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分泌物が出ていないのに乳がん?

[管理番号:703]
性別:女性
年齢:51歳
初めて質問させていただきます。よろしくお願い致します。
自分でシコリを見つけて、マンモ、エコー、針で吸い出す検査(細胞診っていうんでしようか)、それと、乳房MRIをすべて受けました。
結果、乳がんと言われすごくショックで泣き崩れました。
一年八ヶ月前の検診では異常なしだったのに、そんな突然?と驚いています。
分泌物が必ず出ると思っていたのですが、違うのでしょうか?つまんでも、絞っても、マンモで挟んでも、全く液は出てこなかったので、勝手に良性だと思っていました。分泌物が出てなくても乳がんということはあるのでしょうか?
二年に一回の検診と国では薦めているのに、これでは何のための検診?と信じられない気分です。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 癌との診断、お気持ちお察しします。
○ただ、「乳癌が分泌を伴う」は『大変な誤解』です。

回答

「一年八ヶ月前の検診では異常なしだったのに、そんな突然?」
⇒「質問者の腫瘍の大きさ」がどの位なのか解りませんが…
 検診は癌を予防できる訳ではありません。早期発見のためです。
 「検診と検診の間(質問者の場合は2年間)」に見つかる乳癌は「中間期乳癌」と呼ばれます。
 検診を毎年受けている方でも、2年毎に受けているからでも「乳癌は発生する」わけですから、「検診に意味が無い」訳ではありません。
 一般に 腫瘍の大きさは 毎年検診の中間期乳癌 < 2年毎検診の中間期乳癌 < 検診したことが無い人の乳癌  となる訳です。
 
「分泌物が必ず出ると思っていたのですが、違うのでしょうか?」
⇒これは完全な誤解です。
 完全なデータは存在しませんが、私の感覚では「乳癌で分泌を伴う」のは10%以下だと思います。
 
「二年に一回の検診と国では薦めているのに、これでは何のための検診?と信じられない気分です。」
⇒国の予算の関係でそのようになっています。
 ただ、実際に「検診事業を行う」自治体では「毎年行っている」ところが多い筈ですが、質問者の地域では「毎年できない」のでしょうか?
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先生からこんなに早くご回答をいただき、本当に感謝しています。
それなのに、先生のご質問の回答がこんなに遅くなってしまい、申し訳ありません。
必ず乳がんは分泌液が出るものだと思っておりましたので、驚きました。
この前はショックが大きすぎて、色々な情報を何もお伝え出来ておりませんでした。
そもそもは、このがんは検診で分かったものではなく、今年の5月の末に自分で気づきました。
手で触ると、何か小さいしこりのようなものを感じたので、乳がん検診をしている個人病院で診ていただました。
エコーでは、「前回映ってなかったものが確かにあるので、マンモを撮りましょう」とドクターがおっしゃいました。
この前回というのは、2013年の9月です。その時は「異常なし」でした。
それで、マンモの結果は、「別に悪性のような感じはしませんね。」とおっしゃったので、安心したのですが、「一応、大きな病院で診てもらった方が安心だから紹介状を書きます。」ということになったのです。私の心配性の性格を分かっておっしゃった感じでした。
なので、私もわりと軽い気持ちで大きな病院に行きました。
この病院には別のしこりで2008年の1月に乳腺繊維線種と診断されています。
そして、今回のしこりの場所がこの乳腺繊維線種と間違うほどに同じような場所だったので、ドクターもこれだと思ってエコーされていたのですが、「あれ、昔のと違う場所みたいです。騙されるところだった。」とおっしゃいました。
何故こうおっしゃったかというと、この今回のしこりは、個人病院でも、この大きな病院でもマンモには全く映っていなかったからです。
診察の最初に「どこですか?」と場所を尋ねられたぐらいです。それで、「これです。」とお教えしましたら、「これによく気づいた!乳腺の医者でも見逃すようなしこりだ。」と褒めていただきました。大きさは1.5cmぐらいのようです。胸の乳輪の少し上部で、確かに家族が触ってもあまり分からない感じです。
すごく慎重にエコーされていました。それから、針で吸い出すのを二箇所していただきました。以前の乳腺繊維線種の場所もということです。これは以前よりかなり小さくなっているとおっしゃっていました。
何日か後に乳房MRIを撮りました。
それで、検査の結果は「悪いものです。」ということになりました。
前の個人病院で「大丈夫」と聞いていたので、ショックが大きすぎました。
個人病院と大きな病院のどちらもマンモには映っていなかったのに、細胞の結果が悪いということでご判断されたようですが、こんな映らないのなら、マンモの意味があるのか疑問です。
たまたま、自分で気づいたから発見できましたが、気づかなかったら、「異常なし」で喜んでいてもっと進行していたのではと思うとぞっとします。
先生のお話では、このしこりはしっかりとしたしこりではなく、モワモワと映っていて、ばらけているのだそうです。それでしっかり映らないそうなのですが・・・。
ご質問のマンモは2年に1回の件ですが、市では2年に1回を薦めています。市から来る用紙は、1方向からだけの撮影ですので、私は不安でその用紙は使わず、自費で2方向のを受けています。
それと、乳房MRIではリンパとか、他に転移があるかどうかというのは、わからないのでしょうか?他にも転移していたらと思うと不安で仕方ありません。
まだ、手術してみないとハッキリしないそうですが、非浸潤がんのステージ0か、ステージ1ぐらいではないかとおっしゃっていましたが、それもはっきりとはしないようですし、すごく不安です。
長文になってしまい、精神的にまいってしまっておりまして、まとまりのない文面になっており、申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 今回のメールで随分いろいろ解りました。
 これは皆さんが大きく誤解している点であり、質問者のいうように「マンモで写っていないから、このしこりは大丈夫」というような誤診も巷では「悲劇のもと」となっています。
 私が強調したいのは、「マンモグラフィーで写らない癌」はいくらでもあると言う事です。
 それでは何故「マンモグラフィーをやるのか?」当然の疑問です。
 それに対する回答は
①大きな病変を見逃さない
②超音波では「実際に施行する人による差が大きすぎて」見逃しが大きくなりすぎる。逆に「どうでもいい所見を沢山拾ってしまう」
 以上①②により、現時点でバランスのとれた検診は「マンモグラフィー」なのです。
 ここで忘れてはいけないのは「マンモグラフィーで写らない乳癌は沢山ある」という事実です。
★本当に「早期発見を望む」のであれば、『精度の高い超音波をする乳腺外科医のもとで診療をすること』です。

