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病理結果について

[管理番号:4951]
性別:女性
年齢:39歳
こんにちは。
初めて質問させて頂きます。
3月末に自分でしこりに気づき、地元の医院にかかり癌疑いと診断され、大きな病院の専門医を紹介して頂き5/15左全摘手術、センチネル生検、腋窩リンパ節郭清術を受けました。
先日病理出た病理結果についてご質問させて頂ければと思います。
浸潤癌 ステージ2b
癌の大きさ4.3cm がんの広がり4.3cm
リンパ節転移1/16(センチネルが1個陽性のためレベル1を郭清した
が、他はなし)
異形度グレード2
ly1.v0
ER+95%
PgR+60%
HER2 2+(DISH法にて陽性)
MIB-1 36%
治療法として
EC4回ドセタキセル4回
ハーセプチン
放射線療法(鎖骨上、胸壁)
ホルモン療法(ノルバデックス、フェアストン)+(ゾラデックス リュープリン)
を提示されております。
以下質問です。
①医師の説明では、(異形度2を指し)HER2陽性の割にはそこまでタチは悪くないが、MIB-1が36%ということで非常に勢いの強い癌とのことでした。
この医師の「非常に勢いが強い」という言葉に、大変動揺しております。
また、年齢が若いというだけで再発率が上がる、との説明も受け、更に不安を感じています。
MIB-1 の36%という数値と、39歳という年齢はやはり再発率にかなり影響するのでしょうか。
また、私のケースで上記治療を全てした場合の、5年、10年生存率をお伺いできればと存じます。
②一番初めの受診時(3/20 地元の医院)にはマンモとエコーで1.5cmのしこりとの説明だったのですが、検査が進むにつれ2.8cm(3/22 紹介先医院のマンモとエコー)→3.3cm(4/11 MRI)と少しずつ大きくなり、結局術後には4.3cm(顕微鏡での測定)との結果でした。
乳がんは大きくなるのに時間がかかると聞きますが、私の場合はやはり勢いの強いタイプだから、急激に大きくなっていったという事でしょうか?検査ごとの大きさの変化と、最終的な4.3cmという大きさに動揺しています。
③私の担当医や看護師さんは乳がんの予後は、ステージよりも病理結果を重視すべき、との考えのようです。
私自身は、大きさ的にギリギリではあるが2期に入るという事で、完治の希望を持ち今後の治療に臨みたいのですが、間違いなのでしょうか?
大きな病院なので主治医はいつもとても忙しそうで、説明は毎回事務的と感じられるもののみであり、精神的に追い込まれるばかりで困っています。
他の質問者様と内容が重なる部分もあるかと存じますが、ご回答をお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT2, pN1, luminalB(HER2陽性)
HER2陽性だから(当然)抗HER2療法は必須
ただし、質問者のようなlow riskには「非アンスラサイクリンレジメン」とします。
(TC+HERなど)
「①医師の説明では、(異形度2を指し)HER2陽性の割にはそこまでタチは悪くないが、MIB-1が36%ということで非常に勢いの強い癌とのことでした。」
⇒その解釈には???
 「MIB-1=36%」はそれ程の高値ではありません。(HER2陽性タイプのほぼ平均値だと思います。)
「この医師の「非常に勢いが強い」」「年齢が若いというだけで再発率が上がる」
⇒全く根拠がない
「MIB-1 の36%という数値と、39歳という年齢はやはり再発率にかなり影響するのでしょうか。」
⇒上記通りです。
 全く無意味…
「また、私のケースで上記治療を全てした場合の、5年、10年生存率をお伺いできればと存じます。」
⇒このQandAを良く見れば解るのですが、
 私が用いているNewAdjuvant.comでは「HER2陽性では3年」のデータしかありません。
 それは「抗HER2療法が術後補助療法として一般化されて日が浅い(日本では2008年2月に承認)」ので、(当然ながら)長期予後データは存在しないからです。
 3年生存率 96%
 3年再発率  8%
「②一番初めの受診時(3/20 地元の医院)にはマンモとエコーで1.5cmのしこりとの説明だったのですが、検査が進むにつれ2.8cm(3/22 紹介先医院のマンモとエコー)→3.3cm(4/11 MRI)と少しずつ大きくなり、結局術後には4.3cm(顕微鏡での測定)との結果」
⇒冷静になり、論理的に考えましょう。
 まず「一番初めの受診時(3/20 地元の医院)にはマンモとエコーで1.5cmのしこりとの説明だったのですが、検査が進むにつれ2.8cm(3/22 紹介先医院のマンモとエコー)」
 ⇒これが「エコーを評価する人の違い」であることは間違いありません。(幾らなんでも2日間で大きくなるとは思っていませんよね??)
 「2.8cm(3/22 紹介先医院のマンモとエコー)→3.3cm(4/11 MRI)と少しずつ大きくなり、結局術後には4.3cm(顕微鏡での測定)との結果」
⇒これは「MRIはUSでは不明な拡がりを見つけるための検査」だから、(USより大きいのは)「寧ろ当然」ですし、そのMRIでも「顕微鏡レベルのものは見えない」(だから手術ではマージンが必要となるのです)
「私の場合はやはり勢いの強いタイプだから、急激に大きくなっていったという事でしょうか?検査ごとの大きさの変化と、最終的な4.3cmという大きさに動揺しています。」
⇒そもそも「Ki67=36%」を「勢いの有るタイプ」と称する担当医の見識に問題があるのです。(全く無駄な心配です)
「私の担当医や看護師さんは乳がんの予後は、ステージよりも病理結果を重視すべき、との考え」
⇒KI67=36%で「勢いの有る」などといっている程度では…
 「サブタイプに応じた治療をすれば」予後はステージ通りなのです。
 サブタイプは(予後を予測するためではなく)治療方針を決めるためのものなのです。(明確に区別しましょう)
「2期に入るという事で、完治の希望を持ち今後の治療に臨みたいのですが、間違いなのでしょうか?」
⇒完治する確率が圧倒的に高いのは言うまでも有りません。(担当医の経験では解らないのかもしれませんが…)