乳がん手術は江戸川病院・東京


[管理番号:35]
性別:女性
年齢:50歳

 乳がん検診を11月にやりました。

 触診は異常なしでしたが、マンモグラフィでは石灰化がみられ「非浸潤乳がん」の疑いでその後色々検査しました。

 エコーでわかったことはその範囲が5センチ四方ほど。

 細胞を吸引して調べる細胞診でははっきりわからず。

 その細胞診の結果を待つ間に今までなかったしこりが急にふれるようになり(10日ほどの間に)

 非浸潤癌ではなく浸潤癌かもということでMRI。

 それでもはっきりせず、最終的に外科切開でしこりをとりその結果待ちです。
 
 
 

 そこで質問です。

 細胞診のあと、今までなかったしこりが急に手にふれるようになることがありますか?

 その場合はやはり浸潤癌なのですか?

 外科切開をしましたが、そのあとも大きなしこりになって触ると痛いのですが、外科切開の後もしこりが急にできたり大きくなったりするのですか?

 はじめの診察では非浸潤癌なので、手術でとればほぼ完治と聞いたので、それは覚悟を決めたのですが急に出てきたしこりに戸惑っています。

 ちなみに非浸潤癌でもしこりがふれることがありますか?

 

A.回答

 こんにちは。田澤です。

 「早期発見」に強いこだわりをもってやってきた私にとって「石灰化」は特に力をいれている分野です。

 「検診で指摘される石灰化こそ、早期発見の最大のチャンス」私が石灰化の方に「ステレオガイド下マンモトーム」を積極的に勧める際の言葉です。

※ステレオガイド下マンモトーム生検については、「乳がんプラザ」の中で、『石灰化<3部作>』を始め、「乳癌の検査<マンモトーム生検>」の中などいたるところに出てきます。その専門的な立場から回答させてもらいます。

回答

「細胞診のあと、今までなかったしこりが急に手にふれるようになることがあるか?その場合は、浸潤癌なのか?」
⇒全くの誤りです。

  • 細胞診のあとに「急にしこりが手に触れるようになった」とすれば、それは浸潤癌だからではなく、単に細胞診の針を刺した際に出血して血の塊(血腫といいます)ができたからでしょう。
     
  • 浸潤癌が針を刺して急に増大する事はあり得ません。
    ●乳癌(浸潤癌でも)が数ミリ増大するには経験上、3カ月以上はかかります。

 
 
「外科的生検の後に、しこりが急に大きくなる事があるか?」
⇒しこり(腫瘍)が大きくなった訳では全くありません。
 外科的生検の後で、「しこりが急に大きくなった」と感じたとすれば、それは腫瘍自体が大きくなったからでは無く、術後の出血による血腫でしょう。
 手術の際の縫合によって創部直下は組織反応で一時的に硬く触知する事もありますが、(非浸潤癌にしろ、浸潤癌にしろ)生検の操作によって腫瘍自体が増大する事は全くありません。
 

「非浸潤癌でも、しこりが手に触れることはあるか?」
⇒あります。
 「非浸潤癌」とは「乳管内癌」と同義語であり、乳管の中で発生した癌細胞がまだ乳管内にとどまっている状態です。

※癌細胞が乳管を破って、乳管から外に出た(これを浸潤といいます)状態を「浸潤癌」といいます。

◎風船をイメージしてください。
 (風船の皮=乳管の壁 | 風船の中身である空気=癌細胞)

 風船が膨らんで大きくなった状態は、乳管内で癌細胞が増殖して(まだ乳管を破ってはいないが)大きくなり、しこりとして認識できる状態です。
  
 つまり、非浸潤癌でも「風船が小さいうちは、触知しません」が、「風船が大きくなると、触知します」
 

※風船が破れることを浸潤癌となることに例えると、風船は小さいうちに破れる場合もあるし、「しこりとして認識できるまで大きくなってから」破れる場合もあるのです。

 

