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しこりと石灰化、乳ガンでしょうか。

[管理番号:166]
性別:女性
年齢:44歳
 
先日検診でしこりと石灰化を指摘されました。
前回の検診は1年半位前で、嚢胞があり半年後に再診し、次は普通に検診でOKと言われました。
しこりは2㎝位で、中に集中した細かい石灰化が見られました。分泌物は乳黄色で見た感じ血液は混じってません。
今、生理直前なので、胸は押すと痛いです。脇の下も痛い感じがします。
自分で調べた限りでは、乳ガンだと…
今度、精密検査をする予定です。
不安で仕方ないです。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 
 「石灰化を伴うしこり」ですね。
 御心配なことだとお察しします。
 それでは回答します。

回答

「しこりは2㎝位で、中に集中した細かい石灰化が見られました。分泌物は乳黄色」
⇒癌の可能性は高そうです。
 

 「集簇性の細かい石灰化」だけであれば、乳癌の確率は「2~3割」というところですが、「石灰化の周辺がしこりを形成」している場合には「癌」が疑われます。
 乳頭分泌を伴っている事より「非浸潤性乳管癌~乳頭腺管癌」を疑う所見です。
 
◎ただ「1年前の検診でOK」との事より、それ程進行している事は無いと思います。「非浸潤性乳管癌の可能性」もあるとは思います。
 きちんと「診断」して治療に向かう事が重要です。
 

「石灰化を伴うしこり」の精密検査(確定診断)について

 通常、超音波で「しこり」が確認されれば、(超音波ガイド下に)針生検もしくは(超音波ガイド下の)マンモトーム生検で確定診断をつけます。
 ただ、「しこりの針生検」で確定診断がもしもつかなかったら?
 経過観察ではなく、今度は「石灰化を狙った」ステレオガイド下マンモトーム生検を用いて「確実に石灰化部分を検査する」事をお勧めします。
 
※「超音波ガイド下」マンモトーム生検と「ステレオガイド下」マンモトーム生検の違いについては、トップページの「乳癌の検査」の「マンモトーム生検」を参照してください。
 
 

質問者様より 【質問2 しこりは必ずエコーやマンモで写りますか?】

先日、しこりと石灰化の質問をさせていただきました。ご解答ありがとうございました。
がんの可能性が高いとの事で、精密検査の日まで心穏やかではありません。
気にしてしこりを触っては、やっぱりある…と落胆の日々です。
 
しこりを触っていて気付いたのですが、立ったままで乳房をわしづかみすると両乳房ともまとまったかたい固まりがあります。
しこりがある方の乳房はその固まりが右より固いです。
これはしこりが下まで広がっているのだろうかと心配になってしまいました。
 
エコーでは2㎝位のしこりでしたが、その固まり含めば2㎝どころじゃないです。
それと、前回の質問の解答の中に1年位で…それ程進行してない…とありましたが、しこりは1㎝になるのに数年かかるとネット検索ではありました。
1年位で2㎝もあったらすごい勢いがあるのか思ってしまい、この固まりは実は1年分か?と心配です。
大きいと転移も心配になります。2度目の質問になりますがよろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 
 「しこりと石灰化 乳癌でしょうか」と先日ご質問いただいた方ですね。
 御心配なことと思います。
 それでは回答します。

回答

「立ったままで乳房をわしづかみすると両乳房ともまとまったかたい固まりがあります。しこりがある方の乳房はその固まりが右より固いです。これはしこりが下まで広がっているのだろうか」
⇒癌が広がっている訳ではありません。
 乳房をわし掴みにすると、正常乳腺も「しこり」の様に感じます。
 医師に言われた通り「2cm」ということだと思います。
 
「しこりは1㎝になるのに数年かかるとネット検索ではありました。1年位で2㎝もあったらすごい勢いがあるのか思って」
⇒これも誤解があります。
 「癌細胞が1個の細胞としてできてから1cmのしこりを形成するまでは数年」という意味です。
 
 
 ●石灰化を伴うしこりの場合は(しこりを形成する前に)「非浸潤癌」として2cm程度に広がってから、急に「しこりを形成」する事が多く、発見された時には「2cm」位となる場合も多いのです。
 こういったケースでは例え浸潤癌でも「非浸潤癌の部分が大きく」「しこりの大きさの割にはかなり早期」であるケースが経験上多いです。
 
★「石灰化を伴う2cmのしこり」は決して進行したものではないと思います。(非浸潤癌が大部分を占めているケースも十分考えられます)
 増殖が速い(すごい勢い)という訳ではないのです。
 先日の回答でもお話しした通り、「1年前の検診でOK」であれば、リンパ節転移なども無いと私は予想しています。
  
 
 

質問者様より 【質問3 経過観察の期間とは…】

再度の質問へのご回答ありがとうございました。ひとつ疑問があったのでまた質問させていただきたいです。
1年前の健診でOKだったのであればリンパ節転移…とありますが、どれくらい期間があいてしまっていたらまずい状態になっていたのでしょうか?
普通の市の健診なら2年はあいていました。
 
また、右乳房にもまばらな石灰化が3つくらいありました。
こちらは経過観察でしたが生検してもらった方がいいのでしょうか?
生検が必要なくても3~6ヶ月で検診するべきですか?
 
よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
 
 「しこりと石灰化」で先日質問いただいた方ですね。
 それでは回答します。

回答

「どれくらい期間があいてしまっていたらまずい状態になっていたのでしょうか?」
⇒おそらく2年くらいでしょう。
 (腫瘍が確認されてから)通常は1年以上は、リンパ節転移を起こしません。(2,3年の場合も珍しくありません)
 「毎年検診を受けていた場合」乳癌が発見されても「リンパ節転移がある」場合はほどんどありません。
 ●腫瘍を自覚してから、1年以上(忙しいなどの理由で)放置していた場合にはリンパ節転移を起こしている事もあります。
 
「普通の市の健診なら2年はあいていました。」
⇒(市町村の検診では)財政上の理由で2年に1回の場合も珍しくはありません。
 検査が2年空いた場合(たまたま検診直後に癌ができた場合、2年近く癌が成長してしまう訳ですが)その場合には、リンパ節転移を起こしていることも(多くはないですが)たまにあります。
 ※(1年間隔)リンパ節転移殆どなし
  (2年間隔)リンパ節転移たまにあり(10%程度でしょう)
 皆さんが思っているほど、リンパ節転移は多くはありません。
 リンパ節転移を起こしているのは「検診(1年ないし2年感覚)をきちんと受けている」方には実際、殆どリンパ節転移はありません。
 
「右乳房にもまばらな石灰化が3つ」
⇒これは良性(乳腺症など)所見です。
 1年に1回のマンモグラフィーで十分です。
 
 

質問者様より 【質問4 手術の事】

しこりと石灰化で質問させて頂いた者です。
先日、クリニックから紹介された専門病院で太い針で行う細胞の検査をしてきました。
確定診断は来週ですが「黒に近いグレー」そしてエコー上は脇へのリンパ節転移はなしと言われました。
しこりの大きさは17㎜×10㎜と聞きました。
さらに、右の乳頭近くにもあやしげな物があると言われました。
10日前に2回エコーやマンモをやったのに、見過ごされていたのかと思うと、今回見つけていただき本当によかったと思いました。
まだ、確定診断はされていませんが、された場合セカンドオピニオンを考えています。
その場合、その病院でも針生検をするのでしょうか?
セカンドオピニオンはどんな事をするのでしょうか?
 
他の方の質問で、針生検によってガン細胞が他に散る事があると知り、出来れば何度もやるのは避けたいです。
右の影は今度マンモして所見がなければ経過観察でと言われましたが、先生がおっしゃっているように、確定診断されて大丈夫でないと安心して経過観察の日々を送れません。
両方が乳癌だった場合、両方全摘出になりうるのでしょうか。どんな手術が考えられますか?
両方の乳房を失う事を想像すると怖いですし、かなしいです。
右の影は乳頭に近いので、小さいしこりだとしても、転移の可能性はありますか?
セカンドオピニオンすると手術も先にのびますが、この間に進行する心配はありませんか?
沢山質問してしまいましたが、すみません、よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答4】

 こんにちは。田澤です。
 「きちんと針生検された」との事、診断確定が迫ってくると「治療」についてもいろいろ気になる事が増えてくる事と思います。
 それでは回答します。

回答

「セカンドオピニオンを考えています。その場合、その病院でも針生検をするのでしょうか?セカンドオピニオンはどんな事をするのでしょうか?」
⇒針生検は行いません。
⇒セカンドオピニオンは「診察は一切せずに」資料(マンモなど画像や、針生検の病理レポートなど)を見て、「診断や治療方針についてのアドバイスをする」だけです。
  これは「自由診療」で病院ごとに「30分あたり○○円」のような価格設定があります。
  ※もし、その場で(セカンドオピニオン先に)転医と決まっても、通常はそのまま診療には移行しません。(元の医療機関より改めて紹介状を作成してもらい)再診となります。
 
「他の方の質問で、針生検によってガン細胞が他に散る事があると知り、出来れば何度もやるのは避けたいです。」
⇒(前医での針生検の結果に余程疑問が無い限りは)再度の針生検を行う事はありません。
 

  ●(余談ですが)針生検について
針生検が、実臨床の場に広がったのは10年位前です。
(私が最初に針生検を使用したのは15,6年前ですが、その当時は細い針=細胞診が圧倒的に優勢でした)
針生検が広まりだすと、「そんな太い針で癌を刺したら、広がる(播種といいます)のではないか?」当然、(細胞診派の)先生方から疑問が出て一時期大変な議論となりました。
完全な「結論」が出ている訳ではありませんが、「(一時は存在したとしても)殆どの癌細胞が自然に死滅」してしまい、実臨床の場で問題になる事はありません。
過剰に神経質になる必要はありません。

 
「右の影は今度マンモして所見がなければ経過観察」
⇒全く賛成できません。
 ●小さい腫瘍(特に5mm以下)であれば、「超音波では解るが、マンモでは写らない」のはむしろ当然です。
 
 質問者の「確定診断されて大丈夫でないと安心して経過観察の日々を送れません」という考えかたが正しいです。
 (もしも、左が癌と確定した場合)左の手術の前に「右も針生検を行い確定診断するべき」です。
 (もしも、左右とも癌と確定した場合には)当然、手術は左右同時に行うべきなのです。
 