回答

「こんな映らないのなら、マンモの意味があるのか疑問です」
⇒(冒頭に記載したように)
 マンモは検診の場では「大きな病変を見逃さない」ためにあります。(70歳以上で乳腺全体が委縮すれば、1cm以下の腫瘍でも十分に描出できるようになりますが…)
 あともう一つの意義は「石灰化」です。石灰化に関しては「マンモが唯一無二の存在」です。
 
 ○「マンモで写らないから悪性では無いと思うよ」などという乳腺外科医はいない筈です。(マンモで写らない乳癌が如何に多いかは乳腺外科医にとっては常識なのです)
 ♯今回も、そのように判断したのは最初のドクター(乳腺外科医では無いですよね?)
 
『気づかなかったら、「異常なし」で喜んでいてもっと進行していたのではと思うとぞっとします』
⇒これは非常に重要な点です。
 時々目にしますが…
 「しこりを自覚して」検診を受けた⇒マンモで異常無とでたので「大丈夫と思い放置」⇒半年後、進行して診断
 ★このような誤解を無くさなければ同様の悲劇は繰り返されるのです。
  我々乳腺外科医が誤解を解かなくてはなりません。
 
「乳房MRIではリンパとか、他に転移があるかどうかというのは、わからないのでしょうか?」
⇒リンパ節転移にかんしては「MRIではなく、超音波で判断」します。
 超音波で診てもらってはいないのでしょうか?
 因みにMRIは「乳腺内の拡がり」目的で行うべきです。
 
「手術してみないとハッキリしないそうですが、非浸潤がんのステージ0か、ステージ1ぐらいではないかとおっしゃっていましたが」
⇒術前に針生検をしないのでしょうか?
 「針で吸い出す検査」とはおそらく「細胞診」です。
○細胞診で確定診断とするのはリスクを伴う事です(誤診がありえます)
 今の時代「術前、針生検で確認」が常識です。
 針生検を行えば(組織診なので)非浸潤癌なのか浸潤癌なのかある程度(術前に)わかります。
 ♯リンパ節にかんしては、結局「センチネルリンパ節の術中迅速病理診断」が必要です。
 
 

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