参考にしてください。

 話をうかがう限り、心配はありません。

 (その病院にステレオガイド下マンモトーム生検がおそらく無い)ことにより、診断に遠回りされているようでお気の毒ですが、病状の進行には影響はありません。
 「細胞診」や「外科的生検」などにより腫瘍は増大する事は決して無く、結局「非浸潤癌」という診断となる可能性は高いです。
 この時期であれば、術後に抗癌剤は必要ないし、手術自体で根治となる可能性も十分です。
 「早期発見に勝る治療は無い」のです。
 

石灰化の診断

 触知しない「石灰化所見」で非浸潤癌が疑われる場合、(超音波で明らかに腫瘍として認識できる場合には、通常の針生検をすることはありますが)私ならばステレオガイド下マンモトーム生検を行います。

 「石灰化の診断」には「石灰化自体がターゲットである」ステレオガイド下マンモトーム生検が最も確実な診断手技です。

※ステレオガイド下マンモトーム生検については、トップページの「石灰化」や「乳癌の検査」の中の「マンモトーム生検」を参考にしてください。
 
 

 細胞診では乳癌の確定診断にはなりません。
 組織診断である針生検が必要なのですが、その中でも「石灰化の診断」には「ステレオガイド下マンモトーム生検」が唯一確実と言える検査です。
 

 ◎「ステレオガイド下マンモトーム生検」の無い施設では「石灰化の診療」を本来するべきではありません。
 早期発見のチャンスを奪うし、余計な検査をするはめになるからです。
 
 

 

質問者様からの感想

 早速のご回答本当にありがとうございます。
 急に触れるようになったしこりにより浸潤癌の可能性もあると病院で言われ、気が動転していました。
 仕事も家事もやる気がなくなりため息ばかりの毎日でした。
 おっしゃる通りかかっている総合病院にはマンモトーム生検の設備がないので外科切開になったようです。
 細胞をとる検査も二種類やりました。
 

 この外科切開で診断が確定するといわれています。
 はじめのエコーで見た非浸潤癌としてのしこりのようなものが5センチ四方と大きいのが気になりますが、心を落ち着けて結果を待つことができそうです。
 

 こんなに早くお返事を頂けるとは思っていなく、本当に感謝の言葉しかありません。
 お忙しいのにありがとうございます。
 また結果が出たら報告入れさせていただきます。

 
 

 

質問者様から 【質問3 検査の結果がでました】

性別:女性
年齢:51

先月「細胞診後のしこりについて」で質問したものです。
その節は丁寧でわかりやすいお答えありがとうございました。
 

今回、外科切開手術でとった細胞診断の結果が出ました。
 

所見はがんではなく病名をつけるなら乳腺症とのことでした。
 

ただ、石灰化がたくさん広くに分散しているのでまだちょっと気になるということで三か月後にまたマンモグラフィとエコーをやるそうです。

あと、「糖尿病はありますか?」と聞かれました。

去年の11月に健康診断をしたときは空腹時血糖値95なので大丈夫のはずですが、母親と叔母が糖尿病です。

ネットで調べると糖尿病性乳腺症というものがあるようですが、エコー下で細胞を吸引してとる検査の時にしこりがとてもかたくてとるのが大変だったみたいなので、それはよく似た症状かなとも思いますが、糖尿病性乳腺症とは言われていません。
 

このような状態はこの先癌になる確率が健康な人より高いのでしょうか?

乳腺症でも石灰化がたくさん分散することがありますか?

エコーでみえたしこりのように黒いところは粘液等ではないかとのことですが、それは放っておいていいのでしょうか?
 

ひとまずは安心のようですが、「まだ気になる」といわれると100%安心というわけではなさそうですね。

しかし、この先定期的に検査をしていけば何かあっても発見が早いし、そうやって様子を見ていけばよいのでしょうか?