「両方が乳癌だった場合、両方全摘出になりうるのでしょうか。どんな手術が考えられますか?」
⇒両方全摘出にはならないでしょう。
⇒「左は17x10mm」、「右は(文章からすると)もっと小さい筈」
 これであれば、両側とも乳房温存術+センチネルリンパ節生検 となると思います。
 ※(右は乳頭近くに…とありますが)乳頭に近くても、乳頭への直接浸潤でもない限り温存できます。
 
「右の影は乳頭に近いので、小さいしこりだとしても、転移の可能性はありますか?」
⇒転移の可能性は限りなくゼロでしょう。
 ※「乳頭に近い」ことは転移とは関係ありません。
 それ程小さい腫瘍が「もし癌だとしても」転移を起こす可能性はかなり低くなります。
 
「セカンドオピニオンすると手術も先にのびますが、この間に進行する心配はありませんか?」
⇒「3カ月以内」なら全く問題ないと思います。
 それ以上になるようなら、あまり勧められません。
  
 

手術までの期間とセカンドオピニオンについて

「手術までの待機期間が○カ月だと進行する」みたいなデータは当然ありません。(それぞれの癌によって現時点での進行度も増殖スピードも異なるからです)
 ただ、私の印象では「半年経つ」(通常半年も空ける事はありませんが「患者さんが決心がつかずに」空いてしまう事もあります。)と「目に見えて大きくなります」
 
セカンドオピニオンについて
⇒(患者さんの当然の権利であることは承知しており、決して否定している訳では決してありませが)
 目的もなく行うべきではありません。
⇒診断や治療方針に「疑問がある。または、他に方法は無いのか?」など「明確な目的」を持っている場合に行うべきです。
 
(参考にしてください)
 一昔前と違って、「十分なエビデンスと、それに基づいたガイドライン(標準治療)が整備され、最新情報が(ネットを含めて)全国で共有できる」現状では、(昔のような)「中央の大病院(大学病院を含む)と地方病院」で「やり方が異なる」ことは一切無くなりました。
 つまり、全国どこへ行っても(乳腺専門医であれば)同じ医療が行われています。
 

私見 (題名に「手術の事」とあるので、手術についてお話します)

 最新の知識が共有できる今、大学病院を含む大病院の(診療における)存在意義が問われています。
 (研究や教育機関としての)役割は大きいと思いますが、実臨床(診療)における優位性は全くありません。
 むしろ、(若い医師の修練の場として)「未熟な手術に曝されている」のが現状です。(○馬○学病院の例を見るまでも無く)
 
◎「手術の技術(診断もそうですが)」は「医師個人の経験」に左右されます。
 「○○病院は年間500件手術」と言っても「10人の医師がいれば、医師一人あたりは50件程度」です。とても上手くはなれません。
 それよりは「年間150件でも、一人の医師がやっている」方が優れた手術ができます。(参考にしてください)
 
 

質問者様より 【質問5 確定診断でました。】

本日、確定診断出ました。
乳がんでした。
直前まで、医師から「違いましたよ~」との言葉を淡いながらも期待していましたが…。
 
今日は、マンモと血液検査もやりました。
マンモの画像から、しこりは2㎝弱だけど、石灰化部分を含めると3㎝弱になるとの事。
今日の時点では、今後の予定としては手術と抗がん剤治療をすると聞きました。
説明の間、しっかり聞いていたつもりでしたが、がんの種類も聞きそびれたし、組織診断結果をもらってくるのも忘れてしまいました。
ただ、覚えているのは3項目あったと思うのですが、すべて(+)でホルモン感受性が強いタイプ?で、ハーツーが3+だから、ハーセプチンという薬剤を使うので、単独では使わないので抗がん剤も必要となるとの事でした。
 
今後、CTにMRIに骨シンチにと予約してきました。
来週には、手術日を予約しますとの事でした。
全ての検査をしてみないと、温存か全摘出かはまだ分からないと。ただ、乳汁分泌物があるタイプだと、広い範囲でとらなきゃいけなくなる事も多いと聞きました。
この診断を受けて、自分の中でリンパ節への転移や骨などの転移の心配も再び出てきました。
セカンドオピニオンに関しても、以前質問させていただきましたが、全ての検査を終えて、その結果を持って行くとの事ですね。
乳房が残せるかどうか、そんな問題が出てきたら受けてみようかな、という気持ちに変わってきました。
 
長くなりましたが、質問は、やはり抗がん剤は必要なのかなという事と石灰化の部分の広がりをみると、脇への転移は考えられますか?
あと、今日のマンモで赤い乳汁分泌物が出てきました。2週間弱前は黄色かったのに…がんが進んだのかなと心配です。
 

田澤先生から 【回答5】

 こんにちは。田澤です。
 「しこりと石灰化…」の質問の頃から、十分悩み考えて「確定診断」の日を迎えられましたね。
 ご本人にとっては、気が気でない日々であり大変だったと思いますが、「今回のメール内容を拝見」するに、「質問の度に」(頭が整理されていき)「自分の病気に立ち向かう」貴重な日々だったと思います。
 それでは回答します。

回答

「しこりは2㎝弱だけど、石灰化部分を含めると3㎝弱になる」
⇒乳管内に拡がった「非浸潤癌」の中で「浸潤し、腫瘍を形成した」様子が解ります。
 ※このタイプはおそらく「乳頭腺管癌」だと思います。
 
