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病理組織検査の結果について

[管理番号:3488]
性別:女性
年齢:48歳
乳癌の診断、温存手術とお世話になっております。
先生に診て頂いて、心穏やかに過ごす事が出来て、
大変感謝しております。
昨日、術後の病理組織検査の結果を伺いました。
当初の非浸潤癌から浸潤癌と診断が大きく変わった上、
結果の悪さに動揺しております。
自宅に戻り改めて向き合って見てみると、伺いたいた事がいくつかございました。
次の受診までに1ヵ月程あり、それまでこの精神状態で待てないと思い、この場をお借り致します事、お許し下さい。
先生に正確なご説明を頂く事で、それなりの覚悟も出来るのかな、と思っております。
病理組織学的診断
1. Invasive ductal carcinoma, invasive, left breast.
[Maximum invasive tumor size, 72 mm; Histologic grade, 3; Nuclear grade, 3; Structural atypia score, 3; Nuclear atypia score, 3; Number of mitotic figures, 15/10 HPF; fibrotic focus, -; Fat invasion, +; Tumor necrosis, +;
所見
Tumor infiltrating lymphocyte, +; ly3, v0; Perineural invasion, -; Non-invasive component, + (30%, non-comedo type > comedo type, high grade)]
→Q. 腫瘍の大きさ、リンパ管侵襲 ly3の状態を考えるのであれば、
追加全摘をすべきでしょうか?
2. No metastatic tumor, lymph node (0/5)
[Frozen 1, 0/3; Frozen 2, 0/2]
3. UICC pT3N0M0; Stage IIB.
→Q. いわゆる顔つきの悪いタイプと判断されますか?
組織学的には、A-L列にかけて腫瘍は存在し、浸潤癌成分はA-J列にかけて認められます。
浸潤癌成分の多くはリンパ管腫瘍塞栓よりなり、間質に浸潤する成分は、硬癌の像を呈します。
リンパ管腫瘍塞栓を含めた浸潤癌成分は散在性に乳腺組織内に拡がります。
リンパ管腫瘍塞栓では、核分裂像・アポトーシス像を示す細胞が散見されます。
→Q. リンパ管腫瘍塞栓とは、どの様な状態なのでしょうか?
→Q. 『核分裂像・アポトーシス像を示す細胞が散見』とは、
癌細胞の増殖が早いタイプなのでしょうか?
非浸潤癌成分も比較的豊富に認められます。
乳頭側断端・頭側断端に腫瘍を認めません。
外側断端には圧挫により変性を受けた異型乳管成分を認めますが、組織像の詳細な観察は困難です。
リンパ節転移を認めませんが、リンパ管腫瘍塞栓を多数認めることより、
→Q. リンパ管腫瘍塞栓を多数認める、とはリンパ管に癌成分が浸潤しているのでしょうか?
通常の乳癌とは異なる生物学的性状を有することが強く示唆されます。
→Q. 『通常の乳癌とは異なる生物学的性状』とは、どういった意味なのでしょうか?
→Q. サブタイプ検査中ですが、これらの所見より抗がん剤適用となりますか?
お忙しい所、申し訳無い気持ちでいっぱいです。
しかし、このままあれこれ考えて毎日を過ごす事は、辛いばかりです。
どうか、宜しくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
画像所見として「72mmの浸潤癌」とは乖離がありますが、腫瘤を(画像上)形成しな
いタイプのようです。
御心配される気持ちは十分に伝わりますが…
サブタイプも不明な時点で、術後治療について考え過ぎるのは良くありません。
「→Q. 腫瘍の大きさ、リンパ管侵襲 ly3の状態を考えるのであれば、追加全摘をすべきでしょうか?」
⇒断端陰性なので不要だと思います。
 予定通り、術後放射線照射が適当でしょう。
「→Q. いわゆる顔つきの悪いタイプと判断されますか?」
⇒NG3となります。
 私は必要以上に「顔つきの悪い」タイプなどとは表現しません。
「→Q. リンパ管腫瘍塞栓とは、どの様な状態なのでしょうか?」
⇒乳腺組織内のリンパ管に癌細胞が充満している(顕微鏡)像です。
「→Q. 『核分裂像・アポトーシス像を示す細胞が散見』とは、癌細胞の増殖が早いタイプなのでしょうか?」
⇒その可能性もあります。
「→Q. リンパ管腫瘍塞栓を多数認める、とはリンパ管に癌成分が浸潤しているのでしょうか?」
⇒乳腺組織内のリンパ管に癌細胞が入り込んでいる像です。
 ただし、センチネルリンパ節に転移なしので、「乳腺内に留まっている」と思います。
「→Q. 『通常の乳癌とは異なる生物学的性状』とは、どういった意味なのでしょうか?」
⇒病理医の想像にすぎません。
 考え過ぎない方がいいです。
「→Q. サブタイプ検査中ですが、これらの所見より抗がん剤適用となりますか?」
⇒(お気持ちは解りますが…)サブタイプの結果を待ちましょう。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先日は、お忙しいにもかかわらず、迅速な回答をありがとうございました。
不明な点について、再度質問をさせて下さい。
Q1. 抗がん剤→放射線→ホルモン療法 の順で行うのが、スタンダードのようですが、
今の受診予定ですと、私の場合は放射線よりスタートとなりそうです。
どのようなご判断なのでしょうか?
Q2. 4月末での超音波画像でしこりの大きさが、25mm。
その腫瘍を針生検して非浸潤癌の結果。
6月のMRIで拡がり無し。
8月の術後の病理組織検査で72mmの浸潤癌。
この結果が、どうしても理解出来ておりません。
NG3と言う事が頭から離れず、いろいろ悪い事ばかり考えてしまいます。
なぜ、超音波画像で見えなかったものが浸潤癌なのか。
先生が、考えられる状態を、わかりやすくご解説頂けないでしょうか?
もし、6月の時点で手術をしていたら結果が変わっていたのかも、
と自分を責めてしまいます。
どうぞよろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「Q1. 抗がん剤→放射線→ホルモン療法 の順で行うのが、スタンダードのようですが、今の受診予定ですと、私の場合は放射線よりスタートとなりそうです。」
⇒あくまでも、全く同条件ならそのようにするのが一般的だということです。
 今回のようにサブタイプが判明するのが遅れるとか、(質問者の場合ではないですが)OncotypeDXの結果を待つ間に(待っている時間も勿体ないからという理由で)
「放射線照射が先行する」ことはよくあります。
「なぜ、超音波画像で見えなかったものが浸潤癌なのか。先生が、考えられる状態を、わかりやすくご解説頂けないでしょうか?」
⇒癌というものは(特に小葉癌で顕著ですが)浸潤しているからといってマスを作っているものばかりではないのです。
「もし、6月の時点で手術をしていたら結果が変わっていたのかも」
⇒通常、そんな短期間では変わりません。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