病院では納得して帰ってきたつもりですが、後になってみると気になることがたくさん出てくるので、今回もぜひ先生に相談したくメールを送らせていただきます。

よろしくお願い致します。

 
 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
 私も結果が気になってましたので、「乳腺症」と聞いて大変うれしいです。
 おめでとうございます。
 その病院の診療内容は理解できました。
 状況を確認の上、回答します。
 

状況の確認

  1. 石灰化を伴う所見をマンモグラフィーで認め、その部位に一致して超音波で「5cmのlow echo所見」を認めた。
  2. その部位の細胞診では診断つかず(サンプリングエラー:細胞が採取できなかった)
  3. 局麻下に外科的生検(5cmのlow echoの部位)を行って、癌ではなかった。(敢えて病名をつけるなら、「乳腺症」との事)

3.で確認したいのは、外科的生検で「摘出した組織に石灰化が含まれていたかどうか?」です。
 
 通常は「術中標本マンモ」と言って、術中に摘出した組織のレントゲン写真を撮影し、「摘出した組織に石灰化が含まれている」事を確認するはずですが、どうでしょうか?
 少なくとも、外科的生検での組織の病理診断の中で「石灰化が含まれている」との記載があるはずです。
※今回の外科的生検による組織検査で、「きちんと石灰化が含まれていれば、診断に誤りはありません」
 「癌を疑った場合の石灰化」は癌でなければ、乳腺症であることが殆どです。
 

回答

「このような状態はこの先癌になる確率が健康な人より高いのでしょうか?」
⇒高くありません。
 乳腺症の方が将来乳癌のリスクが高いという誤解がありますが、「通常の乳腺症では癌のリスクは変わりません。」

 ●誤解のもととなっているのは、乳腺症の中に「細胞異型を伴うもの」を含んでいる場合です。細胞異型を伴うものは、そもそも乳腺症ではなく「異型乳管過形成」という病名となります。
  細胞異型を伴わない(つまり通常の)乳腺症は癌とは関係無いのです。
 

「乳腺症でも石灰化がたくさん分散することがありますか?」
⇒あります。
 と、いうか、むしろ乳腺症の方が石灰化は広範囲となります。
 ※「石灰化がたくさん広くに分散しているから気になる」という表現は誤りです。
何か誤解があるのでしょう。
 

「エコーでみえたしこりのように黒いところは粘液等ではないかとのことですが、それは放っておいていいのでしょうか?」
⇒放っておいていいです。粘液ではないでしょう。
 と、いうか、今回の外科的生検でその「しこりのように黒いところ」を摘出したと思うのですが?
 ※その黒い部分は病理診断からすれば、「乳腺症の線維化の強い部分」だと思います。
 

「この先定期的に検査をしていけば何かあっても発見が早いし、そうやって様子を見ていけばよいのでしょうか?」
⇒外科的生検をしておきながら、「100%安心できない」というのは、私には理解できません。(私の意見を参照してください)
 

私の意見

 外科的生検できちんと病変(マンモグラフィーで石灰化を認め、超音波で黒く見えた部位)を検査すれば「診断は100%」でなくてはなりません。
 (他の医師のしていることを批判はしたくないのですが)診療が「あまりにも曖昧」であり賛成できません。
 

 私であれば、外科的生検は100%の確定診断であり、そこで「乳腺症」ならば本来、「経過観察は不要あとは健診でOK」 となります。
 確定診断はそのためであり、「やはり不安だから3カ月後」などというのは正直、私には了解できません。
 

◎せっかく「良性」といわれたのに、私が余計な不安を与える結果となるとしたら申し訳ありません。
 通常「外科的生検はそれ以上ない確定診断」ですので、「乳癌ではない」という結果には私は賛成です。

※因みに、「糖尿病性乳腺症」はコントロール不良の糖尿病でおこるものです。空腹時血糖が95なら当てはまりません。

 
 

 

質問者様から 【質問4】

性別:女性
年齢:51歳

今回も早速のお返事ありがとうございます。
検査結果では乳腺症と言われながらも、担当の先生も私もなんだかスッキリしないのは、このお返事をみてわかる気がします。

まず、状況確認の1はその通りです。

2については、穿エコー下穿刺というのをエコーみ見ながらやりました。局所麻酔でしたが、これはあくまでも細胞診であって、組織診ではないのですよね?

