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超音波検査

[管理番号:427]
性別:女性
年齢:43歳
お世話になります。
2年程前から左胸の下、下着があたる部分にしこりをみつけました。
生理前になると目立つ感じだったので大丈夫かな?と思い日々気になりながらも検査に行く勇気もなく現在に至ってしまいました。
触ってみて2㎝ぐらいの大きさであまり動かない感じです。
昨日、病院を受診した所触診と超音波検査をしました。
その後、ABCと先生は看護師さんに言われてましたが、注射器でしこりから細胞をとってたのでしょうか?
先生がおっしゃったのは、よくしこりを見つけたね。この大きさエコーでは1.2㎝手術したら大丈夫とのこと。
リンパも大丈夫。
検査結果は病院の休み等の都合があり、来月の6日になりそうです。
結果が良くも悪くも手術が必要だと思ってて覚悟しておいて!
悪いと思ってるから検査したんだから、そうじゃなかったら検査してない。
と言われました。
やはり専門の先生は、エコーの画像を見ただけでほぼ確定出来るんですか?
覚悟を決めておいた方がいいんですよね?
とても不安です。
2年前からのしこりだと転移とかの可能性も高いのでしょうか?
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 自分で2年前から気づいていた「(超音波では)1.2cmのしこり」と言う事ですね。
 「診察した医師がした検査」は「ABC=aspiration biopsy cytology」と言っていたことからすると「細胞診」のようです。
 ここでも「悪いと思ってるから検査した」と言っておきながら「無駄な細胞診」をしています。
 何故最初から「針生検をしない」のでしょうか?
 質問者に言っている訳ではなく、この「QandAを見ている方」に知ってもらいたいのです。

回答

「検査結果は病院の休み等の都合があり、来月の6日」
⇒これは幾らなんでも遅すぎます。
 細胞診検査は1週間で十分結果がでます。
 「3週間近くもかけて」挙句の果てに、それでは「針生検」しましょう。では「とんでもない時間の無駄」です。
 とても賛成しかねます。
 正直、「もっとフットワークのいい」病院は他に無いのでしょうか?
 
「専門の先生は、エコーの画像を見ただけでほぼ確定出来るんですか?覚悟を決めておいた方がいいんですよね?」
⇒「悪いと思ってるから検査したんだから、そうじゃなかったら検査してない。」とのコメントからは、「乳癌の可能性」が高そうです。
 エコー像で「典型的なもの」はほぼ診断可能です。
 「乳癌である」覚悟は必要なようです。
 
「2年前からのしこりだと転移とかの可能性も高いのでしょうか?」
⇒「リンパも大丈夫」というコメントからは、転移の可能性は殆ど無いでしょう。
 リンパ節転移の無いような乳癌で「遠隔転移」がある事は極めて稀です。
 心配する事はありません。  
 
 

 

質問者様から 【質問2】

ご丁寧な回答ありがとうございます。
本当に心強く思います。
すみませんが、再度質問させて下さい。
1.細胞診の結果、乳がんと確定された場合は針生検は受けなくても手術の方向に話を進めても大丈夫なんでしょうか?
2.細胞診の後、しこり部分が内出血でしょうか?紫になってますが大丈夫ですか?
3.先日受診した際にこの感じだと手術で1日入院でオッケーです。と言われました。1日で大丈夫なんですか?
またその後、放射線などの治療で通院は確実になってくるのですか?
〔先生は温存可能とおっしゃってました。〕
4.良性でも手術になるでしょうとおっしゃってましたが、あり得るのですか?
それとも先生の中では悪性と判断がほぼついてるので手術を覚悟しておきなさいとの意味なんでしょうか?
結果まで時間がありすぎて色んなことを考えてしまいます。
回答できる範囲でけっこうです。
お忙しいところ申し訳ありません。
 

田澤先生から 【回答2】

 おはようございます。田澤です。
 「2年前からある、1.2cmのしこり」で質問された方ですね。
 それでは回答します。

回答

「1.細胞診の結果、乳がんと確定された場合は針生検は受けなくても手術の方向に話を進めても大丈夫なんでしょうか?」
⇒「手術の方向で話を進める」のはいいですが、「実際の手術(前日まででもいいので)に結果が間に合う様に針生検をしておく」事をお勧めします。
 つまり、「細胞診結果、癌疑い」⇒「針生検」⇒「結果」⇒「ここで初めて手術に向けて日程や検査を決める」のではなく、
 「細胞診結果、癌疑い」⇒「手術日程など相談」(と同時に針生検を行う)⇒(手術前日までに針生検の結果を確認)「手術」と言う様に勧めないと「無駄に遅くなってしまいます」
 
