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今週のコラム40回目 AI投与は5年より10年の方が優れている

アベノリコ 阿部哲子

SUNDAY FLICKERS 新アシスタント登場しました。

サンフリ、ファンとしては「番井奈歩(ばんい なほ)」の再登板を密かに願っていたのですが、阿部さんも結構いい感じです(偉そうですみません)

(初回ですが)阿部さんには「番井奈歩ばりの線の太さ」を感じました。

やはり一之輔と対等に渡り合うには「線の太さ」 それが大事です

 

8.6 pm2

暑かったなー(先週と、かぶってしまいすみません)

市川外来が珍しく定時で終了したので、走り出しがいつもより1時間も早くなりました。

僅か1時間(されど1時間)。太陽は(先週よりも)はるかに頭上にあります。

ギラギラギラ

帽子で(せっかくの)日差しを避けたりはしません。(解っちゃいるけど、止められない)

1時間20分後、江戸川病院に到着したころには体中の水分が失われミイラと化しました。

 

8.7 am4:30

日の出前。

昨日の暑さが嘘のようです。

快適な走り。圧倒的に楽! ただ「物足りない?」

身体は「負荷」を求めています。

 

1日5件の手術(全て執刀)

ペースを落とさずに、それでいて「技術は細部に宿る」

やはり「体力」 それが大事なのです。

 

★頭の中のアップデート

日々、いろいろな文献が出ては消えて?います。

その中で、是非紹介したいのが、Extending Aromatase-Inhibitor Adjuvant Therapy to 10 Years (The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE 2016)です。

タモキシフェンの10年投与の優位性が示されてから2年。

ついに閉経後のホルモン療法であるアロマターゼ阻害剤(AI)の10年投与に関するエビデンスが出てきたのです。

ちなみに、この臨床試験ではレトロゾール(フェマーラ)が用いられていますが、AIはほぼ同等と考えられます。

 

結果:要点を言えば「AI投与は5年より10年の方が優れている」というものです。

①対象者は?

閉経後のAI5年終了した早期乳癌患者さんです。

1918名が「AI投与群(更に5年)」と「無治療(プラセボ)群」に分けられました。

 

②何に差が出た?

5-year disease-free survival rete(5年無再発生存)です。

仔細に見て、差が出ているのは…

対側乳癌の発生率 1.4% vs 3.2%

領域リンパ節再発率 0.5% vs 1.4%

骨転移 2.9% vs 3.9%

♯その他、肝や肺など(重要臓器:life threateningともいいます)には全く差は認められず、遠隔転移全体の差(4.4% vs 5.5%)のほとんどは「骨転移の差」によると解釈できます。

 

③(肝心の)生存率に差は?

全く出ていません。

これは、『生存率に関係する部分(肝や肺転移など重要臓器転移)に差が無いから』と解釈できます。

♯但し、平均経過観察期間が6.3年での生存率なので、骨転移の低下が(6年では差にならないとしても)10年後に生存率の差をもたらす可能性は否定できません(骨転移は長期生存なのです)

 

④副作用は?

骨関連事象(骨粗鬆症や骨折、骨痛)は明らかに高まりますが、QOL全体では、大きな差はない

 

ご理解いただけましたか?

骨密度低下に気を付ければ、「対側乳癌や領域リンパ節転移、骨転移」などを低下させることは間違いないようです。

あとは医療経済的観点から「有る程度、適応を絞る」必要はあるでしょう。

 

◎肉芽腫性乳腺炎の経過については、資料が届き次第、紹介します。