診療明細書を載せます。

※乳腺穿刺又は針生検(その他)200点
※病理診断管理加算(細胞診断)60点
※細胞診(乳腺)(穿刺吸引細胞診)190点
※細胞診断料200点

となっています。

とMRIの予約の時に注射器で3-4ヶ所刺して細胞をとったようです。麻酔はしませんでした。
これらの検査では石灰化の部分はとれたけど判断出来ないというような言い方だったとおもいます。

そして3ですが、外科的生検ではしこりの部分はかなり固いと言って採るのは大変そうでした。でも、その中に石灰化の部分があったかどうかはわかりません。
採ったのは1.5~2cm位だと思いますが手術後に液体の中に入れられたものを見せてもらいました。
もし、石灰化の部分が採れていなければ診断は確定できないですね。
たくさんある石灰化を全部はとれないし、ガンの周りに石灰化が散らばっていることもあるからとおっしゃっていました。

でも、今思えば先生ははっきりがんではないです!とは言わずに、病理診断ではガンの所見はないと書いてあるというような言い方で、歯切れの悪いというか、おかしいなあという感じだったので、私も心から良かったとおもえなかったのてす。
 

この病院にはマンモトーム生検はできないのですが、石灰化の診断にはそれをやった方がいいみたいですね。
次回3ヶ月後にマンモグラフィとエコーをやりますが、石灰化について先生にその時に確認すればいいですか?どのように聞いたらいいのか難しいですが、、、

今は市立病院ですが、マンモトームができる病院を紹介してもらった方がいいですか?
だとしたらそれも3ヶ月後でいいのでしょうか?石灰化は消えることがありますか?
ないとしたらマンモグラフィはガンを発見する為にやるということてすね。

あと、更年期のためエストラーナというテープを貼っていましてがガンにも関係するかもとなネットで見たので貼っていませんが、使っても大丈夫なのでしょうか?
 

何だか手放しで喜べない感じでした。
色々聞いてしまって申し訳ないですが、また宜しくお願いします。
 

田澤先生から 【回答4】

 こんにちは。田澤です。
 前回の回答でも触れましたが、「外科的生検」までして癌がでていないのであれば、「おそらく癌ではない」との印象をもっています。
 その上で、それぞれに回答します。

回答

①局所麻酔でしたが、これはあくまでも細胞診であって、組織診ではないのですよね?
⇒その通り、細胞診であることがこの「診療明細書」で確認できました。
※乳腺穿刺又は針生検が細胞診の場合は(その他)200点となりますが、 針生検であれば(針生検によるもの)650点となるからです。
 

②石灰化の部分が採れていなければ診断は確定できないですね?
⇒その通りです。
 もともと健診で「石灰化が非浸潤癌の疑い」となっている訳であり、「石灰化でないところを生検しても何の意味もありません」
 その事は当然、医師として認識しているはずであり、●本来きちんと患者さんに説明されなくてはならない重要な部分です。
 石灰化の部分を採取する検査法として「ステレオガイド下マンモトーム生検」と「外科的生検」が存在するのです。
 

③この病院にはマンモトーム生検はできないのですが、石灰化の診断にはそれをやった方がいいみたいですね?
⇒まずは、「外科的生検」で石灰化の部分が間違いなく採取されているか確認してください。
 もし、採取されているのであれば、再度の組織検査(ステレオガイド下マンモトーム生検)は余計な検査となります。
 

●前回の回答にも記載しましたが、本来「外科的生検で石灰化を狙う場合」には、術中に標本マンモ(採取した組織をレントゲン撮影して「間違いなく石灰化が含まれている事を確認する」検査)で確認すべきであり、確認もしないで生検を終了した場合には、「採取した組織に石灰化が含まれていなかった」という殆ど無意味な結果となる可能性があります。
 