こんにちは。
お世話になっております。
本日、サブタイプの検査結果で受診致しました。
HER2陽性との事で、今後の治療として、TC+HERをご提案頂きまし
た。
この日を待つまでの3週間、何度も何度も病理検査結果をみては内容を
消化し、乳がんプラザを隅々まで読んでは、先生の回答を噛み締めて、
何とか不安要因を払拭しながら、気持ちを安定させて来ました。
自分の状況が腫瘍径や核グレード(NG3)の結果よりステージIIBで、早期
では無いと理解し、抗ガン剤は覚悟しておりました。
そんな精神状態で、TC3か月と聞いた時、ほんの少しホッとした自分が
居ました。
しかし、TCで良いのか、と不安もあります。
先生は、私の病理検査結果から、どのようなご判断で、TCを選択された
のでしょうか?
また、weekly PTX+HERの選択も可能なのでしょうか?
可能な場合、変更の手続きはどのようにしたら宜しいでしょうか?
(一度、受診をした方が良いか…)
毎週通院する事は、可能です。
少しでも副作用を軽減させたい気持ちがあります。
しかし再発転移も阻止したいです。
先生が選択されるベストな方法でしっかり治療していきたいです。
この治療での、再発率、生存率も併せて教えて下さい。
いつもその場では、頭が真っ白になり、何も思いつかず、
結果こちらQ&Aの貴重なひと枠を利用させて頂き申し訳ありませんが、
ご回答の程どうぞ宜しくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「先生は、私の病理検査結果から、どのようなご判断で、TCを選択されたのでしょうか?」
⇒低リスクとして「アンスラ、タキサンは不要」と判断したからです。
「また、weekly PTX+HERの選択も可能なのでしょうか?」
⇒可能です。
 但し、(副作用的に)可能ならばTCの方がいいとは思います。
 やはりweekly PTX単独というのは(高齢者や副作用を避ける)オプションというニュアンスがTCよりは強いのです。
「可能な場合、変更の手続きはどのようにしたら宜しいでしょうか?(一度、受診をした方が良いか…)」
⇒秘書メールで申し込んでもらえば、「修正」します。
①「毎週通院する事は、可能」②「少しでも副作用を軽減させたい」③「先生が選択されるベストな方法でしっかり治療していきたい」
⇒①②ではweekly PTXですが、③では、やはりTCです。
「この治療での、再発率、生存率も併せて教えて下さい。」
⇒抗HER2療法は3年のデータです。
 再発率は11%
 生存率は95%

秘書室へメールは、
各ページの右上にある 「秘書室へメール」からご相談ください。
もしくは、こちらのリンクをクリックしてください。

 
 
 
 

 

質問者様から 【質問4】

お世話になっております。
(上旬)日に放射線治療が終了し、(中旬)日から抗がん剤治療が始まります。
怖い気持ちでいっぱいですが、TC+HERの治療、頑張りたいと思っております。
どうぞ、宜しくお願い致します。
先立ち、以下のワクチンの接種を考えております。
○インフルエンザ
○肺炎球菌
秋から冬にかけて、アレルギー性の気管支炎になり易い為、
肺炎球菌ワクチンの接種もしておきたいと思っております。
そこで、質問なのですが、
①放射線治療が終了してからワクチン接種まで、期間が必要でしょうか?
②肺炎球菌は、13価か23価か、どちらを選択するのが宜しいでしょうか?
電話で問い合わせも考えましたが、ご多忙中、ご都合もおありかと思いましたので、こちらの貴重なひと枠を利用させて頂きました。
大変恐縮ではございますが、ご回答のほど宜しくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
「①放射線治療が終了してからワクチン接種まで、期間が必要でしょうか?」
⇒不要です。
「②肺炎球菌は、13価か23価か、どちらを選択するのが宜しいでしょうか?」
⇒これは私の専門外です。
 乳幼児向けの13価 シニアにも適応追加されています。
 シニア向けの23価
 ○少なくとも13価は(49歳の質問者には)「適応外」となります。
  行う場合には23価だとは思いますが担当医と御相談ください。