Site Overlay

私の癌と治療方針について質問です

[管理番号:4831]
性別:女性
年齢:42歳
はじめまして。
42歳既婚 5歳と1歳の子供がいます。
いつもQ&Aを拝見し、参考にさせていただいています。
1月に左胸にしこりを自覚し、その後4月に最寄りの乳腺外科のある病院でのエコーによる腫瘤発見を経て、
○○医療センターに転院し、以下の検査を進めてまいりました。
◆5/(上旬)  エコー、マンモを実施し、悪性の可能性が高いということで即日、針生検実施
◆5/(下旬)  針生検の結果は以下の通りでした。
—————————————–
左乳腺生検
類円刑の腫大濃染核を有する異型細胞が、索状、胞巣状に増殖しています。
Invasive carcinoma of no special type と考えます。
Nuclear atypia score: 2点
Mitotic counts score: 1点
Nuclear grade: Grade 1
Tubule and gland formation : Score3
Nuclear pleomorphism : Score2
Mitotic counts score: Score1
Histological Grade : Grade2(moderately differentiated)
ER : (+)98%
PgR : (+)60%
HER2 : 2+
Ki67 Labeling index : 54%
—————————————————
◆5/(下旬) 脇リンパの細胞診実施
◆5/(下旬) MRI実施
◆5/(下旬) これまでの検査結果からの総合しての先生の見解と治療方針の決定
・癌は3.4cmのサイズで細長いもの 極限しているが範囲は広い
・サブタイプはルミナールB
・脇リンパの細胞診の結果は、転移あり
・ステージ2b
上記の結果を踏まえて、
メイン(治療の主役)はホルモン治療。
ルミナールなのですごく抗がん剤が効くという癌ではないかもしれないけれど、数は少なそうではあるもののリンパ転移があったこと、またKi67の数値が高いことから抗がん剤はやった方がいい。
(ただあくまでも治療の脇役)
後は以下の治療の順番をどうするかということでした。
①手術
②術前or術後 抗がん剤 +(検査中のfish陽性が出たら追加でハーセプチン)
③部分切除の場合は放射線治療
④ホルモン治療
抗がん剤を術前にやるか術後にやるかについて、生存率は変わらないとのことで、
私たちの希望に沿うとのことでした。
大きい病院の為、手術を先にやるとしても7月末まで待たなくてはならないとのことで、
このままの精神状態でただ待つことがとても苦しいということもあり、術前に抗がん剤をすることにしました。
②→①→③→④という順番となりました。
抗がん剤は エピルビシンとエンドキサンを2週間に1回を4回行い、その後別の抗がん剤(fish結果によってはセットでハーセプチン)
を行うということでした。
その後、手術になる為、手術は10月頃になるとのことでした。
ここで質問させていただきたいのは、
①上記の治療で田澤先生も問題ないと思われますでしょうか
②私自身の精神的な問題で術前化学療法を選択しましたが、田澤先生も術前か術後かはどちらでもよいと思われますでしょうか。
 術前だと使用する抗がん剤が私の癌に効果的であったか判断しやすいと思いますが、
術前のデメリットもあるのでしょうか。
③術前化学療法だと手術は7月末、術後化学療法だと手術は10月になります。
リンパへの転移もあることが分かっているのにそんな流暢なことを言っていて大丈夫でしょうか。
④遠隔転移を心配しているのですが、現時点でCTや骨シンチをしても意味はないでしょうか
⑤ki67数値が高いこと、ホルモン受容体陽性であるいこと、もしかしたらfish結果によってはこちらも陽性であること、また一昨年10月から今年の2月まで授乳していて今も絞れば母乳が少し出る状態で乳腺の血流もよく癌が育っているのではないか(これは私の想像です)
 という事を踏まえると、私の癌はとても増殖性が高く、再発性も高いのではないかと、毎日考えては不安と悲しみで落ち込んでしまいます。
 私の乳がんはどのくらいの再発性がありますでしょうか。
以上になります。
長文・乱文大変失礼いたしました。
不安と悲しみで押しつぶされそうですが、幼い2人の子供の為に、前向きに治療に取り組んでまいりたいと思います。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
もしも質問者がこのQandAを暫く見ていたら以下のことに気づく筈です。
私は決して「術前化学療法は小さくして温存以外の理由は認めない」ということです。
 ♯ただ(現時点で)手術不能状態の場合は除く(この場合には化学療法しか選択肢がなくなります。)
「①上記の治療で田澤先生も問題ないと思われますでしょうか」
⇒上記コメント通りです。
 もしも質問者の現状が「今のままでは(拡がりがあり)温存できない」場合に、
「小さくして温存したい」というのであれば、術前化学療法で勿論問題ありません。
 ただ、手術が混んでいるから仕方がないので化学療法をする場合には(これが質問者のケースですね?)
  (当院でも時々行いますが) 一番近い手術日を設定して、その(手術待ちの期間中だけ)抗癌剤を行うという方法があります。
 ☆具体的にいうと…
   7月30日に手術とすると、 6月10日、6月31日と2回抗癌剤を行い、其の1カ月後(7月30日)に手術、(そして術後に抗癌剤がやはり必要なら)術後には(術前に行った分を引いた回数の)抗癌剤を行う。
「②私自身の精神的な問題で術前化学療法を選択しましたが、田澤先生も術前か術後かはどちらでもよいと思われますでしょうか。」
⇒冒頭のコメント通りです。
 「小さくして温存以外の術前化学療法は認めません」
 (質問者が、上記に当てはまらないのであれば)当然「手術先行」とします。(①の回答のように、間が空く場合には、その間の化学療法を行うケースはあります)
「術前だと使用する抗がん剤が私の癌に効果的であったか判断しやすいと思います」
⇒それは「誤り」です。
 術前術後に行う抗癌剤は適応が決まっている(アンスラサイクリン及びタキサン)ので、(そんな判断は)何の意味もありません。
 そもそも、「目に見える腫瘍に対する効果が無かったとしても」再発予防としての(目に見えないレベルの)癌細胞に本当に効果がないのかは誰にも解らないからです。
「術前のデメリットもあるのでしょうか。」
⇒化学療法が必ず効くと勘違いしていますか??
 術前化学療法は「効果が(もしも)無ければ」進行してしまいます。(場合によっては手術不能状態となる事さえあります)
 それを防止するためには「担当医自身が、(効かないかもしれないという)自覚をしっかり持ち、3週間に1回の超音波を欠かさない」ことが必要なのです。
 是非『今週のコラム 81回目 肺転移が出現した。もう手術はできない。』をご一読ください。
 
「③術前化学療法だと手術は7月末、術後化学療法だと手術は10月になります。リンパへの転移もあることが分かっているのにそんな流暢なことを言っていて大丈夫でしょうか。」
⇒手術2カ月待ちは、通常のことです。
 乳癌患者数が増加している現状では、仕方がないレベルだと言えます。
「④遠隔転移を心配しているのですが、現時点でCTや骨シンチをしても意味はないでしょうか」
⇒不要です。
「私の癌はとても増殖性が高く、再発性も高いのではないかと、毎日考えては不安と悲しみで落ち込んでしまいます。」
⇒全くの考え過ぎです。
 心配無用です。
「 私の乳がんはどのくらいの再発性がありますでしょうか。」
⇒術後の病理結果が出てから考えましょう。