◎石灰化がきちんと採取されているかは、(やっていれば)①「術中標本マンモ」や ②病理組織検査レポート の何れか(もしくは両方)で確認できます。
 病理組織検査レポートをもらうべきです。
 病理組織検査レポートは(患者さんから言われなくとも)お渡しするのが半ば常識です。
 
 
④今は市立病院ですが、マンモトームができる病院を紹介してもらった方がいいですか? だとしたらそれも3ヶ月後でいいのでしょうか?
⇒まずは「病理組織検査レポート」で石灰化をきちんと検査されているのかを確認しましょう。
 もし「(術中標本マンモも撮影されていない上に)病組織検査レポートでも石灰化が確認できない場合」には3カ月待ってはいけません。
 

●順序としては、

 すぐにでも再診予約を入れ、「病理組織検査レポート」のコピーをもらう。(そして、もしあれば術中標本マンモも説明してもらう)

       ↓

 その上で、「石灰化が確認できない場合」には、速やかに「ステレオガイド下マンモトーム生検」のある病院に紹介してもらい、「石灰化を狙って、検査をしてもらってください。」
 ※因みにマンモトームには「石灰化を狙うステレオガイド下マンモトーム生検」と「腫瘤を狙う超音波ガイド下マンモトーム生検」の両方があるので注意が必要です。
 トップページの「乳癌の検査」の中の「マンモトーム生検」を参照してください。 すでにご覧になっているかもしれませんが念の為。

 

⑤石灰化は消えることがありますか?
⇒石灰化ができた「原因」によります。
「癌が原因の石灰化の場合」:石灰化は消える事はありません。どんどん増加していきます。

「癌以外(乳腺症など)が原因の石灰化の場合」:石灰化は減少し、いずれ消える事はあります。但し、10年単位の話しです。
 

⑥更年期のためエストラーナというテープを貼っていましてがガンにも関係するかもとなネットで見たので貼っていませんが、使っても大丈夫か?
⇒(乳癌であるか確定診断のない状態では)使うべきではありません。

(やや詳しく説明すると)
更年期症状に対する「ホルモン補充療法」には2通りあります。

  1. プロゲスチン併用療法:これはエストロゲン(エストラジオール)とプロゲステロンを併用するもので、これは乳がん発症リスクを上げます。
  2. エストロゲン補充療法:これはエストロゲン単独であり、今回のエストラーナテープもこれに相当します。
     この場合には、「乳癌発症リスクの増加はない」が「乳癌が既にある場合には、その進行に悪影響を与えてしまう可能性」があります。

 

私見

 他院の診療内容に対する批判となってしまうため、本来の「QandA」の主旨に背いてしまいます。
 全ての医師に同レベルの診療を期待してはいけない(もしくは現実にできていない)」事は承知の上で、あくまでも私見を述べます。
 

◎「癌を疑う石灰化」の検査で「細胞診」をしたり「MRI」を撮影したりするのは、意味不明です
⇒細胞診では「石灰化部分の確認はできない」し、ステレオガイド下マンモトーム生検ができないのならば、せめて「超音波でlowの領域を通常の針生検を行うべき」です。
 針生検であれば、(それが本当に石灰化と一致しているならば)病理診断の中で「石灰化が含まれているかの確認ができる」からです。
 またMRIはただの画像診断にすぎません。「癌かどうかの確定診断目的で用いてはいけません」本来は(癌と確定診断後に)「その拡がり診断目的」で使うべきなのです。
 

◎「外科的生検」をするのはいいのですが、必ず「術中標本マンモ」を撮影し、「石灰化部分が確実に採取されている事」を術中に確認すべきです。
⇒石灰化を確認できなければ、せっかく外科的生検をした意味が無くなるからです。
 せっかく「外科的生検」をしながら、確定診断が得られないなんてことは「私の常識では考えられません」
 

