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悪性葉状腫瘍の手術と治療について

[管理番号:933]
性別:女性
年齢:21歳
はじめまして、最近、左胸に悪性葉状腫瘍があることが判明した、21歳女性です。
すでに検査のために腫瘍は摘出されており、来月に全身麻酔で乳房温存手術とセンチネルリンパ節生検を予定してます。
手術後は、放射線照射の治療を約5週間する予定です。。
ただ、お医者さんに放射線治療の効果はあまりないけど、一応念のため、と言われました。
放射線治療にすこし不安を抱いております。
放射線治療はそれでもしておくべきなのでしょうか?
よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 21歳の年齢で「悪性葉状腫瘍」との診断。お気持ちお察しします。
 「悪性葉状腫瘍」は(乳癌と比較すると)『非常に少数』なので、治療法も定まっていません。
 なので、以下に記載する治療法は「あくまでも、私個人の経験から実践している方法」であることを明記しておきます。
 
 「悪性葉状腫瘍の治療法」にかんしては「ガイドライン」は存在せず、「いろいろな文献と各医師の個人的経験」を基に施設で判断しているのが現状です。
 なので、「質問者が提示されている治療法」は私にとっては「??」ではありますが、「どちらが正しい」というものではありません。
 重ねて、ご了承ください。

回答

「全身麻酔で乳房温存手術とセンチネルリンパ節生検を予定」
⇒「温存手術」とするからには「十分なマージンが確保できるとの判断」でしょう。
 ただし、「悪性葉状腫瘍」は「癌以上」に「局所の根治性が鍵」となるので、「整容性>局所の根治性」という意識が最も重要です。
 しかも、「乳癌の温存手術」の場合は「術後放射線照射の効果を期待」しての話に対し、「葉状腫瘍に術後放射線照射の効果の期待はできません」
 ♯もちろん、「温存手術を否定」している訳ではありません。それだけ慎重になるべきだという話です。
⇒「センチネルリンパ節生検」は私なら行いません。
 「悪性葉状腫瘍」で「リンパ節転移する頻度は非常に低い」ことは明記できます。
 「画像上、どうしてもリンパ節転移が否定できない」という所見ならば「行っても良い」とは思いますが…
 「画像上、リンパ節転移の所見も無い」のに、「悪性だから、調べておいた方がいい」的な安易な発想で行うべきではないと思います。
 ♯私の考えでは(例えセンチネルリンパ節生検といえども)腋窩は「腕のリンパ管にとって、とても重要な部位」なので(癌でもないのに)安易に手を付ける部位では無いという立場です。
 
「放射線照射の治療を約5週間する予定」
⇒これも私なら行いません。
 悪性葉状腫瘍で「放射線が効く」というエビデンスはありません。
 やはり、「悪性葉状腫瘍の局所療法は手術が唯一無二の手段」という考え方が正しいと思います。
 
「放射線治療はそれでもしておくべきなのでしょうか?」
⇒私なら行いません。
 放射線照射については否定的な意見の方が多いと思いますが…(担当医ともう少し話し合うべきですね)