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今週のコラム6回目 「無駄どころか、有害なのです」

こんにちは。田澤です。

今年も僅かになってきました。

 

今年中にやるべき事は、今年中に済ませましょう。

私の場合はnational clinical datebase:NCD(乳癌手術症例)の登録です。

秘書さんにお願いしていますが、どうしても私が入力しなくてはならない部分があるのです。

 

これをやらないと「専門医の更新」も「施設認定」もできなくなるのですが、症例数が多いので、1年分をまとめてやろうとすると、なかなか大変です。

「蟻とキリギリスの寓話」ではないけど、「日頃から少しずつ」やっておかないといけませんね。

 

 

さて本題です。

「医療被曝」

これを意識していない「医師が多い」ことには驚かされます。

 

救急外来でのCT撮影に、まずは驚かされます。

今時の研修医は「腹が痛い」⇒「まず、CT撮りましょう」となっています。

 

私が研修医だった20年前には「CT」自体が気軽なものではなく、余程のことが無い限り「救急外来でCTを撮影」することなどありませんでした。

○急性虫垂炎(所謂、盲腸)の診断にも(研修医なりに、がんばって)触診と超音波で診断していたものでした。

 

特に目に余るのは「小児に対するCT」です。医療被曝による影響は「大人の比では無い」のですが、「腹痛で受診すると、直ぐにCT」です。

お子さんをお持ちの方は、「CTは本当に必要ですか?」と聞いてみましょう。

 

乳癌診療に目を向けます。

○術前検査として早期乳癌での「骨シンチ」や「PET」本当に必要でしょうか?

⇒早期乳癌で「遠隔転移」の可能性を本当に疑っているのか?

全く不要です。

この間の「QandA」では、何と『非浸潤癌なのに術前検査としてPETを撮影』されていました。

非浸潤癌でPET!!!

 

おそらく、担当医は(何も考えることなく)「ルーティーン検査」として「上の医師に検査の不備を指摘されることが嫌で」全ての検査を行っているのでしょう。

本来、医療被曝のことを考えれば『無駄どころか有害』なのです。

 

○術後の定期検査もしかりです。

そもそも「マンモグラフィー以外の画像検査」の定期的撮影は有効でないという「エビデンス」があります。

 

早期乳癌なのに1年に1回「CT」だの「骨シンチ」だのを撮影している医師がいるようですが、「医療被曝を認識した上で」本当に必要と思っているのでしょうか?

 

○術後は画像診断としては、「1年に1回のマンモグラフィー」だけで、あとは定期的診察(超音波は被爆がないのでOK)採血だけでいいのです。

 

(参考に)

マンモグラフィーは 1回あたり0.1mSv程度なので、(下図で示すように)自然放射線の1カ月分にも満たない線量です。

月に2~3回撮影したとしても何ら問題ありません。

医療被曝スライド

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自然放射線

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、CTやPET、骨シンチなどは、1回当りでその「100倍」の線量があり、これを年間5回も撮影すると、『原子力や放射線を扱う作業者の放射線従事者の年間線量限度』となります。

○10回撮影すると「癌死亡のリスクが線量と共に徐々に増加する線量」となるのです。

 

★必要ならば、仕方がありませんが「不必要な医療被曝」には注意してください。