○針生検と細胞診
 細胞診では「乳癌を考えますので、生検で確認してください」というコメントが入ります。
 (細胞診しかない時代には細胞診だけで確定診断としていたために、少なからずの誤診がありました)
 『針生検が一般的に行われている、この時代』に、病理医は「敢えて(誤診のリスクを負ってまで)細胞診で確定診とはしない」方向にあるのは明らかなのです。
 
 『細胞診と針生検の違い』これは単純に「採取される細胞量」です。
 全く比較にもならないのです。 細胞診<<<<<針生検<マンモトーム生検<<(外科的)生検、手術など
 
「2.細胞診の後、しこり部分が内出血でしょうか?紫になってますが大丈夫ですか?」
⇒全く心配ありません。いずれ吸収されます(1~2週間)
 
「3.先日受診した際にこの感じだと手術で1日入院でオッケーです。と言われました。1日で大丈夫なんですか?」
⇒大丈夫です。
 因みに江戸川病院では「手術翌日退院」としています。(全身麻酔からの覚醒を考えて、手術当日ではなく、翌日としてます)
 
「またその後、放射線などの治療で通院は確実になってくるのですか?」
⇒(もし乳癌であれば)「乳房温存術後は必ず放射線照射」をします。
 25~30回と回数は多いのですが、「1回当り数分だし、副作用も殆ど無い」ので通院が原則です。
 
「4.良性でも手術になるでしょうとおっしゃってましたが、あり得るのですか?」
⇒「担当医のスタンスからは」十分あり得ます。
 担当医の「細胞診だけで手術をするスタンス」(いいとは思いませんが…)からすると、以下のパターンがありえます。

  1. 『細胞診で良性』と出た場合
     ⇒担当医は「臨床診断(画像+視触診など)で癌を疑っている」ので「細胞診で偽陰性(細胞が上手く採取されなかった)の場合を考え(おそらく実際に経験している筈です)」
     「今は良性だけど、いずれ癌になるかもしれないから、取りましょう」とするつもり
     
  2. 『細胞診でクラスⅢ』と出た場合
     ⇒本来は「針生検をして確定診断すべき」なのですが、
      担当医は「細胞診ではグレー判定なので良性かもしれないけど、(疑わしい者は)取った方が良い」とするつもり

○担当医は「臨床的に癌を疑っている」ので、「細胞診の結果がどうあれ(結果に100%自信が無いようです)腫瘍は摘出するべき」と考えているのです。
 診断に100%自信が無い場合には、「疑わしいものは取る」というスタンスとなります。
 ★結果、「最終的に良性」となったら「放っておいたら癌になった」などのコメントがつくかもしれません。
 
「先生の中では悪性と判断がほぼついてるので手術を覚悟しておきなさいとの意味なんでしょうか?」
⇒(前述したように)
 「確信では無い」ようですが、「ほぼ癌」と考えているようです。
 どちらかというと「細胞診結果に100%自信が持てない(当たり前ですが)」ので『細胞診結果がどう出ても腫瘍は取るべき』と考えているのです。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

再度質問させて下さい。
最初に受診した病院での細胞診の検査結果が6日と遅い事と、今後の入院や通院を考えて、出産もした近くの市民病院に転院を含め受診しました。
そこでは、先に受診した内容と検査をすべてお話した所、マンモと針生診を行いました。エコーや触診でも先に受診した先生と同意見という結果でした。
本日、病理組織診断がでました。
浸潤性乳管癌
grade1(1,2,1) ER+(100%) PgR+(100%) HER:1+ Ki-67:<10% 説明は聞いたのですが、あまり頭に入ってこず、転移の可能性は高いのでしょうか? しこりの大きさは、ここでは2センチでステージをつけるには微妙な判断とのこと。 リンパには転移はないようなので遠隔性転移も可能性は低いと。 手術は、部分切除で1週間の入院と術後放射線治療 先生に質問は下記です。 1、比較的におとなしいタイプとのことでしたが、手術の内容として部分切除で大丈夫でしょうか? 2、本日CTを撮ったあと、画像を見ながら副腎が腫れてるようです。2センチのしこりで転移の可能性は無いと思いますので様子をみましょう。 とおっしゃって血液検査を術前検査とは別にしました。 癌の不安があるのならば、ペット検査を依頼するので言って下さい。とのこと ペット検査を受けた方がいいのですか? 先生には心配し始めたらキリがないと言われました。 3、CT検査の画像を見てもう一つ エコーで見れなかった左胸のリンパ付近に気になるものが…と 再度、その部分をエコーで見て頂きましたが、何もないと やはり手術をしないとわからないと思いますが、先の細胞診の検査結果からして 転移等、何か感じるものはありますか? 来週にMRIです。遠隔性転移しているのではないかとても不安です。  