◎もし私の家族や親せきであれば、「外科的生検をしながら、確定診断が得られず、3カ月後経過観察となる」ような病院は「転院するように勧めます」
 無論、その場合には(どんな遠方でも)江戸川病院を受診してもらいます。
 

●本来、ステレオガイド下マンモトーム生検ができない施設では石灰化の診療をすべきではありません。
 不要な検査や、診断の遅れに繋がるからです。

 
 

 

質問者様から 【質問5】

今回も早速のご返答ありがとうございます。
お話を伺って、再診の予約を入れようと思います。

そして、もうひとつお聞きしたいのですが、
石灰化が何百個とある場合、その中の何個くらい採取できれば、がんであるかどうかの診断ができるのでしょうか?

採れていない他の石灰化の部分にがんがあるということはないのですか?

何度も書きますがたくさんあるようなので全部は調べられないと思うので心配です。
質問も何度もすみませんがよろしくお願いします。

田澤先生から 【回答5】

 こんにちは。田澤です。
 「沢山ある石灰化の内、何個採取すれば診断結果に安心できるのか?」
 そのような質問だと思います。

 これは、私も「マンモトーム生検」をすると患者さんから良く問われる質問です。
 実は、昨日(木曜日)にも3件ステレオガイド下マンモトーム生検をしたのですが、その内2名の方から聞かれました。
 とても良く問われる内容です。
 それでは回答します。

回答

(実際に問題となっている石灰化ならば)例え1個でも診断はできます。
 「何個以上が必要」なんて事はありません。
 

 少し詳しく書きますので、少々辛抱強く読んでください。
 まずは石灰化を①「癌を疑う石灰化」②「最初から癌と無関係と考えてよい石灰化」、そして③「癌を疑う石灰化」と「癌と無関係な石灰化」が混在するケース に分けて考えてください。
 

①「癌を疑う石灰化」の場合
 必ず「この範囲にあるこれらの石灰化」という「ターゲットにする石灰化群」があります。
 それらターゲットの石灰化は、「皆、互いに有る程度似た形状をしており、有る程度まとまった分布をしている」はずです。
 これらは、必ず全てが同じ原因で生じた石灰化であり、その内の1つでも採取すれば、その原因疾患も病理診断で判明します。

◎つまり、その「ターゲットの石灰化群」は「全てが同じ原因で起きている=(仮に)1つが良性疾患(乳腺症)が原因でできた石灰化ならば、その他全ても同じ原因(この場合は乳腺症)で起きています。 (仮に)1つが癌が原因でできた石灰化ならば、その他全ても癌が原因で起きています。」

 「ターゲットの石灰化群」の「何個以上を採取しなければ診断できない」とか「何パーセントを採取しなければ診断できない」なんて事は全くありません。1つでいいのです。

 もし「何個以上が必要。とか何パーセント以上が必要」などであれば、「石灰化を針で採取する検査=ステレオガイド下マンモトーム生検」の存在意義は著しく損なわれ、「外科的生検で広範囲に採取しなくてはならない」という事になってしまいます。
※私は1000例以上のステレオガイド下マンモトーム生検を自分で行い、200以上の乳癌と800以上の良性疾患(乳腺症など)を診断していますが、石灰化は(それがターゲットの石灰化であれば)僅か1個でも十分に診断できることを断言します。
 

②「癌とは関係ない石灰化」の場合
 この場合の石灰化は「限局した範囲ではなく、バラバラに(あちらにも、こちらにも)存在」しています。
 これらの石灰化は遠く離れていたり、形状も異なっていたりすることも多く、原因も様々なものが混在している事も十分にあります。
 例えば「右上外側の細かい石灰化は乳腺症が原因の石灰化」であり、「右下内側にあるやや粗大な石灰化は線維腺腫が原因の石灰化」というように様々な原因のものがバラバラに存在しえます。
 

③「癌を疑う石灰化」の周囲に「癌とは関係ない石灰化」が混在するケース
 この場合にも「癌を疑う石灰化」には明確にターゲットが存在し、周囲の「癌とは関係ない石灰化」とは明確に「形状も分布も」異なります。