「全ての検査をしてみないと、温存か全摘出かはまだ分からないと」
⇒実際には「乳房MRI」による「拡がり診断」を待っているのです。
 「乳房超音波」「マンモグラフィーでの石灰化の拡がり」「乳房(造影)MRI」この3つで最終的に「拡がり診断」を行い「温存か、全摘か?」を判断します。
 
「抗がん剤は必要なのかな」
⇒抗癌剤は是非行ってください。
 
◎抗癌剤の適応は「サブタイプ(乳癌の性質)」が重要です。
 ※進行度とは関係ありません。

  1. luminal type(ホルモン感受性陽性かつHER2陰性)
    ⇒基本的には「ホルモン療法単独」但し、増殖指数(Ki67)が高い際には化学療法を追加する場合あり
     
  2. luminal HER2 type(一般にはluminalB HER2陽性 と表現する)
    ⇒この場合には「ホルモン療法」+「ハーセプチン(分子標的薬)を含んだ化学療法」の絶対的適応があります。
     
  3. HER2 type(ホルモン感受性陰性かつHER2陽性)
    ⇒「ハーセプチンを含んだ化学療法」のみ
     
  4. tripple negative(ホルモン感受性陰性かつHER2陰性)
    ⇒(ホルモン療法もハーセプチンも使えない)「化学療法のみ」の絶対的適応となります。
     

 ※「サブタイプ分類とその治療法」についてはトップページの「乳癌の分類」を参照してください。
★つまり質問者【3項目あったと思うのですが、すべて(+)でホルモン感受性が強いタイプ?で、ハーツーが3+】とあるので上記「2」に相当します。
⇒是非ホルモン療法+(ハーセプチンを含んだ)化学療法を行ってください。
 ※但し、例外があります。浸潤径(腫瘍径では無く、浸潤癌部分の最大径の事を言います)が5mm以下であれば(ハーセプチンを含む)化学療法の適応はありません。(NCCNガイドライン)
 
「石灰化の部分の広がりをみると、脇への転移は考えられますか?」
⇒「石灰化の拡がり」と「(腋窩リンパ節を含めた)転移」は全く関係ありません。
 石灰化の拡がりは、主として非浸潤癌としての拡がりを反映していると思いますが、転移とは関係ありません。
 
 ※「超音波で腫れていない」と担当医から言われていたと思います。その所見が正しいと思います。
 
「今日のマンモで赤い乳汁分泌物が出てきました。2週間弱前は黄色かったのに…がんが進んだのかなと心配」
⇒「血性分泌」は「針生検の影響」でしょう。腫瘍は乳管に連続しており、さらに乳管は乳頭へ開口しているのです。
 「針生検」をすると、暫く「血性分泌」があることは良く有ります。心配ありません。癌の進行とは無関係です。
 
◎「右乳頭近くのあやしげなもの」というエコー所見はどうしたのでしょうか?
 もしかして、「マンモで写っていないから大丈夫。もしくは経過観察」となったのでしょうか?

 ⇒(そうだとしたら)私は賛成できません。
 左の手術をする前に「針生検」で確定診断すべきです。
 
 

質問者様より 【質問6 右側のしこり】

さっそくのご回答ありがとうございました。
こちらで田澤先生に質問させていただき、様々な不安や疑問、迷いなどを受け止めていただき、丁寧にご回答いただき、乱れる心や頭が落ち着くのです。
本当に感謝しています。
 
私の組織診断結果でハーセプチンは必須なのですね。
抗がん剤治療、どんな副作用がでるのか未知ですが、頑張って乗りきりたいと思います。効果がありますように..
 
それと、組織診断結果の紙はもらわなかったのですが、PC画面には、先生のおっしゃった乳管なんとかと書かれていたように思います。
怖くて告知の時は確認出来ませんでした。
 
右側のあやしげなものですが、マンモには所見がなかったようです。
はっきり説明はされてないですが、最初から左側の話ばかりだったので、右側の物も生検して欲しいこと、癌だったら一緒にとって欲しい事伝えました。
CT撮ってからにしましょうと言われましたが、これでもいいことになりますか?
もしかしたら、スルーされるかなと心配しますが、自分で積極的に聞きたいと思います。
もし小さながんだったら、手術でとらないで、左側で行う抗がん剤で消える事はありませんか?
やっぱりとってもらった方がいいのでしょうか?
 
もし右側もがんだとしたら、両側乳がんとなりますが、両側乳がんだったら、両側を全摘出したら、脇へのリンパ転移がなければ、乳腺がないので、もう乳がんにはならないのでしょうか?
 
まだ、全摘出かどうかは決まっていませんが、リスクがなくなるのであれば、全摘出も覚悟しています。
 
あと、私には副乳があります。それはどうする事が望ましいですか?
 