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
 「前回、細胞診結果が3週間」といわれていた病院から転院されたのですね。
 賢明な判断だと思います。

状況の確認

 cT1c, cN0, cStage1, luminal A ♯腫瘍径は「計り方」で異なるので、最初の病院で「1.2cmとされていた」訳なのでcT1c(2cm以下)として構いません。
 大変、いい状況です。 

回答

「比較的におとなしいタイプとのこと」
⇒luminal A (NG1でKi67<10%)では「比較的」というより「かなり」大人しいタイプです。   「手術の内容として部分切除で大丈夫でしょうか?」
⇒(2か所の病院で超音波で、そのように言われているのだから)十分温存できる状況だとは思いますが
 最終的には「来週行うMRI」による「拡がり診断」で確認となります。
 MRIで「単発、拡がりが狭い」場合には、安心して部分切除できます。
 
「副腎が腫れてるようです。2センチのしこりで転移の可能性は無いと思いますので様子をみましょう。」
⇒(担当医のいうように)副腎転移ではありません。
 副腎転移は「血行性転移が相当すすまない」と起こりません。
 質問者の状況では「全く考える必要」はありません。
 
「血液検査を術前検査とは別にしました」
⇒これは「副腎ホルモン産生腫瘍の可能性」を確認しているのです。
 現在、高血圧とか何か病気が無ければ心配ありません。
 
「癌の不安があるのならば、ペット検査を依頼するので言って下さい。とのこと ペット検査を受けた方がいいのですか?」
⇒不要です。
 副腎も含めて、遠隔転移の可能性はありません。
 
「CT検査の画像を見てもう一つ エコーで見れなかった左胸のリンパ付近に気になるもの」
⇒(造影された)血管その他をみているのか?不明ですが、 エコーで再確認しているので大丈夫です。
 センチネルリンパ節生検の話は出ていると思います。
 最終的に「術中、迅速病理診断」で「リンパ節転移の有無」を確認します。
 
「やはり手術をしないとわからないと思いますが、先の細胞診の検査結果からして転移等、何か感じるものはありますか?」
⇒「超音波所見」からして「リンパ節転移は無」と思います。
 針生検でも「luminal A=大人しい」ので、過度に心配する必要はありません。
 
「来週にMRIです。」
⇒「乳房内の拡がり」診断を行います。これで術式を最終決定します。
 ちなみに、MRIは「乳房内だけ」を撮影(通常左右とも)します。MRIでは全身は見れません。
 
「遠隔性転移しているのではないかとても不安です」
⇒遠隔転移はありません。
 CTで確認しているから大丈夫です。
 安心して大丈夫です。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

毎回、丁寧にご回答頂きありがとうございます。
更に質問させて下さい。
先に病理組織診断の数値を報告させて頂きましたが、組織所見についてです。
以下が内容です。
左乳腺の生検検体で2本の組織が提出されている。
線維性間質を背景に核が腫大し核濃染を示す異型細胞が◯状胞巣あるいは小腺腔を形成して増生する。標本の一部ではヘモジデリン貧食マクロファージが散見され、多核巨細胞も目立つが、明らかな骨化性.軟骨化性は認められない。
浸潤性乳管癌、乳頭腺管癌あるいは硬癌と考える。核異型度は中度で、核分裂像は2/10HPF程度認められる。
担当医師からは浸潤性乳管癌とだけ言われたのですが、もし硬癌ということであれば悪性度は高いと他のサイトで見たのですが、田澤先生からこの所見を見てどう感じられますか?
難しい言葉だらけでまた怖くなってしまいました。
いつもすみません。
※◯竹かんむりに師です。
 

田澤先生から 【回答4】

 こんにちは。田澤です。
 「聞き慣れない用語」が多く、とまどい時に恐怖を感じる気持ちもわかります。
 ただ、私が診る限り、「全く普通」の所見です。

回答

「線維性間質を背景に核が腫大し核濃染を示す異型細胞が◯状胞巣あるいは小腺腔を形成して増生する。標本の一部ではヘモジデリン貧食マクロファージが散見され、多核巨細胞も目立つが、明らかな骨化性.軟骨化性は認められない」
⇒単に「癌組織の進展様式を示し、骨化や軟骨化生等特別な所見が無い」事を示しています。
◎針生検の「病理レポート」としては、随分「丁寧で詳細」だと思います。
 病理医の人柄でしょう。
 
