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病理診断について

[管理番号:3256]
性別:女性
年齢:42歳
病理診断の見方教えて欲しいです。
scirrhous cacinomaとは硬癌という事ですか?
日本語で白色の硬い腫瘤と書かれていました。
私の癌は予後が悪いのでしょうか?
f+ ly0 v1 margin- LN2/14〔senti1/1 sampling0/4 backup1/9〕NA2
MC1 NG1
ホルモン感受性高め ハーツ陰性 ki 11%
ステージⅡA ルミナルA
と書かれておりました。
f+やv1とは体に癌が回っているという事ですか?怖いです。
腋窩リンパ節郭清しました。
予後悪くなりますか?
今は温存でしたので放射線を当て、リュープリンとタモキシフェン行っています。
硬癌でルミナルAというだけで抗ガン剤はしていませんが、良かったのですか?
この様な病理診断の結果の5年再発率10年再発率はどの位なのでしょうか?
今後は再発を覚悟して生きていった方が良いのでしょうか。
不安で仕方ありません。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
ステージⅡAと記載がある事から「浸潤径≦20mm」であった事が解ります。
「scirrhous cacinomaとは硬癌という事ですか?」
⇒その通りです。
 
「私の癌は予後が悪いのでしょうか?」
⇒硬癌を悪者にするのは止めましょう。
 全く「普通の」乳癌です。
 乳癌の7割を占める「通常型」である「浸潤性乳管癌」を(3つに分類した)「ひとつ」にすぎません。
 
「f+やv1とは体に癌が回っているという事ですか?」
⇒違います。
 「f」は「深達度」と言って、乳癌が「周りの脂肪層に浸潤」しているという意味
ですが、それは「最も一般的な状態」です。
 「v1」とは「血管侵襲」ですが、「1~3まで」あり「1は大した所見ではない」です。
 
「腋窩リンパ節郭清しました。予後悪くなりますか?」
⇒「リンパ節転移は予後因子のひとつ」にすぎません。
 「2個」は大したことではありません。
 
「硬癌でルミナルAというだけで抗ガン剤はしていませんが、良かったのですか?」
⇒当然です。
 「luminalAでは抗ガン剤が無効」であることは明らかです。
 
「この様な病理診断の結果の5年再発率10年再発率はどの位なのでしょうか?」
⇒5年再発率は解りませんが…
 10年再発率は「15%」です。
 
「今後は再発を覚悟して生きていった方が良いのでしょうか。」
⇒85%は再発しないのですよ?
 そんな「覚悟は不要」です。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先日はありがとうございました。
硬癌を怖がらなくてよいと聞いて安心致しました。
リンパ節転移もあまり気にしなくて良いとお伺いしホッとしておりますがもう少しだけ教えて欲しいです。
硬癌ではありますが温存が出来るという事で全摘はしていません。
良かったのでしょうか?
今の治療法としてタモキシフェンとリュープリンをしています。
同じステージの方でタモキシフェンのみと言う方がいます。
リンパ節転移有なのでタモキシフェン単剤ではなく、リュープリンも行うのでしょうか?
もしステージⅡAでリンパ節転移なしであればタモキシフェン単剤だったのでしょうか。
リュープリンはAC3ヶ月と同じ効果があると聞いたことがあります。
私の場合は抗ガン剤をする価値があるということでしょうか?
今後は5年リュープリンを行うと言われましたが2年や3年で終わらせると再発率は上がりますか。
背骨や肩甲骨辺り両肩が痛みますがこれはリュープリンの副作用でしょうか。
後よく聞く骨シンチとかPETというのはいつするべきものなのでしょうか?
手術前にMRIとCTは行いましたがそれ以外はしてないような気がします。
無知ですみません。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「硬癌ではありますが温存が出来るという事で全摘はしていません。良かったのでしょうか?」
⇒勿論です。
 組織型と術式は無関係です。
 「硬癌を悪者にする」のは、もう止めましょう。
 
「リンパ節転移有なのでタモキシフェン単剤ではなく、リュープリンも行うのでしょうか?もしステージⅡAでリンパ節転移なしであればタモキシフェン単剤だったのでしょうか。」
⇒ASCO 2016では、(年齢とは無関係に) 2期以上は「LH-RHagonistも併用を考慮すべき」としています。
 その意味では質問者の感覚は正しいと言えます。
 
「私の場合は抗ガン剤をする価値があるということでしょうか?」
⇒前回も回答した筈ですが…
 ルミナールAでは「抗がん剤は無効」なのです。
 
「今後は5年リュープリンを行うと言われましたが2年や3年で終わらせると再発率は上がりますか。」
⇒「LH-RHagonistの至適投与期間」は全く定まっていません。
 ただ、ホルモン療法は全般的に「長期投与」へ向っており、「タモキシフェンが5年より10年」という結果を受けて(かつては2年~3年と言われていた)
「LH-RHagonistも5年と言われるようになっている」だけです。
 「至適投与期間が定まっていない=投与期間による差は不明」ということです。
 
「背骨や肩甲骨辺り両肩が痛みますがこれはリュープリンの副作用でしょうか。」
⇒正にその通りです。
 典型的な「副作用」です。
 
「よく聞く骨シンチとかPETというのはいつするべきものなのでしょうか?」
⇒不要です。
 全く無駄な検査です。 無駄どことか有害なのです(医療被曝は無視できません)
 
「手術前にMRIとCTは行いましたがそれ以外はしてないような気がします。」
⇒CTさえも無駄です。
 検査はやればやるだけいいなんて事はありません。
 ○MRIは「拡がり診断」として「術式決定に重要」なので(術前には)当然やるべきですが、それ以外の『CT, 骨シンチ、 PETは(術前にしろ術後にしろ)無駄極まりない』検査です。