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節外浸潤

[管理番号:969]
性別:女性
年齢:49歳
 
 

質問者様の別の質問

質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。
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管理番号:700「3.9cmの乳がん」

 
 
 
 

質問者様の別の質問

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管理番号:1041「節外浸潤治療法

 
 
いつもお忙しい中、先日も私の質問に対して、丁寧にご説明頂きありがとうございました。
口頭で伝えられていた病理検査の結果を書面を入手しました。
St Gallen2015のコンセンサスから踏まえると、ホルモン治療を優先させるはずなのに、化学治療を強くすすめられている理由としては、リンパ転移2本のうち1本がリンパ節を破り、脂肪層まで浸潤していたからということです。
記述は下記の通りです。
Sections show two out of 17 lymph nodes positive for metastatic carcinoma. The larger involved lymph node shows focal evidence of extranodal extension.
この状況は、ルミナルAでも化学治療を行う理由に値するのでしょうか?
それとも、浸潤がん以外に非浸潤乳管がんがひとつあったようなのですが、それが関係しているのでしょうか?
Ki67が2%でとても大人しいはずのがんなのに、体の中で実際に起こっていることとは全く一致せず、なぜそうなのか説明が出来かねるようです。
昨年12月もマンモにも写っていないのに、8ヶ月後には4.1cmに巨大化していたことになります。
先生はこのようなケースを経験されたことはありますか?
このような場合は、Ki67が低くても、化学治療が良く効く可能性があるのでしょうか?
オンコタイプDXの検査を依頼しようと思いますが、どれ程信頼度があるのでしょうか?
閉経前でリンパ転移がある場合は、まだ信頼度の高い結果が出ていないらしいのですが。
もしオンコタイプの結果が高リスクなら、化学治療を検討することになりかねないのですが、その場合は放射線治療をしないという選択肢もあるのでしょうか?
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 「extranodal invasion」ともいいます。
 日本語では「節外浸潤」です。
 一般的には「予後不良因子」の一つと考えられています。
 その意味で「抗がん剤を勧める」というのは理解できます。
 また「局所因子」でもあるので「放射線治療も考慮すべき」ことだと思います。
 ただし、「節外浸潤」に対する「評価」は一定していないので、医師によって「考え方が異なる」ところだと思います。

回答

「この状況は、ルミナルAでも化学治療を行う理由に値するのでしょうか?」
⇒私も「節外浸潤」であれば、化学療法を行うと思います。
 根拠(データ)がある訳ではありませんが…
 
「それとも、浸潤がん以外に非浸潤乳管がんがひとつあったようなのですが、それが関係しているのでしょうか?」
⇒非浸潤癌は関係ありません。
 
「先生はこのようなケースを経験されたことはありますか?」
⇒あります。
 「Ki67値が小さい=細胞分裂期にある細胞割合が低い」訳ですが、「急速に増大」することはあります。
 ひとつの例では「非浸潤癌として広い範囲に拡がり(この時点では石灰化でも無ければマンモでは不明です。超音波をすれば腫瘤非形成性病変として描出されることはあります)、そして一気に浸潤する」ケースがあります。
 
 
「このような場合は、Ki67が低くても、化学治療が良く効く可能性があるのでしょうか?」
⇒これは正直解りません。
 ただ、「節外浸潤」する場合ではそれだけ「浸潤する力」が大きいかもしれません。
 その意味では「抗がん剤するべき」ではないかと思います(根拠に乏しいですが…)
 
「オンコタイプDXの検査を依頼しようと思いますが、どれ程信頼度があるのでしょうか?閉経前でリンパ転移がある場合は、まだ信頼度の高い結果が出ていないらしいのですが」
⇒その通りです。
 閉経前であれば、「リンパ節転移無」でしか適応がありません。
 行うべきではないと思います。
 
「化学治療を検討することになりかねないのですが、その場合は放射線治療をしないという選択肢もあるのでしょうか?」
⇒やはり「節外浸潤」であれば、放射線照射もした方がいいと思います。
 担当医と良く相談してください。
 節外浸潤には用心した方がいいと思います。