「浸潤性乳管癌、乳頭腺管癌あるいは硬癌と考える」
⇒通常の組織型です。
 浸潤性乳管癌には「乳頭腺管癌」「充実腺管癌」「硬癌」に分けられますが(それ以外を『特殊型』といいます)
 「病理組織像」は「見た目」なので、「どちらにも見える」ケースがかなりあります。
◎質問者の場合には「乳頭腺管癌にも見えるし、硬癌にも見えるのです」
 
「核異型度は中度で、核分裂像は2/10HPF程度認められる」
核グレードは1となります。

  • 核異型
    弱い:1点
    中間:2点★
    強い:3点
     
  • 核分裂 
    5個未満(10視野で):1点★
    5~10個(10視野で):2点
    11個以上(10視野で):3点
     
  • 核グレード(NG) 核異型の点数+核分裂の点数
    2点、3点:核グレード1 ★
    4点:核グレード2
    5点、6点:核グレード3

◎質問者の場合には★に該当します。(核グレード1)
  
「もし硬癌ということであれば悪性度は高いと他のサイトで見た」
⇒そんなことはありません。
 硬癌が悪性度が高いというのは誤解です。
◎質問者の場合は 『核グレード1 なので悪性度は低い』のです。
 
 

 

質問者様から 【質問5】

お世話になります。
いつもありがとうございます。
また教えて欲しいのですが
前回、副腎の腫れに対するホルモンの血液検査?ですが
特に異常はないと言われました。
しかし、手術前検査の中に腹部甲状腺エコーが入ってきました。
また別に心配な要素があるからなんでしょうか?
乳がんの手術前検査の中にはないですよね?
本日の検査はMRIでした。
月曜日に腹部甲状腺エコーがあります。
別の病気が考えられる可能性もありますよね?
あと、余談ですが先に行った病院の細胞診の結果を聞きに行った所、検体がかわいていて検査が出来なかったということでした。転院してて良かったです 。
 

田澤先生から 【回答5】

 こんにちは。田澤です。
 血液検査が異常なくて、一安心です。

回答

「腹部甲状腺エコーがあります。別の病気が考えられる可能性もありますよね?」
⇒これは単なるスクリーニング検査です。
 何も異常は無いと思います。
 気にする必要はありません。
 きっと、この病院の「ルーチン検査」なのでしょう。
 
「別の病気が考えられる可能性もありますよね?」
⇒大丈夫です。
 ついでに「他の疾患が見つかる」可能性はかなり低いです。
 心配ありません。
 
 

 

質問者様から 【質問6】

お世話になります。
手術も終わり、病理結果が出ました。
今後の治療についてご相談させて下さい。
病理結果
2㎝の腫瘍、細胞の顔つき①、ホルモン感受性高い、HER2発現なし
Ki-67 10-20%低い(10%刻みでしか測定不能)
リンパ節転移 1個、乳腺断端陰性
※ホルモン高感受性のおとなしい乳癌でした。
温存手術、リンパ節郭清
タモキシフェン5年-10年
生理をとめる注射 5年 3ヶ月後と
※行なってもよい…TC治療 3週間に1回??4回
放射線治療25回
抗ガン剤については、本人に任せます。とのこと
リンパ節1個であれば、なんとも言えない
心配であれば受けても良いが効果については、数%あるかないか
年齢から考えたらしてもよいのかな?
色んな先生に聞いて見ても、その先生の考え方でどっちよりになるか?
担当の先生は、2個だったら勧めるけど1個だとわかりません。
とおっしゃいました。(4個以上は絶対)
私には、1個と2個の違いがよくわかりません。
田澤先生であってもここは、本人の選択に委ねる領域になるのでしょうか?
もちろん、最終は自分で決断するべきことは承知しておりますが
ご意見頂きたく思います。
また、術後の傷の治り?リンパ液がたまって3回ほど爆発する形で再度縫合して
もらいました。人にもよるとは思いますが、どれくらいで治るのでしょうか?
すみませんよろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答6】

 こんにちは。田澤です。
 pT1c, pN1, pStage2A, luminal A, NG1

回答

「リンパ節1個であれば、なんとも言えない」
⇒基本的には抗がん剤は勧められません。
 Luminal Aでは抗がん剤の効果は限定的です。
 St.Gallen 2015では「luminal Aでリンパ節転移1-3個では抗がん剤は不要」と考える専門家が2/3を占めています。
♯Adjuvant!Online で計算すると、「TCによる上乗せ効果」は5%程度となります。(医療経済や副作用などとのバランスではお勧めしません)
 
「術後の傷の治り?リンパ液がたまって3回ほど爆発する形で再度縫合」「人にもよるとは思いますが、どれくらいで治るのでしょうか?」
⇒手術の精度に問題がありそうです。
 通常は考えられない状況なので、不明です。
 主治医からは「どの位で治るのかのコメントは無いのでしょうか?」