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悪性葉状腫瘍と診断されました

[管理番号:1897]
性別:女性
年齢:58才
先月、長径5㎝ほどの乳腺腫瘍を摘出しました。当初は良性の線維腺腫であろうとの話でしたが、病理検査の結果悪性葉状腫瘍と診断されました。
とても厳しい病気ですが、必ず克服するつもりでおります。
主治医の説明では、手術は滞りなく行われ断端陰性の判定も出ているので取り敢えずの心配はなく、1年後に肺や骨を含む全身の検査を行うので、それまでは静観しようとのことでした。
その後素人なりに色々と調べていく上で、非常に気になることが出てきましたので、是非とも先生のご意見をお聞かせ頂きたくメールを差し上げます。
 
※術前は良性疾患であろうとの評価でしたので、充分な切除マージンが確保されているのだろうかと不安です。追加手術という選択肢もあるかと思います。
因みに術後も乳房の形は全く変わっておりませんでした。
※局所再発は2~3年以内に起こることが多いと聞きますが、このような検査計画でよいものでしょうか。
全身検査で遠隔転移が見つかったとしても、治療法がない以上、既に手遅れだと思うのですが。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「(良性の線維腺腫であろうという)術前診断は画像診断だけですか?」
針生検していませんか?
まず問題なのは「58歳という年齢で5cmの腫瘍」という時点で「通常の線維腺腫と判断」している点です。
非常に心配です。
質問者を全く脅かすつもりはありませんが、「ターニングポイント」となるかもしれません。
「断端陰性の判定も出ているので取り敢えずの心配はなく、1年後に肺や骨を含む全身の検査を行うので、それまでは静観」
⇒間違いではないかもしれませんが…
 担当医が、「事の重大さ」をきちんと「理解しているか」心配になります。
 
「術前は良性疾患であろうとの評価でしたので、充分な切除マージンが確保されているのだろうかと不安」
⇒その通りです。
 ここが最大の問題です。
 
 悪性葉状腫瘍は「局所の根絶」を「最大、かつ唯一の目標」とします。
 その意味では「乳癌とは比較にならない程」手術の重要性が高いのです。
 万が一「再発」したら…と考えれば「全摘さえ、辞さない(必ずしも勧めている訳ではありませんが)」という覚悟が有ってしかるべきです。
 
「局所再発は2~3年以内に起こることが多いと聞きますが、このような検査計画でよいものでしょうか」
⇒「局所の観察」が足りません。
 万が一「再発」したら「今度こそ、全摘」しないと手遅れになります。
○私個人の感想としては、
 「追加切除」は検討されるべきと思います。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

その後の面談にて、執刀医に詳しい説明を受けてきました。
「針生検の段階では特に異常が認められなかったため、マージンは2ミリ程度しかつけていません。
自分は過去に数例の悪性葉状腫瘍を手術してきました。
初診の段階で既に手遅れだった1名は遠隔転移して予後不良でしたが、他の方にはあなたと同程度の手術を行い、いまだに全員元気にしておられるので心配ありませんよ。
不安ならセカンドオピニオンを利用してみられては…」
との話でした。
今ひとつ安心しきれないのでセカンドオピニオンを受けてみようと考えていますが、先生はどのようにお考えでしょうか。
アドバイスを頂けれは有難く思います。
なお、検査スケジュールに関して
は、こちらが申し出た3ヶ月おきのチェックを快く了承して頂けました。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
私には「全く賛成できません」
其の医師が経験した「悪性葉状腫瘍」なるものが「病理学的に、本当に悪性葉状腫瘍だったのか?」あやしいものですが、少なくとも「当事者」として「多分、大丈夫ですよ」というスタンスでいてはいけません。
「悪性葉状腫瘍」ほど、「局所にこだわるべき」乳腺疾患は他にはありません。
○(万が一の再発は)当事者にとっては(天地を揺るがす様な)「重大問題」であっても、その担当医にとっては「あれっ、今回は再発しちゃったか。今まで大丈夫だったのに」で終わる話なのです。
○10年後に振り返ってみて「再手術しておいて良かった」と振り返られることこそが目標なのです。