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この先の治療の選択

[管理番号:6217]
性別:女性
年齢:69歳
このまま治療に入ってよいのでしょうか?
田沢先生 初めまして。
母の癌について 宜しくお願い致します。
今年の1月(下旬)日に 左乳房全摘出をしました。
(癌自体は小さいと言われていましたが、乳首の真裏のため全摘をしました)
術後の病理の結果
・リンパ節転移 0/1個 転移なし
・多臓器転移 なし
・ホルモン 陰性
・HER2 陽性
・細胞異型度 2
・浸潤性乳管癌 大きさ8ミリ
術後の再発予防治療予定
・抗がん剤(ドセタキセル)+ハーセプチン
  抗がん剤3ヶ月(3週おきに1回)、ハーセプチン1年間(抗がん剤と同じく3週おきに1回)
  ※ドセタキセルの理由は母がお酒に弱く、こちらになったとのことです。
踏みとどまって考えてしまう理由は
◇全摘で取りきれてはいる状態。
 大きさも8ミリ、ということで主治医の先生からは、この再発予防の治療をやらなくても正解、やっても正解
 と言われています。
メリット、デメリットをお伝えした上でご自身の判断に任せるという事で、納得のいく答えが考えてもなかなか見つかりません。
◇母は持病で、狭心症、動脈硬化、一部の心臓冠動脈石灰化。
という症状を持ち合わせています。
 標準のアンスラサイクリン系は心臓への副作用を考えるとできないので、タキサン系のものとの組み合わせを進められています。
 それでも、ハーセプチンにも心臓への副作用が出る場合もあるので、心配です。
 (かかり付けの心臓の先生は、抗がん剤や今後の治療が済んでからのステント治療でも大丈夫と言われています)
 
治療開始の為の入院が明日(3・(下旬))に迫っています。
いろいろ考えた結果、もし再発が起きた場合、治療をやらなかった後悔の方が悔やまれるかもしれないと
やる方向で主治医の先生には伝えておりますが、
こちらのサイトを拝見させて頂き、ぜひ田澤先生のご意見が聞けたらと思いました。
抗がん剤などの治療は
術後 時間があけばあくほど効果が無くなるとのことで
考えたくとも先延ばしにはできず、
なんとか納得のいく理由を見つけて 決断しましたが、
最後に本当に治療に踏み切ってよいのか
田澤先生はどう思いますか?
宜しくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「最後に本当に治療に踏み切ってよいのか田澤先生はどう思いますか?」
⇒今回の論点は
1.69歳(70歳以上では術後補助化学療法による生存率向上の証明がない)
2.浸潤径8mm(一般に抗HER2療法が必須なのは浸潤径10mm以上であり5mm<浸潤径≦10mmは「考慮する」)
3.心合併症
★まず、質問者が提案されている「アンスラサイクリンを含むレジメン」は問題外です。(上記3により)
 更に1.2を考慮すれば、そもそも(たとえ、心合併症がなかったとしても)「非アンスラサイクリンレジメン」とすべきです。
 (参考に)
  ①TC+HER
  ②weeklyPTX+HER
★★副作用を考えれば②を選択すべきでしょう。(ただし上記1.2の理由により、抗HER2療法自体が必須ではありません)