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タキサン系の中でのアブラキサンの位置づけ(抗がん剤と微小転移について)

[管理番号:986]
性別:女性
年齢:38歳
 
 

質問者様の別の質問

質問者様の別の質問は下記をクリックしてください。
管理番号:697「生検で非浸潤でリンパ節9ミリ

 
 
毎日、こちらのサイトを欠かさず読ませていただいています。
そして、先生がご多忙の中、担当患者でもない私たちの質問に丁寧で的確に答えていらっしゃること、本当に頭の下がる思いです。このサイトにたどり着き、私は本当に救われました。20件の質問制限は仕方ないことと思います。先生も、どうかお身体をお大事にして下さい。そして出来る範囲でこのサイトは続けて頂きたく思います。
病理結果が出たらまた相談させて下さいと言っておきながら、度々質問してすみません。
術前の診断でホルモン陰性、核異型度3ということから、抗がん剤も覚悟しなければと思っていますが、やはり副作用が怖いです。
もし、ハーツー陽性の場合はTC+ハーセプチンは受けた方がよいのかなと思いますが、TCの種類でアブラキサンというのは効果がドセタキセルやパクリタキセルに比べてどうでしょうか?
アルコールが使われていないこと、点滴時間が短いこと、3週間ごとでよいこと、しびれの副作用がパクリタキセルより軽度との記事をネットで見たのですが、もし副作用が少しでも軽くて効果もあるなら選択肢のひとつになるかと思いますが、先生はどう思いますか?
あと、現時点で微小転移はわからないと思いますが、マイクロRNAの検査で微少転移の可能性を知ることはできないのでしょうか?微小転移がなければ抗がん剤しなくても大丈夫とか、わかればいいのに…と思ってしまいます。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 「nab-PTX(アブラキサン)」については「人血清アルブミンをPTXに結合させることで溶媒を用いずにPTXを投与できる=大容量のPTX投与可能」のために、発売当時は大変期待したものです。
 適応症は「乳癌」となっており、「転移・再発乳癌でなくとも」使える筈ですが、添付文章には「本剤の手術の補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない」という一文があり、「術後補助療法での使用は標準治療とは言えない」と思います。
<h4>回答
「TCの種類でアブラキサンというのは効果がドセタキセルやパクリタキセルに比べてどうでしょうか?」
⇒アブラキサンはtriweekly投与同士でPTX triweeklyと「比較試験」を行い、「その優越性」を示しています。
 ただ、残念なことにweekly PTX, triweekly DTX > triweekly PTXであることが解っています。
 つまり、アブラキサンはtriweekly PTXよりは上でも、weekly PTXやtriweekly DTXとの関係が不明なのです。
 
「アルコールが使われていないこと、点滴時間が短いこと、3週間ごとでよいこと、しびれの副作用がパクリタキセルより軽度との記事をネットで見たのですが、もし副作用が少しでも軽くて効果もあるなら選択肢のひとつになるかと思いますが、先生はどう思いますか」
⇒冒頭にも示しましたが、添付文章で「術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない」とありますので、『日常診療として、術後補助療法として用いることはありません』
 また、「triweekly nab-PTX と triweekly PTXの直接比較」も「再発乳癌でのデータ」なのです。
 
「マイクロRNAの検査で微少転移の可能性を知ることはできないのでしょうか?微小転移がなければ抗がん剤しなくても大丈夫とか、わかればいいのに…と思ってしまいます」
⇒現時点では「実用化」はまだまだ先です。
 「血液中の腫瘍由来DNAの測定」などの研究はありますが、「微小転移を知る事は(現時点では)不可能」です。
 一因としては「腫瘍幹細胞」として「じっと潜んでいて、血中にも(暫くは)出てこないものもある」のです。
 
 

 

質問者様から 【感想2 お礼】

詳しく丁寧な回答、ありがとうございました。
3週ごとの投与では毎週投与のパクリタキセルへの優位性が不明なこと、もとより、初期治療での効果がはっきりしていなく、再発乳がんでのデータしかないこと、よく理解できました。
微小転移についても、血液中に出て来ずに潜んでいる場合もあるとわかり、やはり今効果があるとわかっているものを、後悔のないよう、しっかりやりたいと思いました。
またご相談させていただきたいので、よろしくお願いいたします。
本当にありがとうございます。
 
 

 

質問者様から 【質問2 皮下乳腺全摘で断片1ミリ】

先日病理結果が出ました。
微少浸潤を覚悟していたのですが、すべて非浸潤がんだったとの結果が出て、安堵しております。ただ、断片から1ミリのところにがんがあるため、再建をしないなら、念のため放射線をしてもいいかもとのことでした。
最終病理結果
非浸潤性乳管がん ステージ0
広がり 4センチ
断端 1ミリの箇所あり
センチネルリンパ節 転移なし(0/4)
ホルモン受容体 両方とも陰性
ハーツー スコア2→DISH検査にて一部に陽性がみられる
ki67 20%
病理レポートに、「内側断端については完全な陰性とは断定できません。最外側の癌胞巣から断端までは約1ミリです。脂肪組織に埋没する飛び石状の乳腺小葉内に最外側の癌があり、その直近に断端を示す組織の焼灼痕がみられます。さらに内側に乳腺組織が不連続に連なっていると仮定すると、そこに癌が伸展している可能性が否定できません。」
とあり、やはり、放射線治療は受けたほうが良いでしょうか?主治医はハーツー陽性で増殖率も高いのが少し気になるから、取りきれていると思うけど、心配なら放射線治療してもいいよとのことでした。
また、この病理結果から、10年再発率、生存率はどのくらいでしょうか?
ご多忙の中、大変恐縮なのですが、ご回答いただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 「非浸潤癌」でしたか!
 とてもよかったです。
 根治といえます。
 手術の精度については「執刀医にしか解らない」ことです。
 正直、私であれば「問題にもしない」ことです。
 「乳房切除」は「乳腺を完全に切除」するので「癌が残るなど、全くありえない」ことです。
○やはり「執刀医の認識の問題」でしょう。
 乳腺を「確実に残さずに切除する」認識で行われていれば大丈夫です。
 ただし、執刀医が「自信が無い」のであれば、「執刀医の判断を尊重すべき」でしょう。
 私が「大丈夫」というような類のことでは無いのです。

回答

「主治医はハーツー陽性で増殖率も高いのが少し気になる」
⇒不適切なコメントです。
 非浸潤癌で「HER2など問題にする必要はありません」無意味です。
 非浸潤癌では「HER2検査は適応外」です。
 しかもFISHまで行うとは!
 とても信じられない診療です。どこかの大学病院でしょうか?(一般病院では考えられません)
 
「この病理結果から、10年再発率、生存率はどのくらいでしょうか?」
⇒DCISでの「乳房切除」は根治です。
 再発など、ありえません
 
○増殖率が高いだの、HER2が陽性だの、馬鹿馬鹿しい考えにとらわれる必要はありません。
 DCISは乳房切除で根治なのです。