 この場合でも「きちんとターゲットの石灰化」を1つでも採取すれば、診断はつきます。
但し、この場合に注意が必要なのは、「誤って(ターゲットではない)癌とは関係の無い石灰化の方」を採取していないかが問題になります。
 
 

その区別ができるのか?そのように心配されるかもしれません。
⇒心配ありません。区別は容易です。
 採取した石灰化の「形状」と採取した「部位」をレントゲンで確認できます。決して見誤ることはありません。

 
 

 

質問者様から 【質問6】

今回も丁寧なお返事ありがとうございます。

細胞診でも外科的生検でも、黒くみえたしこりの部分を採っていたで、ターゲットである石灰化の部分が取れていないのではないかと思います。

しっかりとれていれば診断が確定しているはずですね。

石灰化を採取するにはステレオガイド下マンモトーム生検が必要なのもよくわかりました。

これらを踏まえ、再診の予約を入れます。

結果はまたお知らせいたします。

ありがとうございます。

 

田澤先生から 【回答6】

 こんにちは。田澤です。
 正しい判断だと思います。

 シンプルに考えればいいと思います。
 11月の乳癌検診で「石灰化所見:要精査」となった事が始まりです。
⇒これに対する「正しい精査」は「その石灰化の部分を確実に採取し組織検査すること」です。
 

●石灰化を確実に採取する検査は「ステレオガイド下マンモトーム生検」です。採取した組織標本を「その場でレントゲン撮影」し「確実に目的の石灰化が採取されている事を確認して終了」となります。

 勿論「外科的生検」も(体に対する侵襲は大きいながら)同様に、採取した組織標本を「その場でレントゲン撮影して確認すれば」同様の目的は達せられます。
 

◎是非、結果をお知らせください。

 
 

 

質問者様から 【質問7】

週に1回の担当医師と日程が合わず再診が遅くなってしまいましたが、先生と話をしてきました。

まず、石灰化に関してはしっかりとれているので大丈夫とのこと。

そして外科生検の報告書をいただきましたが、やや不鮮明で、専門用語でよくわかりません。

担当医師の話によると、良性病変であること。増殖性で異型がある。

もちろん現段階の診断はがんではないのだから、再検査は必要ないというならしなくてもかまわないが、がんになる人は外科切開をした人が多い(しかし、私の場合はがんだとしてもやはり非浸潤癌)ということからやはりきになるからという返事でした。

報告書は個人的に出したものなのでということなので、私は田澤先生にもぜひ見ていただきたいのですが、公開することはできないようです。自分なりに要約してあとから記載します。

今までの田澤先生の回答をずっと見ていますが、同じような状況の方も多いですね。
 
 

次に検査の予定まで2か月弱。

そのまま検査まで待ってもよいのか、ステレオガイド下マンモトーム生検を受けるべきか悩みます。

外科切開までしたのにやはりすっきりしない結果です。

やはりステレオガイド下マンモトーム生検を受けるほうがよいのでしょうか?

お忙しいところいつも親身になって回答していただき感謝するばかりです。

今回もよろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答7】

 こんにちは。田澤です。
 その後どうなったのか、少し心配していました。
 再度の質問ありがとうございます。
 外科的生検の報告書を読みました(内容は伏せます)

 私は「ステレオガイド下マンモトーム生検」を1000件以上(現在も増えているので1100は越えています)やっているので、「何度も、お目にかかった」内容でした。
 それでは回答します。

回答

「やはりステレオガイド下マンモトーム生検を受けるほうがよいのでしょうか?」
⇒「病理レポートに石灰化の記載がありました」のでステレオガイド下マンモトーム生検(以下ST-MMTと略します)を行うのは「正しくはありません」
 ※私が「以前の回答」で、「石灰化が確認できないのであるならば、ST-MMTをすべき」といいましたが、今回のレポートには「石灰化が含まれている」事が明記されています。
 こうなると、ST-MMTの出番ではありません。
 

