Site Overlay

MLL

Mucocele-like lesion (MLL)

  • 1986年Rosenが提唱。 Rosen PP : Am. J. Surg. Pathol. ,1986.
     
  • 多房性の粘液を含む嚢胞の集簇からなる病変
     
  • 周囲間質への粘液の漏出を伴なうことが特徴
     
  • 好発年齢20歳代~40歳代,閉経前に圧倒的に多い。
     

粘液産生を伴う非浸潤癌や浸潤癌への移行過程をあらわしている病変と解釈される。

 
 

2005-2011に行ったマンモトーム症例791例

2005-2011に行ったマンモトーム症例791例中MLLは52例(6.6%)
52例中23例(44%)が鑑別困難以上
鑑別困難症例の内乳癌の割合は60%
10例で外科的生検⇒6例で乳癌
殆どが、低悪性度の非浸潤性乳管癌
 
 

2011に乳癌学会で発表した内容

当院でのマンモトーム生検により発見 されたMucocele-like lesion症例の検討
東北公済病院外科 
田澤 篤

 

はじめに

  • 当院では,マンモグラフィーで発見された石灰化病変に対するステレオガイド下吸引式乳房組織生検(Mammotome:以下MMT)を,2005年から2011年8月までに791乳房に施行した。その結果185症例(23%)が癌と診断された。
     
  • MMTで癌と診断されたものの中にはMucocele-like lesion(以下MLL)を伴う症例が少なからず存在した。
     
  • 今回は,MMTでMLLの存在を認めた症例について,合併した異型病変や、乳癌の併存状況を中心に検討を加えた。
     

 

Mucocele-like lesion(MLL)

スライド5a
 

検討対象

  • 2005年から2011年8月までに,当院で施行されたMMT生検791例中,MLLを標本内に認めた52例(6.6%)。

 

結果(1)
MLLを含む 52症例のMMT生検診断

スライド7a
52例中23例(44%)が鑑別困難(異型を伴うMLL)以上。
 

結果(2)
生検診断による最終病理診断

  • 悪性疑い→1例で外科生検→乳癌(1例)。
  • 鑑別困難→10例に外科生検→6例が乳癌。
     
  • MMTで乳癌の7例を加え合計14例で乳癌との最終診断がなされた(14/52=27%)。
     
  • 殆どが平坦型から低乳頭状の非浸潤性乳管癌であり核異型度は軽度であった。
     

 
 

生検で乳癌と診断された症例の詳細

症例No 年齢 MMGでの石灰化 外科生検での病理所見
所見 カテゴリー
151 46 多形性/集簇 MLT病変を複数認め、その一部に核重積や核異型(軽度)を伴う病変を認めるためDCISと診断
200 44 淡く不明瞭/集簇 低乳頭状上皮増殖を広範囲に認め異型乳管過形成とも考えられるが大きさも鑑みDCISと診断
535 51 多形性/集簇 MLTとともに低乳頭~平坦型異型上皮が複数のスライスに広がりDCISと診断
694 48 多形性/集簇(やや粗大) MLTの中に平坦~低乳頭状,Roman bridge様構築を認めDCISと診断
777 42 一部多形性/集簇(粗大) MLTの上皮は異型を伴い平坦型~低乳頭状,Roman bridge様構造を認める。異型の弱い部分もあるが最高病変はDCISと診断
781 44 淡く不明瞭/集簇 長径8mmの範囲に平坦型~一部篩型のDCIDが存在

 
 
スライド10
 
スライド11
 
スライド12
 
 

考察

  1. 文献的には,MLLに異型上皮や乳癌を伴う頻度は50%前後であるとされる。MMTで見出されたMLL病変では44%が異型病巣を伴っており、これらの報告と同程度であった。
     
  2. 鑑別困難症例で外科生検を施行した結果、高頻度 (60%)が癌と診断された。これらMMT標本と外科生検標本を比較すると,①石灰化を伴う部分は病巣の中心でなく,近傍により異型が強い病変がみつかり癌の診断となった症例②MMT標本と同じような病巣が広範囲に確認され癌の診断となった症例がある。よって,MMT標本により鑑別困難となった場合は積極的に外科生検を施行するべきと考える。

 
 

POSTER DSICSSION or POSTER
筆頭演者の利益相反状態の開示

すべての項目に該当なし