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今後の治療について

[管理番号:3136]
性別:女性
年齢:40歳
今後の治療について悩んでおり、メールさせていただきました。
40才です。
先月左乳房の乳がんに対して、皮下乳腺全摘、センチネルリンパ節生検、自家組織で同時再建しました。
術中、迅速で乳頭直下断端に乳管内伸展がありましたので、乳輪乳頭は切除しています。
病理の結果は下記のとおりです。
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Ductal carcinoma in situ,It. breast, pTisNX
D領域 g, ly0,v0
切除断端positive(外側断端 exposed)
Van Nuys classification:High grade DCIS
(solid,cribriform,flat,comed,clear cell type)
免疫染色結果:ER(Score3b:50%以上) PgR(Score3b:50%以上)
HER2(score1:参考所見)
背景の乳腺組織:sclerosing adenosis,cyst,apocrine adenosis,usual epithelial hyperplasia,FA-like hyperplasia,columnar cell change/hyperplasia
D領域に広範にhigh grade DCISが広がっています。
迅速時の乳頭直下組織にはDCISの進展がありますが、追加切除された乳頭部には明らかな悪性所見は認めませんでした。
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主治医からは、非浸潤癌でホルモンは陽性。
乳管内の広がりは5CM程度。
ホルモン療法をするか、しないか検討するようにとだけ言われました。
手術前は浸潤癌と聞いていたので、予想外の結果に頭が真っ白になり、聞きたい事も聞けませんでした。
自分で病理結果を解読しようと調べているのですが、理解できない部分も多く、困っています。
①わたくしの場合の所見をわかりやすく教えていただけないでしょうか。
②癌は取りきれたのでしょうか、
また、High grade DCISとはどういう状況なのでしょうか。
②上記を踏まえて、無治療の場合と、ホルモン療法をする場合のメリット、デメリットを教えていただけませんか。
お忙しいなか申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
非浸潤癌での全摘(質問者の場合には、結局乳頭も切除しているのだから、全摘にあたります)は根治です。無治療です。
「対側乳癌の発生を抑える目的で」という話もありますが、有害事象(特に子宮体癌のリスク)を考えれば「無治療とすべき」です。
 
「主治医からは、非浸潤癌でホルモンは陽性。乳管内の広がりは5CM程度。ホルモン療法をするか、しないか検討するようにとだけ言われました。」
⇒ホルモン療法の提案をすべきではありません。
 「非浸潤癌での全摘なので根治です。無治療でいいと思います。
 ホルモン療法は対側乳癌の発症を抑える効果はありますが、子宮体癌の発生リスク上昇などがあり勧めません」という説明にすべきです。
 
「①わたくしの場合の所見をわかりやすく教えていただけないでしょうか。」
⇒「D領域に広範にhigh grade DCISが広がっています。迅速時の乳頭直下組織にはDCISの進展がありますが、追加切除された乳頭部には明らかな悪性所見は認めませんでした。」ということです。
 追加するとすれば、D領域(外下側)の背景乳腺には硬化性腺症などの乳腺症組織があるということくらいです。
 ○ハイグレード非浸潤癌は(放っておけば)「比較的速やかに浸潤癌へ移行する」というだけであり、「全摘した以上」気にする必要は全くありません。
 
「②癌は取りきれたのでしょうか、」
⇒乳頭部も切除し「全摘」なのだから当然「取り切れています」
 「全摘」なのに「乳腺を取り残す」などあり得ません。
 
「また、High grade DCISとはどういう状況なのでしょうか。」
⇒比較的速やかに浸潤癌となり易いということです。
 
「②上記を踏まえて、無治療の場合と、ホルモン療法をする場合のメリット、デメリットを教えていただけませんか。」

メリット デメリット
ホルモン療法 対側乳癌の予防 子宮体癌のリスク上昇、「のぼせ」など副作用

 無治療のメリット・デメリットは上記の裏返しです。