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嚢胞のしこりについて

[管理番号:76]
性別:女性
年齢:48歳
初めまして。
15年ほど前から、嚢胞があります。
乳がん検診は毎年受けており(マンモと超音波)、毎回嚢胞、おととしからは右乳腺腫瘤とあり、年1回検診での経過観察です。
以前自己検診をして、しこりがあったので病院に行ったところ、嚢胞だよといわれました。
嚢胞と癌のしこりの違いはありますか?
 
現在も、右の乳首下にしこりがあります。
3月18日に健診があるのですが、それよりもはやく受診したほうがよいのでしょうか?
1年半前から低用量ピルを服用しているので、それも気になっています。
ご回答よろしくお願いします
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 「のう胞」「右乳頭下のしこり」「低用量ピル」
 それぞれに対して、回答します。

回答

「嚢胞と癌のしこりの違いはありますか?」
⇒全く違います。 
 のう胞は「水(液体)が貯まった袋」であり、腫瘍ではありません。(腫瘍は細胞の増殖した塊の事をいいます)
 癌は「悪性細胞(癌細胞)が増殖した塊」です。
 ※触診で「しこり」がある時に「超音波すれば、そのしこりがのう胞なのか、癌なのかは、はっきり解ります」心配ありません。
 
「現在も、右の乳首下にしこりがあります。3月18日に健診があるのですが、それよりもはやく受診したほうがよいのでしょうか?」
⇒3月18日で十分です。
 ただし、「マンモグラフィー」ではなく、「超音波」の方がいいでしょう。
 マンモグラフィーでは「腫瘍とのう胞の区別は困難」です。 超音波ならば「はっきり区別」できます。
 
「1年半前から低用量ピルを服用しているので、それも気になっています。」
⇒乳癌のリスクとなる可能性があります。(確実ではないですが)
 低用量ピルはエストロゲンとプロゲステロンを併用しているので「閉経後のホルモン補充療法」に準じた注意が必要です。
 
 
 ●ただし検診を毎年行っていれば十分なレベルです。
 
 

 

質問者様から 【感想2】

丁寧な回答ありがとうございます。
気になっていたことが全部よくわかりました。
先生のような方が近くにいてくださったらよいのな、と思いました。
3月18日の健診、超音波とマンモとあります。
また、不安なことがある時には、ぜひご相談させてください。
 
 

田澤先生から

 こんにちは。田澤です。
 「お礼のメール」こちらこそ、ありがとうございます。
 3月18日の検診に超音波があって良かったです。
 その際には、是非気にされている「右乳頭下のしこり」が「のう胞なのか?」確認してください。
 
 ◎もしも腫瘍の場合は、「画像上良性と断定できるもの(境界明瞭で扁平)なのか確認」してください」
 画像上良性と断定できないのであれば、是非「針生検による組織検査」をすることをお勧めします。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

3月◎日にマンモと超音波の検診を受けてきました。先日結果が届き、マンモは右乳腺腫瘤、超音波は左右嚢胞とありました。
右胸のシコリは触ると痛みがあります。気にして触ったり押したりするのはあまりよくないのでしょうか。
一年の経過観察ということですが、こういう症状がある時は受診したほうがよいというアドバイスがありましたら教えてください。
よろしくお願いします。
(2015年4月の質問)
 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
 検診における「マンモ」と「超音波」の所見の記載の微妙な違い
 今回のケースは「実は大変よくあるケース」であり、他の閲覧者の方達にも大変参考になる内容なのです。
 ご質問いただき、ありがとうございます。

回答

「マンモは右乳腺腫瘤、超音波は左右嚢胞」
⇒左右に嚢胞(水の貯まった袋)があり、(その内の右側にあるものが)「腫瘤としてマンモで見えた」という意味です。
 つまり、診断名は「両側嚢胞:心配ありません」となります。
 ※なので、「検診票」には「一年の経過観察」となっていますが、実際は(経過観察というよりは)「異常なし。毎年検診をうけてください」と同義です。
 
「右胸のシコリは触ると痛みがあります。気にして触ったり押したりするのはあまりよくないのでしょうか」
⇒嚢胞です。触り過ぎると「周りの正常乳腺」が炎症を起こす可能性はあります。触らない方がいいでしょう。
 
「こういう症状がある時は受診したほうがよいというアドバイスがありましたら教えてください。」
⇒嚢胞なので心配ありません。
 毎年検診を受ければいいのです。
 「一年の経過観察」という表現があると、「少しだけど、異常が有る」と勘違いされそうですが、実際は「異常なし」でいいのです。
 

(検診での)マンモグラフィーと超音波 所見の違い

 実例を出して、それが「検診で、どのように記載されるか?」を示します。

  超音波 マンモグラフィー
嚢胞 嚢胞 腫瘤
線維腺腫 腫瘍(疑い) 腫瘤
腫瘍 腫瘤
石灰化 (指摘できず) 石灰化

★上記のようになります。
 注目して欲しいのは、「マンモグラフィーでは、嚢胞も線維腺腫も癌も(検診では)区別されない」と言う事です。
 今回のように「超音波をすると(有る程度)区別ができます。(少なくとも嚢胞かどうか)は解ります」
 
◎今回の質問者も「マンモグラフィーのみで、超音波をしていなければ」⇒「右乳腺腫瘤、要精査」となったはずです。(超音波をしたので 嚢胞と解り、「一年の経過観察」となったのです)
 
 

 

質問者様から 【質問4】

はじめて検診結果の意味するところが、よくわかりました。
先生のおっしゃるように、「腫瘤」「一年の経過観察」=異常ありととらえてていました。
今後も一年に一度の検診を怠らずに受けようと思っています。
ありがとうございました。
 

田澤先生から 【回答4】

 おはようございます。田澤です。
 我々「マンモグラフィーと超音波の所見の違い」を知っている者からすると「何でもない所見」が、一般の人にとって如何に不安材料になるか。
 こちらこそ、「検診票の表記が与える不安」について大変勉強になりました。
 
 検診票に「腫瘤 1年の経過観察」などと書いてあったら「腫瘤?腫瘍が有るかもしれないって事? 一年で本当に大丈夫だろうか?」と不安になりますね。
 実際は(同時に行われている超音波で、マンモグラフィー所見の「腫瘤」なるものが)「嚢胞」であることが解っているので、
 
◎総合評価として「マンモグラフィと超音波の結果、嚢胞がありますが心配ありません。一年後の検診を受けてください」という一行があると無いのとは雲泥の差ですね。
 「検診結果の表記」について考えさせられました。