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治療方針と検査の必要について

[管理番号:4752]
性別:女性
年齢:64歳
はじめまして。
よろしくお願いいたします。
東海地方に住む64歳の○○と申します。
3月末に市の総合病院の外科で、マンモとエコー、針生検とCTを受けました。
結果、乳がんで転移の可能性は低いと診断されました。
その際に、
「全摘出しかない。
1週間後の空きが出たから手術できる」
と言われたのですが、
念のため、乳腺外来のある大きめな病院にて紹介状を持って診察を受けてきました。
そこでは、エコーと触診が行われ、
「全摘出手術で取り除き、その後は放射線治療と抗がん剤を行う。」と言われました。
その際、リンパへの転移もあるし全身に広がっていると言われて愕然としています。
手術をするとなると、1ヶ月半位先になるけど空きが出たらすぐに入院できるようにしておいてと言われています。。。
これもまた、気持ちが休まりません。。
急に乳がんと言われ、しかも他の病院では全身に。。。
と言われて心がだいぶ疲れているのか頭が回らず、ネットで調べてみても自分がどんなタイプなのかステージなのかという状況がわかりません。
現在、手元にある情報がこれだけなのですが、分かる範囲で教えていただけますでしょうか?
濃染腫大核 N/C比 高
不整小管状構築
策状:小塊状…浸潤性乳管
組織学的 グレード2HER2
スコア2+ 蛋白の過剰発現
ER 5+3=8
PGR 4+2=6
Ki67 標識率 約30%
乳腺科でのエコー診断により、浸潤でモヤモヤした映像部分含め2.7mmと言われました。
また、最初の病院での診断から1ヶ月後にサイズが0.7mm位大きくなっていました。
こんな短期間に大きくなるのでしょうか。
田澤先生ですと、どのような治療方針になりますでしょうか?
余談ですが、少し有名な先生がいらっしゃる病院で先生にお願いし初診を受けたのですが、
その先生は「次からは別の方に変わる。手術も自分は行わないし、立ち会わないです。」と言われてしまいました。
更に不安になったのですが、、、
こうゆうことは普通の事なのでしょうか?
5月(中旬)日に新しい先生を紹介されるとのことで、診察があります。
今から手術との間に上記以外の検査は必要なのでしょうか?(PETなど。。。)
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
今回のメール内容は、担当医の「説明不足と(根拠のない)脅し」により大変な混乱に陥っているようです。
物事はシンプルに考えなくてはなりません。
担当医の「あなたの癌は全身に拡がっている」などという戯言は今すぐ忘れましょう。
♯前医(市の総合病院)でCTを撮影した上で「転移はない」と言っていることを想い出してください。(つまりCTではそんな所見はないのです)
もしも、そんな戯言を主張するのであれば、きちんとした根拠(具体的に、どこに転移している)を示すべきです。
おそらく、その医師は「HER2が2+だから」とか「グレードが2だから」とか「Ki67が30だから」みたいな、もしかすると「乳癌は全身病だから」などという「クダラナイ理由」で、そのように推測して、それを「あたかも真実のように」コメントしているだけのようです。
○実際の状況は
濃染腫大核 N/C比 高
不整小管状構築
策状:小塊状…浸潤性乳管
組織学的 グレード2HER2
スコア2+ 蛋白の過剰発現
ER 5+3=8
PGR 4+2=6
Ki67 標識率 約30%
乳腺科でのエコー診断により、浸潤でモヤモヤした映像
部分含め2.7mmと言われました。
からすると
1.ステージは
ステージはcT2(27mm), cN0(リンパ節転移なし), cStage2AもしくはcT2(27mm), cN1(リンパ節転移あり), cStage2Bとなります。
 つまり前医では前者(ステージ2A)と判断し、次の病院では後者(ステージ2B)と判断しているようです。
 ★前医でcN0(リンパ節転移なし)と判断している以上、手術の際には「きちんと、センチネルリンパ節生検をすべき」これがポイントです。
2.性質
 サブタイプはルミナールタイプ(ホルモン療法が効くタイプ)であり、Ki67(癌細胞の細胞分裂の割合)=30であれば、それほど増殖率の高いタイプではありません。
 ここで重要なのは「HER2が2+なのに過剰発現」となっている点であり、本来2+ならば、(本当に陽性なのか)「FISH検査で確認が必須」であることです。
 ★きちんと「FISH法で確認していますか??」と担当医に確認してください。(HER2 2+で陽性とするのは絶対に誤りです)♯たまに、2+を陽性と扱う「おかしな医師」がいるので注意が必要なのです。
  (参考に)
   0,1+ :陰性
   2+   :FISHで要確認
   3+   :陽性
「田澤先生ですと、どのような治療方針になりますでしょうか?」
⇒27mmとありますが、まずは「全摘が本当に必要なのか?」というところから始まります。
 MRIなど(乳腺内の拡がり診断)で確認が必要です。
 術後の治療はシンプルに考えましょう。
 きちんと「局所療法」と「全身療法」に分けて考える必要があります。
○局所療法 手術後の局所療法としては「放射線」があります。
 ただし、原則「全摘後」では放射線は不要です。(温存術後には温存乳房照射が必須となります)
 ♯全摘後に放射線が必要なのはリンパ節転移が4個以上の場合だけです。
○全身療法 サブタイプに応じた治療を行います。
 質問者はルミナールタイプなのでホルモン療法は必須です。
 それでは抗癌剤が必要なのか?
 ①HER2のFISH陽性であれば、抗HER2療法が必要
 ②HER2のFISH陰性の際には、術後のKi67により判断
「こうゆうことは普通の事なのでしょうか?」
⇒その医師は実際には殆ど手術していないというだけの話です。
「今から手術との間に上記以外の検査は必要なのでしょうか?(PETなど。」
⇒何もありません。
 PETなど「無用な被爆」にすぎません。