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術後の治療について

[管理番号:3823]
性別:女性
年齢:34歳
はじめまして。
術後の治療法について悩んでいます。
左乳房全摘、リンパ節レベル2まで郭清しました。
病理の結果
浸潤性乳管癌 T2N1M0
癌の大きさ 浸潤部約2.3cm 広がり約3.6cm
リンパ節に転移3/12(センチネルリンパ節)
異型度 Grade2(核Grade1)
微小なリンパ管、静脈への広がりなし
ER70%
PgR70%
HER2 陰性(1)
Ki67 5%
担当医から癌の大きさが大き目であること、リンパ節転移が3個ということ、あと年齢の事を考慮してフルコースの治療法を勧められました。
まずは 化学療法 EC療法 3週毎×4回
ドセタキセル3週毎×4回
放射線療法 鎖骨上と胸壁に25回
ホルモン療法 ノルバデックス10年
皮下注射(ゾラデックス・リュープリン)5年
病理の結果が出るまでは、効果があるなら抗ガン剤も頑張ろうと思っていましたが、病理結果をみて抗ガン剤があまりきかないタイプということで、抗ガン剤をやるか悩んでいます。
できればやりたくないです。
先生でしたらどういう治療法を勧めますでしょうか?
私の場合抗ガン剤による上乗せ効果はどの程度あるのでしょうか?
また、ドセタキセルをせずEC療法だけするというのは意味はありますか?
自分で検索しているとリュープリンは抗ガン剤というのを見ました。
ゾラデックスはちがうのですか?
また、この2つも抗ガン剤同様卵巣にダメージを与えるのですか?
読みにくい文章で申し訳ありません。
よろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「担当医から癌の大きさが大き目であること、リンパ節転移が3個ということ、あと年齢の事を考慮してフルコースの治療法を勧められました」
⇒全く賛成しません。
 「腫瘍径」や「リンパ節転移の個数」に関係なく「ルミナールAでは抗ガン剤によるベネフィットはない」のです。
 しかも「年齢??」何の根拠もありません。
「病理結果をみて抗ガン剤があまりきかないタイプということで、抗ガン剤をやるか悩んでいます。」
⇒それは「正しい感覚」です。
「先生でしたらどういう治療法を勧めますでしょうか?」
⇒タモキシフェン+LH-RHagonistです。
「私の場合抗ガン剤による上乗せ効果はどの程度あるのでしょうか?」
⇒殆どありません。
「また、ドセタキセルをせずEC療法だけするというのは意味はありますか?」
⇒そもそも「抗ガン剤自体、殆ど上乗せはない」と思います。
「自分で検索しているとリュープリンは抗ガン剤というのを見ました。」
⇒誤解です。
 ホルモン療法は基本的に「乳がん(一部前立腺癌)にしか適応がない」ので(癌の治療だけに用いる薬剤として)「抗悪性腫瘍剤」と表現することもあります。
 ♯リュープリンでは(癌以外でも)「子宮内膜症や子宮筋腫にも適応」があります。
「ゾラデックスはちがうのですか?」
⇒同じです。
「また、この2つも抗ガン剤同様卵巣にダメージを与えるのですか?」
⇒ここも勘違いされています。
 そもそもLH-RHagonistは「卵巣機能低下」のためにありますが、(一般的に)抗癌剤は「卵巣を(特に)ターゲットにしているわけではない」のです。
 ♯結果として(特にエンドキサンなど)「卵巣毒性がある」だけの話です。
 つまり「LH-RHagonistも抗ガン剤同様卵巣にダメージを与えるのですか?」ではなく、「抗ガン剤もLH-RHagonist同様卵巣にダメージを与えるのですか?」という質問が正しいのです。
 そして、その回答として
 抗ガン剤は(LH-RHagonistのように卵巣機能抑制を直接狙って用いているわけではありませんが)一般に「卵巣にも影響を与え」時に閉経(化学療法閉経と表現します)を起こしうる。ということです。