繰り返しの質問になりますが、よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答6】

 こんにちは。田澤です。
 「右側のしこり」に対する考え方には賛成です。
 それでは回答します。

回答

「CT撮ってからにしましょう」
⇒私には賛成できません。
 
 (マンモと同様に)「CTで写らなかったら、無かった事にするつもり」なのでしょうか? 全くナンセンスです。
 「小さな腫瘍」の検出には「超音波が最も優れています」 ★マンモやCTで写らないから大丈夫なんて事はありません。
 (せっかく超音波で小さなしこりを見つけた)のであれば、「早期発見のチャンス」をみすみす逃してはいけません。
 (超音波で見えている)以上は、「診断をつける」べきです。
  
 (私であれば)
 「針生検」して早急に診断を付けます。(左手術後に、「後で結局右も癌と判明」、後日「今度は右の手術をする事態」は「間違った診療」です)
 (もし右側が悪性ならば)当然、両側同時に手術します。
 (もし右側が良性であったならば)安心して左だけの手術ができるのです。
 
「もし小さながんだったら、手術でとらないで、左側で行う抗がん剤で消える事はありませんか?やっぱりとってもらった方がいいのでしょうか?」
⇒(画像上)消える(見えなくなるまで小さくなる)可能性は大いにあります。
 ただ、注意して欲しいのは「画像上消失=小さくなる=治癒」ではないのです。
 予想される事態としては、「抗癌剤で右が画像上消失 ※実は細胞レベルで残存 ⇒(後日)再増大」
 ※後日再増大した際には、「転移も出現」と言う事もあり得るのです(勿論、全て仮定の話ですが)
 
⇒(もし癌であれば)どんなに小さくても「きちんと摘出」するべきです。
 抗癌剤で「消えた=画像で見えなくなるまで縮小した」事を「治癒した」と考えるのは危険なのです。
 
「両側乳がんだったら、両側を全摘出したら、脇へのリンパ転移がなければ、乳腺がないので、もう乳がんにはならないのでしょうか?」
⇒「局所(乳房)に再発」する可能性は限りなくゼロに近くなるでしょう。
 ただ、「(全身への)再発」の可能性はゼロにはなりません。
 ●「腋窩リンパ節に転移がなかったら」転移は起こらないという訳ではありません。
 
 癌細胞が「乳管から外へ出る=浸潤」した時点で、(周囲間質にある)血管やリンパ管へ入り込むリスクが生じます。(あくまでリスクであり、必ず入り込む訳ではありませんが…)
 「血管へ入り込む⇒血液の流れに乗って(骨、肺、肝などへ)到着し増殖する」これを「血行性転移」と言います。
 「リンパ管へ入り込む⇒リンパ管よりリンパ節へ到着し増殖する」これを「リンパ行性転移」と言います。
 ★つまり、「腋窩リンパ節転移が無かった」としても、(それとは全く独立して)「血行性転移」が(後に)起こる可能性はあるのです。
 ※あくまで可能性の話です。実際には、リンパ行性転移が無い場合、血行性転移も出現しない事が多い。
  
「副乳があります。それはどうする事が望ましい」
⇒(副乳は連続していないので)そのままでOKです。
 副乳も摘出する必要はありません。
 ※副乳にも癌が発生(副乳癌)することがありますが、極めて稀であり今回気にする必要はありません。
 
 

質問者様より 【質問7 がんの顔つき、病院選び】

次回の診察までにと、色々調べていたら、細胞診で分かった、ホルモン受容体陽性とハーツー陽性の結果で不安な事がありました。
トリプルポジティブと言われてるのですか?がんの顔つきとしては悪性度が高い、治療はフルコース…そんな情報を目にしては、落ち着いてきた気持ちをゆさぶります…
ハーセプチンができてから、効果があがってきているとも聞きましたが、実際の現場ではどうなのでしょうか?
 
あと、もし田澤先生のところでセカンドオピニオンを受けるとしたら、残りの検査を全て終わらせてからの方がいいですか?
右側 の生検に関して、どんな対応をしていただくかにもよるのですが…
遠方から抗がん剤治療をしにくるかたはいますか?
転医したとして手術待ち期間が長いでしょうか?
私の場合は、放射線やホルモン療法も適応になると思うのですが、近い方がいいと思う半面、信頼できる医師にかかりたいなという気持ちもあります。
最近では診断や治療に差わないとききますが、大袈裟にいうと、どこに自分の命をあずけていいのかなとちょっと考えてしまいました。
こんな質問すみません。
 

田澤先生から 【回答7】

 こんにちは。田澤です。
 HER2陽性乳癌は、HER2をターゲットとした分子標的薬(ハーセプチンなど)の登場により劇的に変わりました。
 決して予後が悪いものではなくなっています。(更にペルシズマブやトラスツズマブ‐エムタンシンなど)、この分野には続々ニューフェイスが登場してます。
 現在では最も手ごわい乳癌は「トリプルネガティブ」です。
 それでは回答します。

回答

「ハーセプチンができてから、効果があがってきているとも聞きましたが、実際の現場ではどうなのでしょうか?」
⇒〈冒頭でも書きましたが)HER2陽性乳癌は「ハーセプチンの1年間補助療法」が始まってから劇的に改善しています。
 
 しかも、質問者は「luminal-HER2 type (正確にはluminal B HER2陽性タイプ)」であるので内分泌療法も有効であり、状況は決して悪くありません。
 
