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今週のコラム 57回目 表面から奥にあればあるほど、触れるにはある程度の大きさが必要なのです。  

 

日本乳癌学会 関東地方会 in 大宮ソニックシティ 発表してきました。

dsc_0676「出血性壊死を伴い急速に増大した若年性紡錘細胞がんの一例」

専門医制度 患者さんにとって医師を選択する指標の一つとして役立つものだとは思いますが、我々にとっては結構面倒なものです。

 

乳腺専門医、指導医である私ですが、それを更新するためには、学会発表をまめにして「更新に必要な点数」をクリアしていく必要があるのです。

「学会発表」と共に点数になるのが、学会場で行われる「教育セミナー」なるものです。

 

 

 

 

「教育セミナー」

勿論、初めて参加したわけではないのですが、今回は特にその内容の稚拙さに驚きました。

「パネリスト」として壇上に上がった若手医師達(所属が大学病院もしくは、どこぞの大病院)は「未来のホープ?」扱いなのかもしれませんが、我々のような専門医からみると「経験の圧倒的不足」が露呈してしまっています。ただそれ以上に「開いた口が塞がらなかった」のは、彼らの上の立場として司会を務めていた「どこぞの大学病院の指導医師」です。

『私は、そんな小さな病変に針生検を上手く刺す自信がありません。だから、これは画像診断で診断すべきです。』などと自慢げに言っていました。(自分で言っていて恥ずかしくないのか!)

 

「あぁ、これが(組織診もせずに)やたらと診断にMRIを多用する元凶か!」

呆れるとともに、(点数だけ貰って)早々と会場を後にしました。

注) この教育セミナーの対象者が

①認定医も取っていない、(生まれたばかりの)ピカピカの乳腺外科医

②専門医を目指している(現在)乳腺認定医

③専門医の更新を控えている(現在)乳腺専門医

上記①~③全てを対象にしていることに問題があるのです。

①とか②の人たちにとっては「少しは有意義?」かもしれませんが、我々③にとっては(有意義どころか)「アラばかり眼についてしまう」事も仕方が無いのかもしれません。

ただ、「小さい病変でも(MRIなどで逃げずに)組織診をするべき」と教えてあげたいものです。

 

 

○米粒大のシコリ

話は、かわります。

皆さん、小○麻○さんの一件以来、神経質になっていることは理解できます。

ただ、冷静になりましょう。

 

重要なことは「乳腺が皮下脂肪の奥に存在しており、米粒大のシコリを触知することは不可能」だということです。

皆さんが(特に乳輪周りで)米粒大の固いシコリを触れて心配として触れているのは、殆どが皮下の線維組織です。『ある程度の大きさが無い限り、皮下深くにある乳腺内のシコリは触知しない』のです。

 

想像してみてください。

表面から奥にあればあるほど、触れるにはある程度の大きさが必要なのです。

 

それぞれの検査にはよって、「検出限界」が存在します。

 

検出限界

1.触診:ビー玉位

2.マンモグラフィー:閉経前だと【豊富な乳腺に阻まれて】2cmのシコリも検出できないこともザラです。

3.エコー:3mm

 

お解りでしょうか?

私は「小さいシコリは諦めなさい」と言っているのではありません。

「早期発見こそ、最大の治療」

この信念にブレはありません。

 

ただ、それは触診では「物理的に」不可能なのです。

触診(自己検診も含む)では(米粒大は気にせずに… 米粒大で触知するのは皮下組織なのです)ビー玉位のシコリを発見できれば十分なのです。

○正しい検診の姿とは

毎月1回自己検診(これは、あくまでビー玉以上のシコリをチェックする)、そして1年に1回の定期的な画像診断(可能なら超音波)による検診をすることです。

♯自己検診で「米粒大のシコリ」を見つけるなど不可能なことで、その役割は(1年に1回の)超音波に任せるべきなのです。

 

○早期発見

そのために「エコー」があるのです。

ただ、それには「医師自らがエコーして、常に腕を磨く」ことこそ重要なのです。 ただ実情は…