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病理検査、予後

[管理番号:3501]
性別:女性
年齢:28歳
こんにちは。
針生検、手術後の病理検査について質問があります。
以前他の方の回答で
免疫染色に関しては「針生検の標本の方が正しい」と言えます。
「ER, PgR, HER2は(病変の)どこをみても同じ」です。
手術標本で再度「ER, PgR,
HER2を再評価」しているから問題が起こるのです。
手術標本でありがちなのは「標本の(ホルマリン)固定不足」です。
「ER, PgR, HER2の評価で信ずるべきは「術前針生検の標本」なのです。
というコメントがありました。
私はホルモン陰性、Her2
陰性とトリプルネガティブの診断を受けています。
術後の病理検査結果はホルモン、Her2の検査はしていませんでした。
先生に質問したところ手術標本が正しいという人もいるが私は手術標本よりホルモン、Her2に関しては針生検のほうが正確と思っている。
再発、転移、原発巣がとても大きい場合は違うサブタイプのものが混在してることもあるが私の場合初発であまり大きくない(28×20×20mm)ので大丈夫とのことでした。
先生の話に納得し、信頼しているのですがやはり多くの患者さんが手術標本でも調べてるので少し不安が残っています。
不安を取り除くためにダメもとでもう一度調べたほうがいいのか…もし少しで
もホルモン陽性ならと…トリプルネガティブじゃなければと思ってしまう自分がまだいるのだと思います。
針生検で陰性と出たものはまず術後陽性になることはないのでしょうか?
他の病院の知り合いで手術先行でホルモンが陽性→陰性になった人はいました。
症例にもよると思いますが多くの患者さんが手術後も無駄な検査を受けているということですか?
田澤先生も私の症例の場合は手術標本は調べませんか?
また転移なとで他のサブタイプのものが発見されたときは初発のサブタイプが混在しており検討が不十分だったということですか?
田澤先生はいつもトリプルネガティブを怖がる必要はないと書かれていてとても元気が出ます!
私は手術(左全摘)→抗がん剤(EC4回、タキソテール4回)でもうそろそろ治療終わります。
針生検(バコラ生検)
グレード3(NA3 MC3)
ER:腫瘍細胞核に染色性認めません、よって陰性
PGR:腫瘍細胞核にほとんど染色性みとめません、
よって陰性(%記載なし)
Her2: IHC→スコア判定
1+ 過剰発現なし
FISH→シグナル比1.5
Her2増殖なし
ki-67 80%
手術後
大きさ 28×20×20mm
組織型 Invasive ductal
carcinoma
Papillotubular carcinoma
核所見 NA2 MC3 グ
レード3
浸潤範囲 ly(?) v(?)
リンパ節転移なし
腫瘍全体の占拠範囲は28×20×20mmですが乳管内病変と間質浸潤部が複雑に混在しており浸潤部の最大の拡がりは計測困難→これはもっと実際は大きく癌ができているということですか?
NewAdjuvant.comで調べていただくことできますか?
家族や親戚には遺伝性リスクが高い癌発症歴の人はいませんが若年性、トリプルネガティブだと遺伝性も心配です。
でも私はまだ子供いなく私自身一人っ子なので定期的に乳房の検査と卵巣がんも超音波など子宮頸癌検査と共にしてもらい今のところ受けるつもりはありません。
もし遺伝性乳癌だと生存率、再発率の値は変わってきますか?
2~3年の再発が多いみたいなのですが将来できれば子供がほしいです。
何年たてば考えてもいいのでしょうか?
絶対大丈夫ということはないとわかっているのですが…
お忙しいところ申し訳ございませんがよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「針生検で陰性と出たものはまず術後陽性になることはないのでしょうか?」
⇒殆どありません。
 「殆ど」というと、もしかして「1%でもあるのであれば、やってほしい」と質問者は考えるかもしれません。
 ただ、その理論でいくと…
 1人のために「99人に無駄な検査をする」ことになります。
 果たして、それが正しい事なのか?
「多くの患者さんが手術後も無駄な検査を受けているということですか?」
⇒その通りです。
 「念のため」という言葉のもとで「医療経済が圧迫されている」ことは真剣に考えるべきです。(CTやPETなども全く同様です)
「田澤先生も私の症例の場合は手術標本は調べませんか?」
⇒調べません。
「転移なとで他のサブタイプのものが発見」
⇒転移に関しては、「性格が変わる(術後療法により感受性の低い者だけが淘汰される。もしくは長い期間の中で新たな遺伝子変異が生じる)」ことは十分にあり得ることです。
「腫瘍全体の占拠範囲は28×20×20mmですが乳管内病変と間質浸潤部が複雑に混在しており浸潤部の最大の拡がりは計測困難→これはもっと実際は大きく癌ができているということですか?」
⇒これは質問者の勘違いです。
 むしろ「浸潤部+非浸潤部を併せて28mm」となります。
 浸潤癌が28mm以下であることは間違いなく、浸潤部分が「かなり小さい可能性」も含まれます。
「NewAdjuvant.comで調べていただくことできますか?」
⇒再発率 19%
10年生存率 87%
「もし遺伝性乳癌だと生存率、再発率の値は変わってきますか?」
⇒予後が異なる可能性はありますが…
 とても数値にできるデータはないのです。(症例数が極端に少ないから)
「何年たてば考えてもいいのでしょうか?」
⇒抗ガン剤治療終了後、半年位でいいと思います。