「治療はフルコース」
⇒(患者さん側と)我々乳腺外科医との感じ方の大きな違いがここにあります。
 
 我々からみると、「フルコース=ハーセプチン(を含む化学療法)+ホルモン療法」が効く=大変望ましいこと に思えます。
 それを治療を「フルコース」しなくてはならない。と(患者さんたちには)感じるのでしょう。
 しかし我々治療する側にとって「効くものが沢山ある=武器が豊富」であることは幸せなことである。と思っています。
◎「乳癌の術後療法(補助療法)は再発予防」です。 再発予防として「予防法」が沢山あることは幸いであり、全てするべきだと思っています。(効くか効かないか不明なのに、とりあえず抗がん剤をするのとは雲泥の違いがあります)
 
「田澤先生のところでセカンドオピニオンを受けるとしたら、残りの検査を全て終わらせてからの方がいいですか?」
⇒(確かCTとMRIと骨シンチがあると思いますが)純粋な「セカンドオピニオン」であれば終わらせてからの方がいいでしょう。
 例えば、「温存か切除か?」となると「MRIが無いと、判断ができない」ということになります。
 ※CTや骨シンチは「遠隔転移があるか?」という情報のためなので必ずしも必要ではありません(転移は無い場合が圧倒的に多いので、別に後日でも構いません)
 ただ、「江戸川病院での治療」となると、「右側の生検」など「早め、早め」に行った方がいいので、「MRIも含めて」検査を終わらせる必要はありません。
 平行して進めればいいのです。
 
「遠方から抗がん剤治療をしにくるかたはいますか?」
⇒あまりいません。
 抗がん剤治療の場合は、「点滴」後、数日してからの副作用が問題となるので、「抗がん剤治療」に関しては地元の協力(副作用発現時の対応など)が必要となってきます。
 
「転医したとして手術待ち期間が長いでしょうか?」
⇒長くはありません。
 私のポリシーとしては、「診断後2週間以内(遅くとも3週間以内)」の手術としています。
 
「最近では診断や治療に差わない」
⇒一部正しく、一部は正しくありません。
 (標準治療が整備され、情報が豊富である)今の時代では治療方針(知識の量)に変わりはありません。(例えば、HER2+なのに、ハーセプチンをしない病院は全国どこに行っても無いでしょう ※昔はそうでは無かったのです)
 ただし「診断の精度」や「手術の精度」には「医師の経験と技術」によって大きな差があります。
 もし、江戸川病院を受診していただければ、その点には保証ができます。
 是非、状況が許せば受診してください。
 
 

質問者様から 【質問8 非浸潤がんの中の浸潤がんとは】

すみません、先ほど質問を1つ忘れてしまいました。
前回質問の回答の中にあった、非浸潤がんの中の浸潤がんとは、分類すると浸潤がんということですか?
これは、細胞診の結果で分かってる事でしょうか?
 

田澤先生から 【回答8】

 こんにちは。田澤です。
 先ほどの質問の続きですね。
 了解しました。
 「非浸潤がんの中の浸潤がん」とは、確かに解り難かったかもしれませんね。
 それでは回答します。

回答

「非浸潤がんの中の浸潤がんとは、分類すると浸潤がんということですか?」
⇒その通り、分類すると浸潤癌となります。
乳癌の発症は
①まず乳管の中に癌細胞が発生(正確にいうと、乳管を作っている壁の細胞が癌化)します。
②その癌細胞が乳管の中で増殖します。(この段階が非浸潤癌です)
③やがて浸潤します(浸潤した時点で浸潤癌と呼ばれます)
 
大概の乳癌はこのステップを踏むのですが、次の2つのタイプに分けて考えると解りやすいと思います。

  • (タイプ1) 非浸潤癌として広がる前に、すぐに浸潤を起こし「しこり」を作るタイプ:一般にイメージする乳癌はこれでしょう。
    ⇒この場合には、癌の殆ど(全て)が浸潤癌となります。
     
  • (タイプ2) 上記ステップの②が長い(つまり、乳管の中を長く広がってから)浸潤を起こすタイプ:石灰化を起こすタイプはこれが多い。
    ⇒このタイプは腫瘍全体の大きさが例えば3cmでも、「その中の一部(と言っても、時間が経てばどんどん大きくなりますが)だけが浸潤癌」ということがあります。
     この場合の腫瘍の大きさは3cmではなく、「その浸潤部分の最大径=浸潤径」を指します。
     invasive ductal carcinoma, predominant DCIS (浸潤癌ではあるが、大部分を非浸潤癌が占める)という表現があります。
     

※ただ、石灰化があるからといって、「大部分が非浸潤癌」とは限りません。時間が経てば、どんどん浸潤癌が優勢となってくるのです。
 
「細胞診の結果で分かってる事でしょうか?」
⇒細胞診ではなく、(以前太い針で… との記載があるので)針生検の事だと思いますが、ある程度解ります。
 但し、実際に「どの程度が非浸潤癌部分」であり「どの程度の浸潤部分=浸潤径があるのか?」は、手術して「摘出した腫瘍全体での評価」となります。
 
 