この病理が意味するところ(病理レポートは伏せたままとします)

 私が見る限り、良性ではなく「境界病変」であると思います。
 私のST-MMTでも「殆ど同様の病理所見」は結構ありました。(それ程珍しくはありません)
 この場合、「病理医からは」 Benign(良性)ではなく、Indeterminate(鑑別困難)という結論をもらっていました。
  

私が(同様の結果となった際に)どのようにしていたか?(参考にしてください)

 (基本的には)病変部(石灰化の部分)全体の摘出生検を勧めていました。
 ※私のデータ(昔まとめて、学会発表したことがあります)では「半数の方が摘出を選択(もう半分の方は経過観察を選択しました)」され、「その半数に」早期乳癌が見つかりました。
 

◎今回の「外科的生検」がどの程度の範囲を摘出しているのか?が不明なので何とも言えませんが、
 「もし、石灰化のごく一部しか取られていない」ならば、私なら「病変部全体(石灰化部分)の摘出」を勧めます。
 ただ、「先の外科生検で、(全部とはいえないまでも)石灰化の大部分を摘出していた」ならば、経過観察となるでしょう。
 

★混乱してしまったらすみません。
 この病変は決して珍しいケースではありません(むしろ石灰化のST-MMTをしていると)結構頻繁に出くわします。
 原則は「病巣全体(石灰化部分全体)の評価」です。
 非浸潤癌が「隠れている」可能性はあるのです。(浸潤癌は無いと思います)

 
 

 

質問者様から 【質問8】

今回も早速のお返事ありがとうございます。

病変部全体は5cm×3cmくらいと初めは言っていたと思います。

それに対して今回の外科的生検でとったのは1.5cm位ということでした。

現状、外科切開したばかりなので2か月先の検査まで待ってみようと思います。

田澤先生のところで経過観察した方たちのその後は気になります。

そして、もしかしたらあるかもしれない癌がそのまま次の検査までおいてどれくらい変化するかも気になります。

グレーに戻ってしまったようですが次回のマンモグラフィーとエコー検査で今後の方針を決めることにします。

田澤先生にはいつも丁寧にわかりやすくお返事いただき本当に感謝します。

また、同じような状況に置かれている方の参考になれば幸いです。

その後はぜひまたお知らせさせていただきます。

ありがとうございます。
 

田澤先生から 【回答8】

 こんにちは。田澤です。
 「経過観察」を選択されるのですね。
 了解しました。
 

◎私からのアドバイスとしては
 「石灰化と共に低悪性度の非浸潤性乳管癌が潜んでいるかもしれない」と注意深い診療をしてもらうことです。
 

 具体的にいうと、

  1. 現在(生検後)のマンモグラフィーで「どのくらいの石灰化が残っているのか?」を確認する。
     ※もちろん、次回の診察時(2か月後)でもOKです。
     
  2. その石灰化が広がっていくのかをマンモで確認する。
     
  3. 超音波の所見にも変化があるのかを確認する。

※「2」と「3」は最低2~3年間くらいは半年に1回は行った方がいいです。

 
 

 

質問者様から 【質問9 感想】

ご無沙汰しております。
以前は丁寧なお返事ありがとうございました。

二か月後に再検査ということでその結果をお知らせします。
マンモグラフィーとエコーをやりましたが、石灰化の数も(多数なので数えたわけではないですが)以前とあまり変化していないようでした。
エコーも特に変化が内ないようで田澤先生は半年後とおっしゃっていましたが、次回は1年後でよいとのことでした。

現在はやはりがんは認められませんがあくまでも異型細胞なので普通の人よりはなる確率が高いというような感じでした。
そのまま1年後を待ちます。

このたびは本当に助けられて感謝します。
その後もまたご報告させていただきます。
ありがとうございました。
先生もお体に気を付けてこのフォームを長く続けていただけたら幸いです。





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