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HER2陽性乳癌の術後治療 非アンスラサイクリン系

[管理番号:902]
性別:女性
年齢:46歳
 
 

質問者様の別の質問

質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。
質問者様の別の質問は下記をクリックしてください。
管理番号:863「抗がん剤について」

 
 
先日は早々のご回答ありがとうございました
また、いくつか質問させて下さい
先生も進めるとしたらTCH療法でしょうか?
再発率20%が10%とお考えになりますか?
ハーセプチンの心機能毒性は可逆性とありましたがハーセプチン以外についてはどうなのでしょうか?
可逆性とは投与を止めれば回復するものと考えて良いのですよね?
リンパ転移を微少と考えた場合、再発率20%もないものなのでしょうか?
抗がん剤の副作用で爪の変形変色なども元に戻るのですか?
先生は高濃度ビタミンC、免疫療法、食事療法などをどのようにお考えかお聞かせ頂けますと幸いです
お忙しいところ度々恐縮ですがご回答のほど宜しくお願いします
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 pT1a(5mm), pN1mi(0.7mm), HER2 typeですね。
 前回の回答で「ハーセプチンを含む化学療法を考慮する」という状況とコメントしました。

回答

「先生も進めるとしたらTCH療法でしょうか?」
⇒私ならTC(ドセタキセル+エンドキサン)+HER(ハーセプチン)を勧めます。
 HER2陽性乳癌治療レジメンで「非アンスラサイクリン」には、今のところ「厳密な使い分け」はありません。
 TCH(ドセタキセル+カルボプラチン+ハーセプチン)も当然いいレジメンだとは思いますが、
 江戸川病院では(HER2陰性での抗がん剤投与である)TCの流れから『TC(ドセタキセル+エンドキサン)+HER(ハーセプチン)』を使っています。
 
 ○他には「weekly PTX + HER」という選択肢もあります。
 質問者の場合には「低リスク」なので、どれでも大丈夫だと思います。
 
「再発率20%が10%とお考えになりますか?」
⇒そもそも「20%も無い」と思います。
 
「リンパ転移を微少と考えた場合、再発率20%もないものなのでしょうか?」
⇒そう思います。
 そもそも「浸潤径5mm」の予後はデータとして(大規模なものは)存在しないでしょう。
 それくらい「低リスク」なのです。
 
「ハーセプチンの心機能毒性は可逆性とありましたがハーセプチン以外についてはどうなのでしょうか?」
⇒アンスラサイクリンは「非可逆性」です。
 だから、「最大投与可能量が定められている」のです。
 ファルモルビシンなら800-900mg/m2です。
 それ以上となると「心毒性のリスクが急速に高く」なり、「非可逆的な」心不全となるのです。
 ○その他の「抗がん剤」には、それ程の心毒性はありません。
 
「可逆性とは投与を止めれば回復するものと考えて良いのですよね?」
⇒その通りです。
 必ず回復します。(ハーセプチン投与は基本的に中止としますが)
 
「抗がん剤の副作用で爪の変形変色なども元に戻るのですか?」
⇒戻ります。
 
「高濃度ビタミンC、免疫療法、食事療法などをどのようにお考えかお聞かせ頂けますと幸いです」
⇒それらの効果は「証明されたものでは無い」と考えます。
 「特に免疫療法」などは「基本的考え方は素晴らしい」とは思いますが、「実用の域には無い」と判断しています。