質問者様から 【質問9 右側生検しました。】

先日は、回答ありがとうございます!
30日に受診して、CTと診察してきました。
CT結果は、肺転移なし、肝臓は乳がんの転移はないけど、嚢胞と血管腫のようなものありでした。
この正確な診断結果は読撮医がみてからの1週間後と言われました。
血管腫かも?と言われたものは、4.5㎝くらいあったみたいですが、そんなにでっかい血管腫ってあるのでしょうか?
大丈夫でしょうか?
治療に影響しませんか?
右側に関しては、CTや再エコーでみて、大丈夫だと思うけどなーと言われましたが、自分の思いを話して、やっていただきました。結果は1週間後になると思います。
CTで脇のリンパには腫れは見られませんでしたが、なんだか、左腕が重たい感じがします。
今、生理前ですが、問題ありませんか?ハーツー陽性はリンパ転移がはやい?と他の患者さんから聞いたので、心配です。
あと、手術日を提示されて、4月2◎日となりました。診断から1ヶ月です。
左側は思ってたより、横に広がっていました。しこりというより、もや~とした感じに白くつながってて、やっぱり三センチ弱。
ちょっと離れたところにももやっとしたのがありました。医師はMRIもとってみないとハッキリ言えないけど、全摘かなぁと言われました。
先生からハーツー陽性やホルモン陽性には、良好な武器が沢山あると聞いて少し落ち着きましたが、ステージが進んでいても効果は人それぞれですか?
けして予後か悪くない、武器は沢山ある、その言葉を励みに前向きに考えられそうです。
今後の予定は来週骨シンチで再来週MRIです。
田澤先生のおしゃるように抗がん剤を考えるとやっぱり近い方がいいのかな?と思いました。
もう少し考えてみます。
 

田澤先生から 【回答9】

 こんにちは。田澤です。
 
 術前検査など、順調にすすんでいるようですね。
 それでは回答します。

回答

「そんなにでっかい血管腫ってあるのでしょうか?」
⇒あります。
 血管腫は(造影CTであれば)「転移とは区別」がつきます。心配ありません。
 
「CTで脇のリンパには腫れは見られませんでしたが、なんだか、左腕が重たい感じがします。今、生理前ですが、問題ありませんか?」
⇒問題ありません。
 「左腕の重たい感じ」は、「針生検などの影響」もあるでしょう。
 リンパ節が関係している事は無さそうです。
 
「ステージが進んでいても効果は人それぞれですか?」
⇒HER2陽性に対する「ハーセプチンを含んだ化学療法」は、本当に良く効きます。(効かないものは、殆どありません)
 安心していいでしょう。
 ※ 術後補助療法なので、「効果を実感」することはありませんが、きちんと最後まで是非受けてください。
 
◎主治医とは「信頼関係が築ければ」大丈夫です。
 右を針生検(細胞診?)してくれたのは幸いでした。
 
 

質問者様より 
【質問10 右側の結果、リンパ節の転移について】

右側の結果でました。
悪性所見なく、乳腺症によるものだということでした。
これで安心して左側の手術にのぞめます。
来週MRIを残すところになりましたが、手術はやはり全摘出が安心だそうで、+センチネルリンパ節生検をやるそうです。
今のところ脇は大丈夫だと思うけど、あったとしても1つくらいかなと言われましたが、もし、センチネルリンパ節生検で何かあった場合、リンパ節を1つだけとるのですか?
リンパ節をかくせい?
全部とるのですか?
リンパ節が染まるということは、そこにガン細胞があったという事になりますか?
手術まで2週間ちょっとになりましたが、やはり転移が気になります。手術の後に、初期治療をしっかりやれば、大丈夫だよと言われましたが…
抗がん剤治療は病理が2~3週間かかるのでその後で、術後1ヶ月位だそうです。
 

田澤先生から 【回答10】

 こんにちは。田澤です。
 
 「右側が乳腺症」という結果。
 大変良かったです。幸先がいいですね。これで安心して左側の治療(まずは手術)に邁進できますね。

回答

「センチネルリンパ節生検で何かあった場合、リンパ節を1つだけとるのですか?リンパ節をかくせい?全部とるのですか?」
⇒リンパ節を郭清(レベルⅠ程度:但し、術前評価によって郭清範囲は異なる)します。
 正確に言うと「乳癌学会のガイドラインがあります」

  • センチネルリンパ節に転移無⇒郭清省略(それ以上はとらない)
  • センチネルリンパ節に2mm以下の転移有⇒(これも)郭清省略となります。
  • センチネルリンパ節に2mm以上の転移有⇒上記郭清をします。

※2mm以下の転移とはセンチネルリンパ節を(術中、迅速で)顕微鏡で見て、「癌細胞の範囲が2mm以下の小範囲」を言います。
 
 ここで少々、センチネルリンパ節生検のお話しをします(少し勘違いされているようなので)
 センチネルリンパ節生検は、

  1. まず、左乳輪真皮下(腫瘍周囲に行う施設もありますが)に色素を注入します。
  2. 左腋窩小切開すると、(青く染色されたリンパ管に連続する一番表面の)青く染色されたリンパ節が観察されます(このリンパ節をセンチネルリンパ節といいます)
  3. センチネルリンパ節を1個取り出して、(術中に)迅速病理診断へ提出します。
  4. (術中に)病理医から
    ・「転移ありません」もしくは「転移はあるけど2mm以下です」と報告が来たら、
    それ以上のリンパ節はとりません。(結局、センチネルリンパ節を1個は摘出している事に注意してください)
    ・「(2mm以上の)転移あります」と報告が来たら、
    (前述の)リンパ節郭清を行います。

