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母のこれからの治療について

[管理番号:4497]
性別:女性
年齢:57歳
田澤先生はじめまして。
母(57歳)の乳がん治療について相談させていただきたく、こちらから失礼いたします。
2月(中旬)日に右房乳がんの手術(部分摘出)を行いました。
その病理診断の結果を昨日主治医の先生から説明していただきました。
・しこりの大きさ 1.3cm
・浸潤性乳管がん
・センチネルリンパ節に転移なし
・エストロゲン受容体 陽性
?プロゲステロン受容体 陽性
・HER2タンパクの過剰発現なし
・核グレード 3
・Ki67 42.1%
これらがその結果です。
部分摘出でしたので今後は放射線治療を、そしてホルモン治療を「是非勧める」とおっしゃっていただきました。
一方で抗がん剤治療については「勧める」とおっしゃっていただきました。
また、同時にオンコタイプDx検査という方法があることについても教えていただきました。
田澤先生にお聞きしたいこととしまして、
①これらの結果からやはり抗がん剤治療が必要であるかということ、
②保険適用ではないオンコタイプDx検査を受けてみた方がいいのかということ、
この2点です。
抗がん剤治療はがんの再発防止のためのありがたい治療だとはわかっておりますが、やはり母の気もちを思うとどうしても胸が痛みます。
抗がん剤治療も「是非勧める」とあれば抗がん剤治療をするべきなんだと決意も固まるのですが「勧める」とあったので、もし抗がん剤治療をしないので済むのであれば…という思いにもなってしまっております。
母の乳がんが見つかった昨年末から不安な日々を過ごす中、乳がんプラザを通して田澤先生のお言葉から乳がんについて勉強させていただいております。
たくさんの患者さんを診てこれらた田澤先生から見て、これからの母に抗がん剤治療が必要かどうかを教えていただきたいと思います。
お忙しい中大変申し訳ないのですが、ぜひ回答いただけたらありがたいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1c(13mm), pN0, luminal
完璧な早期癌です。
ただし、術後治療は(ステージではなく)「サブタイプで決まる」ことを御理解ください。
○論点は、質問者(のお母さん)は「ルミナールA(ホルモン療法単独)なのか、B(ホルモン療法+化学療法)なのか?」という点に絞られます。
(保険適応である)日常診療の範囲内では「Ki67」がその「大任」にあたります。
 42.1%であれば(Ki67単独での)判断であれば、「ルミナールB=ホルモン療法+抗癌剤」となります。
 ♯ただし、この値ではOncotypeDXを行えば「ルミナールA=ホルモン療法単独」となる可能性もあります。(Ki67遺伝子を含む21遺伝子での評価であるOncotypeDXの方がKi67単独での評価より優位に立ちます)
「①これらの結果からやはり抗がん剤治療が必要であるかということ」
⇒もしもOncotypeDXを受けないのであれば…
 (Ki67単独での評価では「)ルミナールAと判断する根拠が無い=ルミナールBとして抗癌剤すべき」となります。
「②保険適用ではないオンコタイプDx検査を受けてみた方がいいのか」
⇒可能なら是非受けてください。
 ルミナールAと判明する可能性もありますし、(逆に)ルミナールBならば「化学療法の上乗せが高い」ことが解り、(それは、それで)「化学療法に対するモチベーション」となる筈です。