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今後の治療について

[管理番号:3547]
性別:女性
年齢:68歳
初めて質問いたします。
母の今後の治療についてご相談させてください。
今年の1月末に左乳房部分切除
センチネルリンパ節転移なし
浸潤性充実腺管がん
トリプルネガティブ
大きさ 9.7×9.1mm
核グレード3
ステージ1
主治医からは、抗がん剤をすすめられませんでした。
3月から4月に放射線療法(50グレイ)を終了。
今後の治療はなしで良いのか不安になり、詳しい病理結果を確認してみました。
J-score:ER(0),PgR(3a)
Ki-67:60~70%
g,f –
ly –
v –
EIC –
comedo –
ew –
HER2-R(1+)
核グレードとKi-67が高いことから、セカンドオピニオンを受けたところ、EC4コース+タキサン4コースをすすめられ、抗がん剤治療をすることにしました。
6月にEC2回目投与後から発熱・咳があり、放射線肺炎と診断されました。
ステロイドを服用しましたが、減量が上手くいかず、発熱を繰り返し、現在も治療中です。
そのため、抗がん剤治療は2回のみで、休薬しております。
他の病歴としては、6年前に血痰が出て、非結核性抗酸菌症と診断されました。
(以後、右肺に陰影があります。)
今回の放射線肺炎は左肺ですが、CT・レントゲンを見ると、右肺の陰影部分にも肺炎を併発し、抗酸菌症が増悪していました。
肺を診てもらっている主治医には、「抗がん剤治療は肺炎が落ち着き、半年経過してからが良い」と言われました。
また、20年前に右乳房に3cm弱の浸潤性乳がんが見つかり、全摘手術、腋窩リンパ節郭清(転移なし)をしています。
術後はノルバデックス(3年間)、ユーエフティ(1年半)を服用しました。
それ以後、20年間は再発、転移はありませんでした。
このような状況ですが、いろいろ気になることがあるので、質問させてください。
PgR(3a)となっておりますが、トリプルネガティブなのでしょうか?
20年前のがんはどのタイプか分かりませんが、同じ身体にできたがんであれば、同じタイプのがんなのでしょうか?
もしそうなら、転移する確率が低いのかと期待しているのですが・・・。
抗がん剤は連続して4回しなければ、効果はないのですか?
もし2回で中止した場合、どれくらい効果があるのでしょうか?
(半分くらいはあるのでしょうか?)
肺炎が治まり、治療再開となれば、かなりの期間が経過していそうですが、そうなると最初からのやり直しで、EC4回するのでしょうか?
母は体力がなく、抗がん剤治療の副作用もひどかったので、治療再開には不安を感じております。
EC+タキサンをした場合としない場合の再発率・生存率を教えてもらえませんか?
肺炎の再発や抗酸菌症の悪化というリスクを抱えながらでも、抗がん剤治療をするべきか悩んでおります。
先生ならどのような判断をされるか、ぜひご意見を伺いたく、どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1b(10mm), pN0, luminalB
luminalBでは化学療法の適応とはなりますが…
pT1bであることと、68歳と言う年齢からは「抗ガン剤を勧めるかは微妙な判断」となります。
私であれば、「積極的」であれば行うし、「消極的」であれば迷わず行いません。
「PgR(3a)となっておりますが、トリプルネガティブなのでしょうか?」
⇒PgRが陽性だから、ERも本当は陽性である可能性が高いです。
 Luminal typeとなります。
「20年前のがんはどのタイプか分かりませんが、同じ身体にできたがんであれば、同じタイプのがんなのでしょうか?」
⇒全く無関係です。
「抗がん剤は連続して4回しなければ、効果はないのですか?」
⇒そんなことはないでしょうが…
 途中で止めた場合のデータはありません。
「もし2回で中止した場合、どれくらい効果があるのでしょうか?」
⇒上記通り、不明です。
「肺炎が治まり、治療再開となれば、かなりの期間が経過していそうですが、そうなると最初からのやり直しで、EC4回するのでしょうか?」
⇒最初からではありません。
 ただし、このケースでは通常「抗ガン剤は中止となる」でしょう。(最初から、適応が微妙なわけですから)
「EC+タキサンをした場合としない場合の再発率・生存率を教えてもらえませんか?」

再発率 10年生存率
しない 11% 81%(但し他病死が19%中の14%を占める つまり乳癌による死は僅か5%)♯高齢になるに従って他病死の割合が増加します。
した場合 8% 82% ♯高齢になるに従って他病死の割合が増加します。

「肺炎の再発や抗酸菌症の悪化というリスクを抱えながらでも、抗がん剤治療をするべきか悩んでおります。」
⇒私なら全く悩みません。
 私の常識的感覚であれば、「放射線肺臓炎を引き起こした時点で即刻中止」となります。
「先生ならどのような判断をされるか」
⇒上記コメント通り…
 (迷うことなく)即刻中止です。