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不安な毎日

[管理番号:1820]
性別:女性
年齢:36歳
はじめまして。
2年半前に、マンモの検査をして、異常なし。
しこりが気になっていたので、先月、近くの病院の乳腺外来に行きました。
マンモ・エコーをしたところ、疑わしいエコー画像ということだったので、その場で細胞診をしてもらい、
1週間後、結果は「クラスⅢ」でした。→針生検を行ない、更に1週間後、検査結果と共に、乳がんの告知をされました。
結果:硬癌の浸潤が認められる  核異型度:グレード1(NA1、MI1) 脂肪織浸潤(+) DCIS巣(-)ホルモンレセプター ER
(+)PgR(+)HER(-)
ステージⅡAかⅡBと言われてます。(その先生は、がんの性質からみると、ホルモン治療をすることになるでしょうと言っていました)
入院施設のない病院の為、紹介状を書いてもらい、少し大きめな病院に受診し、早急に手術をしてほしいということを伝えました。
エコー、CT、MRの検査、骨シンチ、心電図、血液検査などの一般的な検査を行ない、次回11月30日に、担当医の診察があります。
それまで、主人が心配で心配で、毎日のように田澤先生のこちらのサイトを読ませていただき、お会いしたこともないのに、「田澤先生がこう言ってるから大丈夫だよ!」などと、主人は自分自身を励ましているような・・(笑)
CTなどの結果により、今後の方針が決まると思うのですが、もしかしたら、手術前に科学療法→手術→放射線治療という方法もあるようなことも言われました。
でも私は少しでも早く、取り除きたいと思っているのですが、どちらが最善なのかわかりません。すぐに治る方法はどちらでしょうか。
1番の不安はリンパ転移と、遠隔転移です。。
また、ホルモン治療と抗がん剤の治療の違いもよくわかりません。
教えて頂ければ嬉しいです。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
今回の件とは直接関係無いですが、「結果、癌だったのに細胞診がクラスⅢ」ということに注目してください。
癌を細胞診したのなら「細胞診はⅤを出すべきだし、最低限Ⅳ」でしょう。(癌で細胞診がクラスⅢというのは検体量不足なのです)
世の中に「如何に細胞診で正確な診断をつける医師がいないのか?」
解ってもらえると思います。
○このサイトを読んでくれている人達の中で「画像は怪しい」と言われながらも「細胞診がクラスⅢだから様子を見ましょう」と言われている方は注意してください。
私は「自分以外の医師が行った細胞診」を全く信用していません(それは○研○明の医師だろうが、○んセンターの医師だろうが皆、大差ありません)
 
○サブタイプは「luminal type」です。
♯Ki67の評価はしていませんが、「核グレード1」の中の「MI:mitotic index(核分裂指数)」が1と低値(癌細胞の核分裂が10視野で4個以内)であることから「限り無くルミナールA」と推定します。

回答

「ステージⅡAかⅡBと言われてます」
⇒「腫瘍径」と「リンパ節転移の状況」が不明ですが、おそらく
 cT2(2cm<腫瘍径≦5cm), cN0(画像上、リンパ節転移無し), cStageⅡA か、 cT2(2cm<腫瘍径≦5cm), cN1(画像上、リンパ節転移無し), cStageⅡB  という判断でのコメントでしょう。   「エコー、CT、MRの検査、骨シンチ、心電図、血液検査などの一般的な検査」
⇒エコー:(腫瘍の大きさとリンパ節転移の評価) ♯本来は初診時に、担当医自らがその場でやるべきものであり、これが為されていないところをみると「大学病院か○んセンターなど」でしょうか。
CT:全身のチェック(殆ど意味無し)と腋窩リンパ節の状況の評価
MRI:癌の拡がり診断(そのまま温存手術が可能かどうか?)
骨シンチ:全く無用な検査(意味無し)
 
「手術前に科学療法→手術→放射線治療という方法もあるようなことも言われました」
⇒術前抗がん剤は「絶対にやってはいけません」
 
 理由は簡単(ご本人の希望が)『少しでも早く、取り除きたい』とあるからです。
 ○術前抗がん剤を絶対に勧めない理由は2つあります。
①術前抗がん剤の唯一の目的は「小さくして温存」だから…ご本人の希望に沿った治療法ではない
②ルミナールタイプ(しかも、おそらくルミナールA)だから…そもそも抗がん剤の効果が期待できません。
 抗がん剤が効かなかった場合「腫瘍を体に置いたまま、進行させる」リスクの有る治療なのです。
 
「どちらが最善なのかわかりません。
⇒手術先行です。
 「術前抗がん剤」は誤った治療法と言えます。
 
「すぐに治る方法はどちらでしょうか」
⇒(リスクを回避した、安全な治療は)手術先行と言えます。
 
「1番の不安はリンパ転移と、遠隔転移です」
⇒「リンパ節転移の有無」は現段階では不明です。
 最終的には(術中に行う)「センチネルリンパ節生検」ではっきりします。
⇒「遠隔転移」はありません。 ご安心を。
 
「ホルモン治療と抗がん剤の治療の違いもよくわかりません」
⇒ホルモン療法は「ホルモン受容体陽性(ルミナールタイプ)」の方に行う治療であり、「閉経前」であれば「タモキシフェン(内服)とLH-RH(皮下注射)」があります。
 抗がん剤は「ホルモン受容体陰性(トリプルネガティブやHER2タイプを含む)」の場合や「ホルモン受容体陽性でも、ハイリスク(リンパ節転移4個以上)や細胞分裂指数が高い(ルミナールB)」の方に行う「点滴治療」です。
 副作用は「ホルモン療法」は「のぼせ」くらいですが、抗がん剤は「吐き気や脱毛、全身倦怠感、痺れ」など様々あります。
 
如何にこれら、サブタイプにつき記載します。質問者は以下の★に該当
◎サブタイプとは?
組織検査(針生検や手術標本)などで以下の3点を調べます。
・エストロゲンレセプターの発現(ER)
・プロゲステロンレセプターの発現(PgR)
・HER2蛋白の過剰発現の有無(HER2)
⇒これらの組み合わせで
●luminal type:(ER陽性、PgR陽性、HER2陰性) ホルモン療法が有効(更に増殖指数Ki67の値が低いAと高いBに分けます)
★luminalA(Ki67低値)ではホルモン療法単独を、luminalB(Ki67高値)には(ホルモン療法に加え)化学療法も行う事が多い
●HER2 type:(HER2陽性のもの) ハーセプチンという分子標的薬と通常の抗癌剤の組み合わせを行う
●トリプルネガティブ:(ER陰性、PgR陰性、HER2陰性)通常の抗癌剤を行う
●トリプルポジティブ:(ER陽性、PgR陽性、HER2陽性)ホルモン療法と分子標的薬と抗癌剤の全てを行う
 ※正式名称はluminal B(HER2タイプ)と言います。