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『ママとパパが生きる理由。』が訴えかけること

皆さん、こんにちは。 田澤です。

Aさん術後3部作 第2部 放射線療法編をブログにあげようと思っていた矢先、このドラマの事を知りました。

ドラマ自体を視聴してはいないのですが、実話をもとにしたものであり、その内容をインターネットで閲覧した際、不覚にも涙が止まりませんでした。

「若くして幼い子供達を残して、その成長を見届けられない無念さ」を思い、切なくならない人間はいないでしょう。

人間にこの感情がある限り、戦争も犯罪も世の中から根絶しそうなものですが…(話が少し脱線しました。すみません。)

 

私には医者として、乳腺外科医として大変膨大な患者さんとの記憶があります。

江戸川に来る以前、10年間在籍していた仙台での病院(乳癌手術としては東北地方で群を抜いていましたが)最も特徴的なことは「早期発見への並々ならぬ執念」でした。

※その点こそが、(名前だけで)乳癌患者さんが集まり、結果として手術件数が多くなる他の大多数の有名病院との大きな違いでした。

 

結果として類をみない「早期発見の多い病院」ではありましたが、一方で進行乳癌の方もいらっしゃいました。進行患者さんの中には自覚していたけど怖くて受診が遅れた方、他院で「大丈夫」といわれ診断が遅くなってしまった可哀想な方など様々でした。

早期乳癌患者さん達が再発無く過ごされている一方で、進行乳癌患者さん達が苦しんで亡くなっていく、この両極端の状況を数知れず見てきました。

乳癌は他の癌と比べて著しく年齢が若いので、本当に沢山の「若い死」を見てきました。

 

・まだ独身の方の死:「娘に結婚生活をさせてあげたかった」と泣くご両親の姿

 

・今回のドラマのように幼い子供を残しての死:その意味さえも理解できない程幼い子に声をかけながらも、自ら泣き崩れるご主人

 

ドラマの中ではない、現実の姿として胸がつぶれる思いを幾度となくしてきました。

「もう少し、早期発見ができていたら…」

 

  • 早期発見に勝る治療は無し

(市民講座でのスライドの1枚)

早期発見に勝る治療無し

 

 

 

 

 

 

 

これは私が市民講座で講演する際に「私のモットー」として必ずお話しすることです。

その際には、「発見ステージ別5年生存率」などを示し, 「早期発見の重要性」を強調しています。

今回『ママとパパが生きる理由。』に触れて、決意を新たにしました。

「早期発見を訴え続け、このような悲劇を少なくしたい。」

 

 

  • 早期発見への思い

乳腺は体表にあるため、マンモグラフィーによる「石灰化」や、超音波による「ごく小さな腫瘤」が検診でも発見できます。

「石灰化」も「ごく小さな腫瘤」も早期発見への手掛かりなのです。

多くの施設では、いとも簡単にそのチャンスを逃し「小さいから大丈夫、経過を見ましょう」といいます。

 

果たしてそれでいいのでしょうか?

私は仙台の病院で培った「早期発見への並々ならぬ執念」を持っています。

①画像での明らかな良性所見⇒これは経過観察、もしくは検診でもいいでしょう。

問題は②画像で明らかに良性とは言えないが、小さくて判断できないもの

これをどうするかです。

早期発見のチャンスかもしれないのです。

簡単に経過観察としてはいけません。

患者さんの一生がかかっているのかもしれません。

医師は、針生検を行うことで「早期発見」の可能性を説明してあげなくてはいけません。※もしその上で、患者さんご自身が経過観察を望めば、経過観察でもいいでしょう。

医師が、そのチャンスを自ら摘み取るのは絶対に誤りです。

 

早期発見のキーワードは「石灰化」と「ごく小さな腫瘤」です。

石灰化⇒ステレオガイド下マンモトーム生検

マンモグラフィーガイド下マンモトーム_edited-2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小さな腫瘤⇒超音波ガイド下マンモトーム生検

超音波ガイド下マンモトーム_edited-1

 

 

 

私は早期発見に並々ならぬ思いを持っています。