などに転移することもある」
⇒癌と言うのは(乳癌に限らず)全身に転移する可能性があります。
 ただし、「乳癌の初期治療の段階」では「遠隔臓器転移はありません」
 ☆乳癌で遠隔臓器転移を起こすのは『術後、数年して(不幸にも)再発したときだけ』なのです。
 乳癌の初期治療の段階では「遠隔臓器転移はない」のです。
 くれぐれも「無駄な検査(骨シンチやPETなど)をされない」ように、気をつけてください。
 
「その間にでも出来ることは何かあるでしょうか?(生活習慣や食生活の改善など)」
⇒ありません。
 ただ、(気になるとは思いますが)「決して腫瘍をマッサージしたり、ぐりぐり触らないこと」が重要です。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先日はご丁寧な回答を頂き、ありがとうございました。
十分な早期であること、他臓器等への転移の可能性はないということを断言して頂けて一安心出来ました。
しかし、以下三点について少し気になっているので教えて頂けると幸いです。
①4/(上旬)にCT、4/(上旬)にMRI、4/(中旬)に全ての検査結果が出ることになっているのですが、こんなにも日にちが空いてしまって、その間に癌細胞が大きくなったりリンパへの転移が進んだりしないのかが心配です。
その様なことはありえますか?
②しこりのサイズについては現状15㎜と言われていますが手術してみたら実際はもっと大きかったという様なことはよくあるのでしょうか?
③針生検の結果でホルモンレセプターは陽性だということだけ説明され、HER2についてはまだ調べているところと言われた様なのですが、これは一度に結果が出るものではないのでしょうか?
大学病院ではないのですが、そこそこ大きな病院なので何をするにも時間がかかりじれったく思います…。
お忙しいところ申し訳ございませんが、回答お待ちしております。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「①4/(上旬)にCT、4/(上旬)にMRI、4/(中旬)に全ての検査結果が出ることになっているのですが、こんなにも日にちが空いてしまって、その間に癌細胞が大きくなったりリンパへの転移が進んだりしないのかが心配」
⇒大丈夫です。
 乳癌は非常に増えており、「診断から手術まで2,3カ月」というケースも少なくありません。
 それでも「乳癌は大人しいので」問題ありません。
 
「②しこりのサイズについては現状15㎜と言われていますが手術してみたら実際はもっと大きかったという様なことはよくあるのでしょうか?」
⇒「病理学的浸潤径は顕微鏡でのサイズ」なので「画像によるサイズ」とは多少異なります。
 しかし「大きな違い」はありません。
 
「③針生検の結果でホルモンレセプターは陽性だということだけ説明され、HER2についてはまだ調べているところと言われた様なのですが、これは一度に結果が出るものではないのでしょうか?」
⇒免疫染色の結果は「同時に出る」のが通常です。
 ただしHER2が2+だった場合にはFISH法が追加となります。そうすると2週間程度余計にかかるのです。
 (参考に)
 HER2 0,1+ : 陰性
 HER2 2+   : FISH検査で確認
 HER2 3+   : 陽性
 
 

 

質問者様から 【質問3】

先日はご丁寧な回答ありがとうございました。
昨日全ての検査結果が出て、私も同席して説明を聞いて来ました。
・腫瘍径15mm~17mm程度
・リンパ転移無し
・ホルモン受容体 陽性
・HER2 陰性
リンパ転移については術中にセンチネルリンパ節生検を行い、術後10日ほどで病理検査結果が出るとの事でした。
手術は4月(下旬)日に決まりました。
治療としては、手術後放射線治療&5年間のホルモン治療と聞いています。
2点教えてください。
①術前画像検査でリンパ転移無しでも術後病理検査で転移が見つかる可能性はどの程度あるのでしょうか?
②上記の情報から再発率はわかりますでしょうか?(検査結果のレポートを頂けていないので詳しい数値等がわからずすみません。)
お忙しいところお手数ですがよろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
cT1c, cN0, luminal type
「①術前画像検査でリンパ転移無しでも術後病理検査で転移が見つかる可能性はどの程度あるのでしょうか?」
⇒所見の程度によるので一概には言えません。
 
 おおよそ10%程度と考えるといいでしょう。
 
「②上記の情報から再発率はわかりますでしょう」
⇒不明です。
 術後に「最大浸潤径」「リンパ節転移の有無」「グレード」などがはっきりしたら解ります。
 手術前に「考えるようなこと」ではありません。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

お世話になります。
先日無事に部分摘出手術が終わり、本日術後の病理検査結果を聞いて来ました。
詳しい数値は教えてもらえなかったのですが、下記の様な結果でした。
腫瘍径:17mm
核異型度(組織学的グレード):1
リンパ節転移:0
脈管浸潤:軽度
女性ホルモン受容体:陽性
HER2:陰性
ki67:低い
治療方針は当初と変わらず5週間の放射線照射と5年間のホルモン剤投与となりました。
詳しい数値がないのですが、上記の様な内容でも再発率を出して頂くことは可能でしょうか?
また、脈管に少し浸潤していることが気掛かりですが、摘出部分に浸潤していたという事は他の脈管にも浸潤していて、また、
そこから転移してしまう可能性はどの程度考えられるでしょうか。
お忙しいところお手数ですがよろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
pT1c(17mm), pN0, NG1, luminalA
完璧な低リスクです。
勿論化学療法の適応外となります。
「治療方針は当初と変わらず5週間の放射線照射と5年間のホルモン剤投与となりました。」
⇒完璧です。
 それ以上は不要です。
 
「上記の様な内容でも再発率を出して頂くことは可能でしょうか?」
⇒再発率は9%となります。
 
「また、脈管に少し浸潤していることが気掛かりですが、摘出部分に浸潤していたという事は他の脈管にも浸潤していて、また、そこから転移してしまう可能性はどの程度考えられるでしょうか。」
⇒考え過ぎです。
 気にしない様にしましょう。
 様々なリスク低減のためにこそ、「ホルモン療法と放射線がある」のです。