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治療法と再発について

[管理番号:1698]
性別:女性
年齢:46歳
田澤先生、乳がんの治療をはじめて3年になります。
こちらのQ&Aを読んで先生のお言葉に励まされきっと大丈夫と力をいただいています。
自分の治療法で大丈夫なのか、再発について田澤先生のご意見をうかがいたくよろしくお願いいたします。
2012.11
右乳がん温存手術
浸潤径1.8cm
乳頭腺管がん
ER80パーセント
PGR95パーセント
Her2 陰性
Ki67 13パーセント
グレード1
リンパ節転移なし
断片陰性
放射線治療を6週間
タスオミン単独治療でしたが
2013.5
婦人科検診でエストラジオールの数値をはかったところ1300だった
こと。卵巣の腫れと子宮内膜の肥厚があったため
リュープリン注射とタスオミンに
2014.7
婦人科検診で子宮内膜異型増殖症の疑いで
子宮内膜掻把手術で組織の検査をしたところ
子宮内膜過形成の診断
タスオミンの副作用が考えられるとのことで
リュープリンとアリミデックスの治療になり現在にいたります。
子宮筋腫もありますが子宮内膜と卵巣の状態はおちついています。
質問です
①このような治療経緯と現在の治療法で大丈夫でしょうか。
②リュープリン注射2年すぎましたが閉経前なので継続しています。
アリミデックスを5年と言われましたが10年治療を継続する場合は
ホルモン値を測って閉経前だったらリュープリンも継続になるのでしょうか。
治療を始めてから肝臓の数値γGTPが基準値を超えていて(70くらい)
副作用も心配です。
③先日から術側の脇下背中より部分が痛みます。しこりなどは感じられませんがセンチネルリンパ節生検の影響でしょうか。
④病理から見て先生の経験上どのくらいの再発となりますか。
よろしくお願いいたします。
本来なら主治医に伺うべきなのでしょうが、残念ながら診察時にこのようなことを聞ける雰囲気ではありません。
田澤先生のQ&Aを見ていて先生がどんな質問にも真摯にお答えすることに田澤先生が主治医だったら余計な不安を抱えなくても済むのにと思います。
再発転移の不安から解放されることなく毎日月日が経つにつれて不安が増してきてがんという病気は心を蝕む病気だなと感じます。
田澤先生がおっしゃるように忘れられる日が早く来ないかと思う毎日です。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1c(18mm), pN0, luminalA
完璧な早期癌です。
術後治療も「タモキシフェン」単独と、ここまでは順調でしたが…
「2013年5月」に子宮内膜肥厚が認められた時点で「タモキシフェンは中止すべき」だったと思います。
「2014年4月」に子宮内膜掻把で「子宮体癌でなくて良かった」というのが素直な感想です。
 子宮体癌だったら「目も当てられない」状況だったと言えます。

回答

「このような治療経緯と現在の治療法で大丈夫でしょうか」
⇒私は「薬剤の適応外使用」には反対です。
 アリミデックスは「閉経後」にしか適応はありません。
 私であれば「2013年5月」時点で「LH-RHagonist単剤」とします。
 ♯子宮内膜肥厚の段階で「タモキシフェンは中止」します。
「リュープリン注射2年すぎましたが閉経前なので継続しています。アリミデックスを5年と言われましたが10年治療を継続する場合はホルモン値を測って閉経前だったらリュープリンも継続になるのでしょうか」
⇒本来「閉経前の適応であるリュープリン」と「閉経後の適応であるアリミデックス」を併用することは『保険診療上』ありえないことです。
 ○海外では「LH-RHagonistとアロマシン(アリミデックスと同様のアロマターゼインヒビター)の併用が有効との海外での臨床試験データから、使用されてはいますが、ここは日本です。
  乳癌学会ガイドラインではC1となっています。
 
「先日から術側の脇下背中より部分が痛みます。しこりなどは感じられませんがセンチネルリンパ節生検の影響でしょうか」
⇒術後2年で「新たな症状」であれば、「関係無さそう」です。
 筋肉痛などではないでしょうか?
 
「病理から見て先生の経験上どのくらいの再発となりますか」
⇒10%位だと思います。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生、お忙しい中迅速な回答ありがとうございます。
完璧な早期癌という一言がいただけて心強く思います。
患者の立場からするとなぜ保険適用外の安全性も確認されていない治療
がなんの説明もなく行われているのか疑問です。
がんセンターで治療をしているので安心しきっていました。
安心して治療を受けたいために遠方まで通っているのですが残念に思います。
本来ならセカンドオピニオンに出向かなければならないところ、
こういった場を作ってくださり心より感謝致します。
ありがとうございました。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「ガンセンターが安心した治療を提供できる場」であるかは疑問ですが(単なる修行の場です)
自分たちは「専門病院で診療している」という変な意識だけは強いようです。