 
「リンパ節が染まるということは、そこにガン細胞があったという事になりますか?」
⇒(上術したように)違います。
センチネルリンパ節は(転移している/していない にかかわらず)染色されるのです。
 
「手術の後に、初期治療をしっかりやれば、大丈夫だよと言われました」
⇒その通りです。
 頑張りましょう。
 
 

 

質問者様から 【質問11】

約1年前に質問させていただき、田澤先生の返答に本当に心が救われ、大きな治療を終えることが出来ました。
現在はハーセプチンとホルモン療法のみになりました。
先日、1年検査があり、採血、胸部レントゲン、健側マンモ、両側エコーをやり、とくに問題なしとの事で1年をむかえました。
そのエコーでの事ですが、手術前に右側にもしこりがあり、
検査した結果乳腺症だったのですが、今回のエコーでは、しこりがありませんでした。
抗ガン剤に反応してなくなったのなら、がんだったのではないか?と主治医に聞いたところ、
抗ガン剤すると、正常乳腺も多少の影響はあるから心配しないでと言われました。
気のせいか痛みもあるように感じてしまいます。
心配はいらないのでしょうか?
お忙しい中申し訳ありません。
よろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答11】

こんにちは。田澤です。
 
166ですね。
大変懐かしいです。
読み返してみましたが、「あの当時は手術待ち期間が短かった」ことに、「僅か1年?」なのに時代の変化を感じます。
 
「そのエコーでの事ですが、手術前に右側にもしこりがあり検査した結果乳腺症だったのですが、今回のエコーでは、しこりがありません」
「抗ガン剤すると、正常乳腺も多少の影響はあるから心配しないで」
⇒これは問題ありません。
 抗がん剤もそうですが、「ホルモン療法」でも「乳腺症などの正常乳腺は影響を受けます」
 全く問題ありません。
 
「気のせいか痛みもあるように感じてしまいます。心配はいらないのでしょうか」
⇒心配いりません。
 残りのハーセプチン頑張りましょう。

 
 

 

質問者様から 【質問12 】

肝臓にできたものについて
性別:女性
年齢:48歳
病名:乳がん
症状:肝臓にできたもの

田澤先生お久しぶりです。

以前こちらで質問させていただき、先生の返信にどれだけ心救われたか分かりません。
今でもこちらのQ&Aを見せていただいています。
管理番号166のものです。

①最初の質問から4年半がたちました。
先日4年半健診(血液検査、エコー)を受けてきまして、結果は問題なしでした。

ホッとしたのもつかのま、別のクリニックで毎年受けている腹部エコーで肝臓に影があると言われました。
元々血管腫があったのですが、それとは別にできたようです。
1年前はなかったので、念の為にMRIを撮ることになりました。
クリニックの先生は急ぐことじゃないからと1か月後の検査予約になったのですが…もし転移が考えられるのだとしたら、もっと早く検査した方がいいのではないかな、今かかっている病院に行った方がいいのかな、と心配です。
また、MRIは造影でなく単純MRIと書いてあって、それでいいのかな?と言うのも気になっています。
転移でないとしたら、血管腫が増える事ってあるのでしょうか?転移だとしたら、まずやるべき事は何ですか?

②ここ2~3週間前から健側の乳房(特に乳頭が)針で刺されたようにチクチク、ツーンと痛みます。
触った感じはしこりはありません。
シャツが擦れたり、うつ伏せになっただけで痛みます。
Q&Aで見ると、ホルモンが不安定と考えていいのでしょうか?乳腺症と言われた事がありますが、その影響ですか?このような痛みは年をかさねても続くものなのでしょうか?ホルモン療法が終われば落ち着いたりするのですか?(あと5~6年は継続となると思いますが…)

③もう少しで、術後5年になり、地域連携医療になり近くのクリニックに紹介になります。
市川のメディカルプラザでは、
そのような事は受けていますか?自分が希望すれば、そちらに紹介状は書いてくれるものなのでしょうか?

③つも質問書いてしまいすみません。

今は、仕事にも就き、病気の事も忘れるくらいに日々元気に家族や友達、仕事仲間とも楽しく過ごしています。
先の将来の事も考えるようになりました。
色々な欲もでてきました。

でも、検査の前後は心揺れますね。
今まで、先生に質問の答えを頂きなが色々決断してきました。
もし悪い結果だったら…
と考える事もありますが、今は最初の頃のようなくよくよした自分ではありません。
田澤先生に本当に感謝です。

長くなりましたが、よろしくお願いいたします。

 

田澤先生から 【回答12】

こんにちは。田澤です。

「MRIは造影でなく単純MRIと書いてあって、それでいいのかな?」
⇒リゾビストもしくはプリモビスト造影としましょう。

「血管腫が増える事ってあるのでしょうか?」
⇒あるでしょう。
 因みに「血管腫は造影CTが有効」ですね。

「転移だとしたら、まずやるべき事は何ですか?」
⇒それは再発治療(抗がん剤)です。

「ホルモンが不安定と考えていいのでしょうか?」
⇒100%その通りです。(他にそんな症状の原因はありません)

「③もう少しで、術後5年になり、地域連携医療になり近くのクリニックに紹介」
「市川のメディカルプラザでは、そのような事は受けていますか?」

⇒当院は対象ではないと思います。(様々な大病院から、そのような手紙が来ていますが、丁重にお断りしています)