Site Overlay

治療法について

[管理番号:6546]
性別:女性
年齢:64歳
田澤先生
初めて質問いたします。
よろしくお願いします。
妻の乳がん治療についての質問です。
経緯
・2018年4月(下旬)日に初診
・マンモグラフィ、エコー、CT、病理組織検査を経て5月(上旬)日次の診断
 浸潤性乳管癌
 ER陽性 100%、HER2陰性、Ki-64 26%
肺転移あり
・5月(中旬)日 ホルモン療法(レトロゾール)開始
・6月(中旬)日 CTで確認(原発、肺共に縮小)
・現在の体調は良好で、症状はなく、治療前にあった空咳も無くなり、
 元気に通常の生活をしています。
質問
1.主治医の先生より、「ホルモン療法を継続し、時期を見て抗がん剤(TC)も試してみよう」と言われましたが、この状態で抗がん剤の意味はあるのでしょうか?
2.私としては、ホルモン療法を3次まで行い
   1次:レトロゾール   (効果が続く限り長く継続)          
   2次:フェソロデックス500mg    (1次が効かなくなった時)
   3次:レトロゾール+イブランス   (2次が効かなくなった時)
抗がん剤はホルモン療法3次が効かなくなった段階で考慮と考えていますが、この考えは正しいでしょうか?
以上、宜しくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
遠隔転移を伴う乳がんに対する治療についてですね。
私は再三、これについてコメントしていますが(主としてQandAのAとして)、
ご存じないようですね?(6500を超えているので、全部を読むことは不可能だから、当然です)
治療法は、その病状が様々であるため「明らかなガイドライン」なるものは存在しません。
そして実際の臨床の場では大きく分けると以下の2つとなります。
1.消極的治療法 ホルモン療法→病状悪化したら→徐々に「抗がん剤」
  この場合は(一見楽な治療で)受け入れやすいでしょうが、どんどん病状が悪化
していく→(悪化した状態で)「抗がん剤をすべきか? では辞めましょう」となりがちです。
2.積極的治療法 まずは抗がん剤でたたく→病状が改善(可能なら画像上、完全緩解)→「ホルモン療法」で維持
  私は一貫して、これを勧めています。
  ♯ただ、全国的には1の方が多いようです。(QandAに登場してくる医師の殆ども1を選択されていることに気付くことでしょう)
 
★このポイントは、「抗がん剤は(レジメンによっては)、ネットで言われているほど副作用は強くない」ことと、「病状をある一定以上に維持することが、治療に対するモチベーションにつながる」ことです。(楽だからと言っても、どんどん病状が悪くなるのを感じていては治療も嫌になるでしょう)
☆偶然ですが、このテーマについては、今週末に掲載する「今週のコラム」に取り上げていますので、是非参考にしてください。