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悪性葉状腫瘍について

[管理番号:247]
性別:女性
年齢:43歳
 
左胸にしこりを発見し、乳腺科を受診しましたマンモと針での(注射器みたいなもの)で検査した結果、良性の腫瘍と言う事で、局部麻酔で摘出しました。2cmの腫瘍でした。
細胞検査の結果「悪性葉状腫瘍」との診断でした。
ネットで調べたところ、大変な稀な病気であることがわかりましたが、今度は入院して手術をしなければいけません・・・
最近左胸の下の骨が痛み心配です。
 

田澤先生からの回答

 こんばんは。田澤です。
 「細胞診で良性」で摘出してみたら「悪性葉状腫瘍」
 心配される気持ちは大いに解ります。
 それでは回答します。

回答

「最近左胸の下の骨が痛み心配」
⇒「悪性葉状腫瘍による骨転移」では無いと思います。
 確かに「悪性葉状腫瘍」の遠隔転移部位としては 肺>骨>肝ですが、今回は腫瘍径「2cm」と小さいし「初発」です。
 転移の可能性は低いと思います。
 

注意すべき点

 とにかく「十分余裕のあるマージン」で「完全切除」にこだわってください。妥協は許されません。
 腫瘍を完全に切除すると言う意味では「乳癌以上に」慎重にならなくてはいけません。
 
★葉状腫瘍は「完璧な局所制御」こそが「治療の全て」なのです。
※葉状腫瘍についてはトップページの「葉状腫瘍」をご覧ください。(すでにご覧になっているかもしれませんが)
 
 

 

質問者様から 【質問2】

さっそくのご回答有難うございます。ネットで調べてみると色々あまり良くないものばかりでとっても心配でした。有難うございます本当に感謝!感謝!です
細胞検査の一部ですが説明していただけばありがたいです。
20mm*20mm*15mm大の組織片です。
■間質細胞は一部やや密になり軽度の異型を認めます。
核分裂像も散在性に認められ、一部では400倍視野に7~8個みられます。
間質のcellularityやatypiaはboderlineの所見ですがmitotic activityはmalignantの範疇に入っています。■
 

田澤先生から 【回答2】

 「組織レポート」拝見しました。
 大丈夫です。
 「葉状腫瘍の悪性度の評価は病理医により、バラつきがありますが」悪性葉状腫瘍としても「borderline寄り」であることは間違いありません。
 ここで「きっちりとした」手術をすれば、(乳癌とは逆に異なり)「根治する確率」が非常に高くなります。
 信頼できる医師に「きちんとした手術」をしてもらう事が肝要です。(ターニングポイントである事は間違いありません)
 頑張ってください。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

先日一度腫瘍を摘出した場所を悪性葉状腫瘍だったのでもう一度再手術(マージン確保)をしました。
 
その細胞検査の結果が
間質線維化、adenosis.fibroadenomatosisなどの所見を認めるが、腫瘍の残存は見られない。
病理組織診断 No residual,left breast
とのことでした。
 
先生の話によると「大丈夫!大丈夫!」
次回は一年後に・・・・
心配なので再診は半年後にしてもらいました・・・が
半年後にはどんな検査をするんでしょうか?
転移していたら怖いので全身検査してもらいたいところなんですけど、検査は「その時になってみないと分からないとの事」先生ならどのような検査をされますか?。
もう少し大きい病院に紹介状を書いてもらおうか検討中です・・・
お忙しいのに申し訳ございませんがよろしくお願いいたします
 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
 追加切除を行ったのですね。
 組織検査では『no residual tumor』であり、「最初の手術できちんと取れていた」との事。まずは「一安心」ですね。
 「悪性葉状腫瘍」の定期検査についてコメントしたいと思います。

回答

「先生の話によると「大丈夫!大丈夫!」次回は一年後に・・・・」
⇒少々、慎重さが足りない様に思います。
◎悪性葉状腫瘍の(術後の)注意点は2つ考えてください。

  • 「注意点1」これが一番大事ですが、「局所再発が無いように最新の注意を払う」ことです。
     質問者の場合には「腫瘍径が2cm」であること。(追加手術をしたことで)「十分なマージン」を持っていることにより、随分「見通しが明るい」事は事実です。
     とはいえ、(最初は)3カ月程度の間隔で「手術部周辺及び、乳腺内の超音波検査」をするべきだと思います。
    ⇒当然、(もしも疑わしげな所見があれば)「早急な対処」が必要となります。
     ※「早急な対処」とは、「再手術」です。 「悪性葉状腫瘍が局所再発」した場合、「次なる手として、乳房切除も十分考慮されるべき」です。
     
  • 「注意点2」肺転移
     「悪性葉状腫瘍で注意すべき転移」は「肺転移」です。
    ⇒最初のうちは「半年に1回」程度で「胸部単純レントゲン」を撮影してチェックしましょう。

 
「心配なので再診は半年後にしてもらいました・・・が半年後にはどんな検査をするんでしょうか?」
⇒(上記記載通り)「乳腺超音波(必ず医師本人に行ってもらってください)」と「胸部Xp]がいいでしょう。
 ※「局所の超音波」は最初だけでも3カ月がいいと思うのですが…
 
★とにかく「悪性葉状腫瘍は局所(手術した部位)が最も重要」です。
 
※ちなみに私が現在「悪性葉状腫瘍術後」として経過をみている方は2カ月フォローとなっています。

 
 

 

質問者様から 【質問4 悪性葉状腫瘍について】

性別:女性
年齢:46歳
病名:悪性葉状腫瘍
症状:再発?

前回手術をしてからきちんと病院に診て頂いていて
昨年の1月に診て頂いてから1年後に
経過観察になり大きな病院から紹介を
うけ別の病院で、この前診察を受けてきました。

マンモではあまり分からなかったのですがエコーで局部に1.2センチほどの新たな腫瘍?
が見つかりました。

針検をして調べてもらってますが
再発ではないかと心配です。
検査の結果がどうであれ、切除してしまった方が良いのでしょうか?
針検してますので、悪いものがちってしまってないか?も心配です。

先生ならどのようにされますか?

 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。

「先生ならどのようにされますか?」
→私なら…

 まず「悪性葉状腫瘍の術後の部位に腫瘍があった時点」で、(検査などせずに)「大きめに切除しましょう」と提案します。(悪性葉状腫瘍で「もしも…」は禁物だと思います。)

 ★(私が)針生検するケースがあるとすれば…
 →「患者さん自身が強く希望した場合のみ」です。(決して勧めません)